自社の環境分析方法 SWOT分析

 さて、5月25日に全国のコロナ感染緊急事態宣言が解除され、東京でも6月12日から

東京アラートも解除され、ロードマップもステップ3に移行した。

 まだ気を緩めることはできないが、これからのコロナ感染拡大第2波・第3波に備えて、

経営も早急に立て直さなければならない。

 そこで今回から、そのための経営環境分析と戦略・戦術の立て直しについて特集する。

その第1回目は『SWOT』だ。

経営環境分析手法『SWOT』とは、経営環境の『好機』と『脅威』を、自社の『強み』と

『弱み』を活かして、戦略の最適化を探る手法だ。

 

1 そのために最初にSWOTによる環境分析を行う

SとWとは『内部分析』だ。

  S:ストロング     自社の強みとは何か?

  W:ウイークネス    自社の弱みとは何か?

OTとは、『外部分析』だ。

  O:オポチュニティ   これから訪れる自社にとっての好機とは?

  T:スレッド      これから訪れる自社にとっての脅威とは?

ここで大事なことは、その因子はいろいろ上げられるかもわからないが、戦略の明確さを

担保するためにも、それぞれ3点ほどに絞り込むということだ。

重点志向だ。

 

2 戦略を練る

 SWOTによる経営環境分析ができたならば、その次は最適な経営戦略を練ることだ。

そのことを「SWOTマトリクス」と呼ぶ。

 SWOTマトリクスは、次の4方向で考える。

  ①機会(好機)を自社の強みによってとらえる戦略 👉OS戦略

  ②機会(好機)で自社の弱みを解消する戦略    👉OW戦略

  ③脅威を自社の強みで最小化する戦略       👉TS戦略

  ④脅威と自社の弱みによる悪影響を避ける戦略   👉TW戦略

この4方向から戦略を考え、やはり最終的に、3つ程度に絞り込むことが必要だ。

 

3 戦術を考える

 戦略はまだ「お題目」といえる。これを行動レベルに掘り下げるには『戦術』が必要だ。

戦術とは具体策であり、「どうやって戦略を実行するか」ということだ。

 

4 ノート

1.SWOTは内部と外部の分析にわけて自社の経営環境をまとめる手法だ

 経営環境を分析する手法としては、「組織分析」「経験曲線効果分析」「PPM分析」「ライフサイクル分析」「財務分析」「情報装備分析」「PEST分析」「5フォース

分析」「パレート分析」など数々あるが、「SWOT」はそれらをまとめる手法としても

位置付けることができる。

つまり、さまざまな手法で分析した結果を、強み・弱み・機会・脅威のカテゴリに分類し、

漏れることなく自社の経営環境を捉えることができるからだ。

最初からSWOTをしてもよいが、なかなか自社の経営環境を振り返る機会はそうないと

思われるので、時には上記のように漏れることなく「SWOT分析」をしてもいいのでは

ないかと思われる。

 

2.マトリクス思考で『戦略』を考える

 ①機会(好機)を自社の強みによってとらえる戦略

  外部のさまざまな機会(好機)を、自社の強みによって活かす戦略は、自社にとって

  第一優先の戦略だ。

  大事なことは、この戦略を一気呵成にすばやく取り組むことだ。

 ②機会(好機)で自社の弱みを解消する戦略

  機会で弱みを解消する戦略とは、自社の弱点をビジネスチャンスで補完する戦略だ。

  たとえば、飲食でオーガニックを売りにしているため、どうしても価格設定が高めと

  なり、集客などに苦労している場合は、食品安全や健康に消費者の関心が高い機会を

  捉えて、オーガニックを一般顧客にもわかり易いように解説を試みることなどが考え

  られる。

 ③脅威を自社の強みで最小化する戦略

  環境の脅威を自社の強みで最小化する戦略とは、近く訪れるかもしれない経営危機を

  自社の強みを持って事前に最小化したり、あるいはピンチをチャンスにする戦略だ。

  たとえば、ガソリンスタンドは石油価格の影響やさらに今後はEV化の影響を受ける

  ことは必至だと思われる。

  そこで、天気予報のように、事前にガソリン価格動向予想などを消費者に提供して

  「安心と信頼」を得るようにしたり、EV化時代における対応を伝えておくことなど

  によって将来の安心を提供し、将来的な集客に備えておくなどの対策が考えられる。

 ④脅威と自社の弱みによる悪影響を避ける戦略

  環境の脅威と自社の弱みによる悪影響を避ける戦略とは、単純に考えれば、撤退方法を

  考える戦略という発想になるが、いま一つはシフト戦略とも捉えられる。

  シフト戦略とは、自社の経営資源を見直し、それをほかに置き換えられないかという

  ことだ。

  たとえばカラオケ店。カラオケ店の経営資源を角度を変えて見てみれば、快適な貸室で

  あり、防音設備であり、マイク設備であり、軽食の提供などである。

  このように、経営資源の見方を変えてバラバラにしていくと、これら経営資源を少し

  置き換えさえすれば、事業領域をシフトしていくことが可能になることに気づく。

  あと、ゲームや幼児向け音源などを加えれば幼児向けパーティルームに変えられたり、

  趣味のレンタルスペースやビジネス向けのレンタルスペースなどにも転用できる。

 

3.大切なこと

 ①「ほかではやってはいない」ということを避ける

  これら戦略を発想するうえで最もやってはいけないことは、「そんなことはほかでは

  やっていないだろう」ということだ。

  だから結局はやらないのだが、実はそこに「チャンスの芽があるかもしれない!」と

  いう考え方をすることが大切だ。

  他でもやっているということには確かに安心感はあるが、それでは独自性を築けない。

  誰もいない、戦いのないところに、青い海(ブルーオーシャン)はある。

 ②機会(好機)を自社の強みによってとらえる戦略(OS戦略)が一番重要

  4つの考え方の中でもっとも重要なのは、言うまでもなく「機会を自社の強みによって

  とらえる戦略」だ。

  4つの戦略をすべて考える必要は全くないが、OS戦略はじっくり考えたいところだ。

 ③あり得ない戦略

  外部環境同士の「機会によって脅威を消す戦略」とか、内部環境同士の「強みによって

  弱みをカバーする戦略」などはない。

 

次回は自社の外部環境をさらに詳しく分析する方法を紹介しよう。

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』というものを打ち破ることだ。
私たちは思いの外、思い込みに囚われて、生活や仕事をしている。
そして、その結果が「いま」であることを忘れてはいけない。
だから、違う結果を得たいならば、『思い込み』を打ち破るしかない。


掲載日:2020年6月17日 |カテゴリー:マーケティング

会計で経営力を高めるシリーズ 総まとめ

第17回会計で経営力を高めるシリーズ『総まとめ』

これまで16回にわたって『会計で経営力を高める』を説明して来ましたが、

今回はその最後です。その最後として「総まとめ」をお送りします。

 

1 ますます厳しくなる経営環境に対して「経営力を高める」ことが重要

まず最初に「消費税率の引上げ」「働き方改革の導入」「インボイス制度の導入」など、

これからはますます中小企業の経営環境が厳しくなると申し上げていましたが、

この間に訪れた新型コロナウイルス感染拡大で、もうそのことは誰もが認めざる得ない状況

となりました。

具体的な対策は業種業態あるいは経営組織や人材も違いますので、個々の企業で考えるしか

ありませんが、それと同時に「経営力を高める必要がある」と提言しました。

それが「会計力を高める」ということです。

 

2 会計は取引をふたつの目で見ていることをまず理解する

自社の会計を理解するためには、「会計は取引をふたつの目で見ている」ということを

理解することが大事です。

ふたつの目とは、「資金の運用・使途」と「資金の調達・源泉」の両眼です。

 ・資金とは、キャッシュのことで、現金と預金のことです。

 ・資金の運用とは、B/Sの総資産のことです。

 ・資金の調達とは、B/Sの総資本、負債・純資産のことです。

 ・資金の使途とは、PLの費用のことです。

 ・資金の源泉とは、PLの売上高と営業外収益のことです。

このことが理解できれば、おおよそ自社の会計資料は読み取れてきます。

 ・事業資金をどこから集めているのか    👉総資本(負債・純資産)を見ればわかる

 ・事業資金をどのように運用しているのか  👉総資産を見ればわかる

 ・資金運用の仕方に問題がないのか     👉総資本と総資産を比べればわかる

 ・資金運用は活かした運用が出来ているのか 👉総資産と売上高又は利益と比べばわかる

 ・営業成績に問題はないのか        👉売上高と費用又は利益を比べばわかる

  などなど

 

3 会社の安全性は手元資金有り高(キャッシュ)に尽きる

会社経営の安全性の見方にはいろいろありますが、今回の新型コロナウイルス感染拡大で

ハッキリしたことは、何といっても「手元資金の豊富さ」です。

これは今回の新型コロナウイルス感染拡大で痛烈に学んだところです。

手元資金さえあれば、ある程度休業が続いても会社は持ちこたえられます。

しかし、それがなければ給与は支払えませんし、家賃も支払えません。

挙句は倒産するだけです。

 

では、そんな手元資金の状況を判断する方法はどうすればいいのか?

さらには、増やすにはどうすればいいのか? ということです。

手元資金を測る方法は・・

 ・平均月商と手元資金を比べ、平均月商何カ月分の手元資金があるのかを計算する方法が

  一般的です。そのことを「手元流動性比率」と呼びます。

 ・以前なら手元流動比率は、中小企業では2~3ヵ月あれば十分と言われていましたが、

  今回このような経験をすると少なくとも6カ月程度は欲しいところです。

 ・もっとシビアに見たいのであれば、最低固定費である人件費と地代家賃の何カ月分が

  あるのか、ということです。(「手元流動性最低固定費倍率」)

  この見方であれば、最低でも6カ月分、できれば12カ月分を目指したいところです。

 

では、この手元資金を増やすにはどうすれば良いのでしょうか。

この問いに対する回答は、「どの企業でもこうすればよい!」という具体的な回答はあまりありません。

それぞれの企業、経営者が努力し、創意工夫するということが真の回答となります。

《すべての企業に共通する回答》

 ・経費を減らす    👉経費を減らせば、その分手元資金は増えます。

 ・借入金を増やす   👉借入すればそれは現預金収入となり、手元資金は増やせます。

 ・融資枠を拡大する  👉いわゆるコミットメントラインの確保です。

            但し、これはどこの企業でもできるわけではないかもしれません

 ・黒字経営を継続する 👉当たり前といえば当たり前のことですが、5割以上の中小企業

             にとっては難しいことだと思われます。

 ここまでが比較的、どの企業にも通用する回答だと思われます。

《企業それぞれが努力をし創意工夫して手元資金を増やす回答》

 ・売上を増やす    👉具体策は各社で考えることになります。

 ・限界利益を増やす  👉これも具体策は各社で考えることになります。

 

4 会社経営は操縦(マネジメント)するものである

しかし、経営は思いどおりにはいかないものです。

だから経営も「操縦」することが大切なのです。操縦することをマネジメントといいます。

自動車や船舶も、常に障害物を避けて操縦します。会社経営も同様です。

会社を操縦することを「マネジメント」といい、どんな小さな会社でもマネジメントが必要なこととなります。

 

特に注意して、操縦しなければならないことは次のとおりです。

 ・総資産であれば、手元資金、売上債権、棚卸資産、(有形)固定資産

 ・負債であれば、買入債務、借入金、未払金/未払費用、預り金

 ・純資産であれば、繰越利益剰余金

 ・損益であれば、売上高、売上総利益、営業利益の3段階の収益と、

  その間にある売上原価と販売費及び一般管理費

 

ぜひ、会計を活かして、会社を操縦し、自社に経営力を高めて行きましょう。

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように感じて来られたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?

 


掲載日:2020年6月10日 |カテゴリー:会計識字率

会計で経営力を高めるシリーズ PLまとめ

第16回会計で経営力を高めるシリーズ『損益計算書のまとめ』

 2回に渡って、『(全部原価計算方式)損益計算書』、『直接原価計算方式損益計算書』

説明してきました。

 今回はそのまとめをお届けします。

 

1 損益計算書の見方とその読み方を知りましょう

 損益計算書には『6段階の収益』と『5つの費用』が示されていると説明しました。

      <6段階の収益>            <5つの費用>

      ①売上高                ①売上原価

      ②売上総利益              ②販売費及び一般管理費

      ③営業利益               ③営業外収益と営業外費用

      ④経常利益               ④特別利益と特別損失

      ⑤税引前当期純利益           ⑤法人税等

      ⑥当期純利益

 収益について大事なのは営業利益までです。

 費用について大事なのは販売費及び一般管理費までです。

 

(1)損益計算書の見方

①売上高の基本は「前年と比較して見る」ということです。

 そして大事なことは「変化に対して敏感な反応を示す」です。

 「機敏な反応」とはよく言われる「ともかくやってみようよ」という、闇雲に思いついた

 行動を勧めているのではなく、よく考えて、出した仮説のある戦術を素早く展開するとい

 う意味です。つまり、熟慮と今の政府に足りないスピード感です。

 さらにこれからは計画と比較するということが非常に大事です。

 この計画と比較するということは、もはや常識化していることに気づきましょう。

②売上総利益は「利益率と利益額を見る」ことです。

 一昔前までは利益率が重要と言われていましたが、社会は成熟化していますので、

 利益の増減にも敏感な感性を持たねばなりません。

③営業利益は「利益率を重視」しなければなりません。

 今回の新型コロナ感染拡大の影響で、つくづくと営業利益が赤字のようでは、

 商売は続けていけないと強く実感された事業者は多くおられると思います。

 これからの事業はこの営業利益率を、如何にして『10%』以上を確保するかが

 大事になっています。

ここまでが大変大事なことであり、経常利益以下は営業利益をそこそこ残せれば、それなり

の利益が確保できます。もし、そうでないならば、それはどこかで無茶な事業をしていると

いうことですから、それを改めましょう。

 

(2)読み方・考え方

①売上高は、事業資金の源泉「水源」であることをよく認識しましょう。

 従って、前年より減少しているならば、それは死活問題に向かっているという感覚で

 対処しなければなりません。

 売上は「単価×数量」で成り立っていますから、改善するには単価を上げるのか、

 数量を増やすのかのどちらかということです。

 自社にとって、単価とは、数量とは、をよく考え、対策を練り、そして大事なことは

 「実行・実践」です。

②『売上総利益』は会社が努力をしてつけた「付加価値」です。

 従って、原価を抑える努力と、訴求方法や機能などの創意工夫によって付加価値を

 より大きくすることが可能だという考え方も併せて持ちましょう。

③『営業利益』は「本業の利益」です。

 ですから「営業赤字は本業として失格」という厳しい見方をする必要があります。

 従って、何が何でも、経費節約などの社内努力によって黒字化する必要があります。

 ただ、費用は削減一辺倒ではなく、「活かす」という考え方がさらに大事です。

 削減だけでは組織風土は縮まります

 活かそうというプラス思考が組織風土に活力を与え、その効果は削減と比べれば、

 無限の大きさとなります。

④『経常利益』は「本業による最終利益」です。

 しかし、この段階でどうのこうのするというより、営業利益までで経営は決まります。

 ただ唯一、リスケなどにより営業外費用を抑え、経常利益を改善するということもでき

 ますが、それはもう既に「事業は緊急事態ステージにある」ということを示しています。

この他にも、『税引前当期純利益(損失)』、『当期純利益(損失)』がありますが、

これらに対する読み方、考え方というのはありません。

 

 

2 経営管理(マネジメント)には

  「直接原価計算方式による損益計算書」を活用する

 いま一度、通常の損益計算と直接原価計算の損益計算の違いを図で確認してみましょう。

 

     《通常の損益計算書》        《直接原価計算の損益計算書》 

 図では最終利益(営業利益と貢献利益)は同じ大きさに見えますが、

 実際は「棚卸資産の増減」分だけが違ってきます。

 通常の損益計算書では期末棚卸資産が多くなれば利益が増えて、

 期末棚卸資産が少なくなれば利益は減りますが、

 直接原価計算の損益計算書では当期の仕入で考えますので影響を受けません。

 このように直接原価計算による損益計算書は、その事業年度単位で事業の付加価値である

 限界利益がクリアに掴め、創出した付加価値をどのように分配したかが明確になります。

 したがって「期間損益」とも呼ばれますが、いろいろな利益概念を設定すれば、

 業績評価などにも使えますので、活力ある組織作りにも活用できます。

 なお直接原価のことを聞かれた方もあると思いますが「ダイレクトコスト」といいます。

 

今回の新型コロナの影響で事業をこれまでの延長線上だけで考えていてはダメだと思われた方は多くおられると思います。それが一番貴重な「今回の教訓だ」と思います。

その意味ではこの戦略的な直接原価損益計算書を活かして自社損益の真実を知るとともに、業績責任体制を構築し、組織に活力をチューンアップされてはどうでしょうか。

 

ともかく、自社の損益についてこれまでの「既成の壁」を突き破り、新たな発想かどうかは別にしても、「ちがう発想」で考えることが、業種業態を問わず、これからの時代に対応していくためにもっとも大事なことだと思われます。

 

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?

 


掲載日:2020年6月3日 |カテゴリー:会計識字率

« 以前の情報   新しい情報 »

本店:〒355-0062 東松山市西本宿1968-1
坂戸:〒350-0233 坂戸市南町35-20
0120-634-154
営業時間 8:30~17:30 定休日 土・日・祭日