会計で経営力を高めるシリーズ P/L

第14回会計で経営力を高めるシリーズ『P/Lの構造とポイント』

前回でB/Sで経営力を高めるシリーズは終了しました。

今回からはP/Lによる「会計で経営力を高めるシリーズ」に入ります。

P/LはB/Sと比較すれば日頃見られる機会も多いと思いますので、端的に説明します。

今回は『P/Lの構造とそのポイント』です。

 

1 P/Lの構造

P/Lの構造を図示すると下図のようになります。

(1)6段階の「収益源」が表示されている

 まず押さえておきたいことは「6段階の収益源が表示されている」ということです。

①最初が『売上高』です。売上高は資金の源泉です。ですから”仕訳では右”になります。

 売上は事業にとって「資金の源泉」、つまり水源ですから、これが止まってしまうと、

 経営は二進も三進もいかなくなり、如何ともし難くなります。

 いま、コロナ感染の影響で多くの事業者が困っていることがみれば理解できます。

②次に『売上総利益』が示されています。

 売上から原価を引いたものですから、企業が努力して付けた「付加価値額」と言えます。

 ですから、努力や創意工夫によって、より大きくすることも可能です。

③3番目が『営業利益』です。

 これは売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を引いたものですから、

 「本業の利益」という言い方もされます。

 この営業利益も経費節約などの社内努力によって大きくすることが可能です。

④4番目は利益の用語として一番よく知られている『経常利益』です。

 これは営業利益に本業以外の収入(利息や雑収)を加え、本業以外の経費(金利など)を

 引いたものです。「本業による最終利益」という言い方もされます。

 なお、ここまでが通常の事業によって得られる利益という意味で、『経常利益』と

 呼ばれるわけです。

⑤そしてそのほかに、5番目として『税引前当期純利益(損失)』、6番目として『当期

 純利益(損失)』があります。特に、この6番目の当期純利益がB/Sへ流れ込み、

 『繰越利益剰余金』となります。これがP/LとB/Sをつなげているわけです。

 

(2)6段階の収益源で大切なこと

①企業は売上がないと事業活動を続けることが出来ない!

 このことは言うまでもなく、当たり前だと思われていますが、

 しかし平時にはあまりそのことを認識・自覚されていません。

 だからいま大変な事業者が多くおられるわけです。

 仮に常にそのような認識・自覚が常にあれば、このようなときに備えて、

 日頃からもっと手元資金の有り高に関心を持つとか、売上高減少が続いたときには

 もっと真剣にその打開策を講じるとか、しているはずです。

 しかし意外とそのような行動をとる経営者は少ないものです。

 これは今回の教訓としたいところです。

②売上総利益は”努力と創意工夫”でより大きくすることが可能!

 事業とは材料を仕入してモノを作る、商品を仕入れて売る、何かしらの役務(サービス)

 を提供するということですが、「この業種(商売)では普通こうされているからこうし

 ている」ということが多くないでしょうか?

 しかしそうではなく、よりいいものを!より求められるものを!という工夫や、

 在庫商品の扱いなどによって、売上総利益をより大きくすることができるのです。

③営業利益も社内努力によって大きくすることができる!

 販売費や一般管理費などの経費も使いようです。それによって、営業利益は増やせます。

 一般的に経費を節約することによって営業利益を増やそうと考えますが、それだと

 最大でも経費以上には増えません。

 もちろん、この考え方もたいへん大切で、確かに、付加価値を生まない費用については

 いかに節約するかが大切です。

 しかし、節約それ以上に大切なことは、使い方であり、活かし方です。

 例えば、人件費も支給の仕方や制度によってヒトのやる気を大きく向上させ、利益に

 大きく貢献します。

 HPなどの広告費も使い方によって大きな効果が生まれます。

 これは理屈だと思われるかもしれませんが、しかし稼いでいる企業はそうしているの

 です。

 

(3)5つの「費用」

 6段階の収益源があれば、その間には5つの費用があります。

 費用は「資金の使途」ですから、仕訳では”左”になります。

①一つめは『売上原価』です。

 売上原価とは、企業の付加価値を創るための費用です。

 それは、商品仕入高・材料費・製造人件費である労務費・その他の製造経費の4つに

 まとめられます。

 さらにその中で、商品仕入高以外を『製造原価』としてまとめています。

 また、よくある『外注加工費』は、その他の製造経費に分類されます。

②二つめは『販売費及び一般管理費』です。省略して、販管費と呼びます。

 販管費は、原価を除いた販売のためにかかる費用と事業の管理にためにかかる費用の

 総称です。

 具体的には、販売員給与、広告宣伝費、発送配達費などという販売費と、役員報酬、

 事務員給与、法定福利費、地代家賃、水道光熱費などの一般管理費があります。

 特に販売費は作った製品や販売する商品を販売する際に「付加価値を創る」ための費用と

 考えます。

③三つめ、四つめ、五つめに、営業外費用、特別損失、法人税等があります。

 

2 見方のポイント

 では、それぞれをどのように見ればよいのでしょうか。

(1)売上高

 少なくと現代は先行き不透明な時代であり、また必ず費用は増えていきますので、

 売上高は”前年比増”、増収が基本です。

 したがって、前年比減の場合は必ず、かつ早急に、何かしらの対策を講じなければ

 なりません。

 売上高は「数量×単価」の積で求められますから、数量を増やす方策と単価を上げる

 方策に分けて発想することが大事です。

 数量を増やすとは、顧客・取引先数を増やす、新商品・製品の提供、新事業の開発など、

 幅広く捉えて考えます。

 単価を上げることも、提供価格の見直し、新商品・新製品の提供、新事業の開発など、

 幅広く捉えて考えます。

 「幅広く捉えて考える」ということは、現状の中や延長線上だけで考えないことです。

 これまでの慣習に囚われないことです。

(2)売上総利益

 売上総利益とは、原価をもって自社ならではの”付加価値”をつけることでした。

 したがって、原価をもって、より魅力のある商品・製品・サービスに磨き上げる、

 極めることが大切です。

 また基本ベースとして原価は抑えることが求められますので、特に製造業や卸売業、

 飲食業であれば「在庫管理」が重要です。

(3)営業利益、経常利益

 営業利益・経常利益とは人件費、経費を除いた後の利益です。

 基本は不要な経費はつかわないという「経費節減」にありますが、

 しかし何でもかんでも抑える一辺倒ではなく、活かすことを考えることが経費節減以上の

 増益策です。

 過剰に経費節減ばかりに走ると活力がない組織になってしまいます。活力のある組織は

 メリハリのある経費執行をしています。 

 

最後にこれらのことをすべてマネージする管理方法が「会計」なのです。

会計は経営の羅針盤であり、増収の状況、コストの状況、そしてパフォーマンスの状況を

会計で捉えていくことが大事です。

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?

 


掲載日:2020年5月20日 |カテゴリー:会計識字率

会計で経営力を高めるシリーズ B/S

第13回会計で経営力を高めるシリーズ『B/Sまとめ』

これまで12回に分けてB/Sの「会計で経営力を高めるシリーズ」を連載して来ました。今回でB/Sシリーズは最後になります。

最後に「B/Sで経営力を高める」まとめとして、事業の設立から資産や負債、純資産が

どのように変化していくのか図解で表現しながら、会計の読み方を理解したいと思います。

 なお、説明の便宜上、総資産は手元資金・(それ以外の)流動資産・固定資産の3つに、

総資本は流動負債・固定負債・純資産の3つに分けて説明します。

 

1 会社を設立した

会社をつくるために、まず最初に
自己資金を「資本金」として現預金を
保有することになります。

ここで認識しておきたいことは、

すべての事業は、自己資本比率100%から始まるということです。

 すべての会社は、もともと自己資本比率100%だったのです。

 

2 自己資金だけは足りなので金融機関から融資を受けた

次に自己資金だけではやはり資金が
足りずに金融機関から融資を受けた
とします。

そうすると、融資をもとに手元資金はさらに増えて、総資産も増えますが、

ここで「自己資本比率100%」ではなくなります。

 

3 事業のための設備を導入した

そしていよいよ事業のための設備投資を行います。元手は自己資金と借入による手元資金による現預金です。

すると、手元資金の一部が固定資産に変わります。注目すべきは、固定資産購入の財源はすべて固定負債と純資産だということです。
 この状態は固定長期適合率100%未満といいます。

 さらに、純資産の方が多いので、同時に固定比率100%未満でもあります。

 

4 原材料を仕入した

購入した機械で商品を生産するために原材料を購入しました。購入方法は掛仕入ですので、資産は在庫として流動資産が初めて現れて、総資本も他人資本である流動負債(買掛金)が増えて

総資産はさらに大きくなります。

ここで注目すべきは

1つめは、自己資本比率はさらに低く なりますが、負債とのバランスです。

 2つめは、手元資金を含む流動資産と流動負債のバランスである流動比率です。
 常に流動資産は流動負債の倍以上、200%キープが基本です。

 3つめは、棚卸資産を除く当座資産と流動負債のバランスである当座比率です。

 常に100%超が基本です。

 

5 販売を開始した

そしてついに販売開始です。

売上は現金版売ではないので、売掛金が計上されます。

そうすると総資産はさらに増えることになります。

では、総資本の方はどうでしょうか?

販売開始に伴って、いろいろな経費が未払に計上されます。

更に儲けが純資産の繰越利益剰余金と して計上されます。よって、常に「総資産=負債+純資産」のバランスは保たれます

 ここで注目すべきことは

 1.やはり、純資産と負債のバランスである「自己資本比率」です。

 2.流動資産と流動負債のバランス「流動比率」200%キープです。

 3.当座資産と流動負債のバランス「当座比率」100%超キープです。

 この3点は、常に気にしておきたいポイントです。

 4.それと「繰越利益剰余金」です。毎年増加させたいところです。

 

 事業とはこの4と5を毎年繰り返し、月次決算・年次決算という流れの中で経営状況の

 確認をしながら、運営されていくべきものなのです。

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?

 


掲載日:2020年5月13日 |カテゴリー:会計識字率

会計で経営力を高めるシリーズ 純資産

第12回会計で経営力を高めるシリーズ『純資産』

さて、ここまで、資産から負債へと説明をしてきましたが、「貸借対照表」最後の説明は

「純資産」です。少し以前までは「資本」と呼ばれていましたが、それだと自己資本も他人

資本もありますので、現在では「純資産」という呼び方に統一されています。

今回は、そんな「純資産」について説明します。

 

1 純資産とは

純資産とは「自己資本」のことですが、その算出の仕方は資産と負債の差額、つまり「純資

産=資産ー負債」で求められます。決して、自己資本を加算して計算されたものではありませんから、必ず、資産と負債・純資産は一致し(資産=負債+純資産)、よって、貸借対照

表のことをバランスシート(Balace Sheet)と呼びます。

では、純資産にはどのような項目があるのでしょうか。

 

2 純資産の項目

純資産は「株主資本」と「評価・換算差額金」及び「新株予約権」の3つに大別されます。

(1)株主資本とは

株主資本とは、株主からの出資金です。

上場企業や大企業であればいろいろな人や組織が株主になりますが、中小企業の場合は一般

的に経営者のみですつまり、中小企業には投資家などの利害関係者はいません。ですから上場企業・大企業の会計資料の読み方と中小企業の会計資料の読み方は大きく異なります

一般の会計書籍は、上場企業や大企業の経営者・社員に向けて書かれていますので、中小企

業者にとってはあまりピンとこないし、やたら難しいし、「煙に巻かれたようであまり実務には役に立たない」という理由がここにあります。

株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式などから構成され、「繰越利益剰

余金」は利益剰余金の中の一部です。

 

(2)評価・換算差額金とは

評価・換算差額金とは、株式などの有価証券について、購入した時の価値と現在の価値の差

額です。中小企業ではほとんど使いません。

 

(3)新株予約券とは

新株予約権とは、あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利のことをいいます。

これも中小企業ではほとんど使いません。

 

中小企業で必要な純資産項目は
基本的に株主資本の「資本金」と「繰越利益剰余金」だけ!

 

 

3 純資産の読み方

純資産は、会社の資産の中でも最も大事な資産なのですが、それにしてはあまり見られるこ

とのない資産です。しかし、会社は総資産が多いからよいのではありません。

確かに総資産は会社の規模や大きさを示す一つの指標ではあるわけですが、企業経営体質的

な良さを示すものではありません。企業経営体質的な良さや安全性は、「純資産の多さ」と

「手元資金の豊富さ」に依存することを忘れないようにしましょう。

 

企業経営体質の良さと安全性は
「純資産の多さ」と「手元資金の豊富さ」!

 

 

そこで「純資産」をどう読むべきか?! それは次の3点にまとめられます。

(1)純資産が多いか、少ないか

純資産は先ほど説明したとおり「資本金」と「繰越利益剰余金」です。

資本金は基本的に会社設立以来不動ですので、純資産の増減は繰越利益剰余金によってもた

らされます。繰越利益剰余金とは、毎期毎期の当期純利益の積み重ねです。つまり、毎期毎

期、黒字経営を続けることが、純資産を多くする秘訣です。

ごく平凡な結論ですが、なかなかこれを続けられる会社は意外と少ないのです。

 

会社の健全性は「黒字経営」という凡事徹底を続けること!

 

 

なお、繰越利益剰余金がマイナスとなり、資本金を超えた状況を「債務超過」といいます。

債務超過とは、総資産より負債が多いこと状態を指しており、仮に総資産も負債も同じ価値

基準で評価すれば「借金分さえの財産もない!」という状況です。

 

(2)純資産をどのくらい手元資金で持っているのか

いくら純資産が豊富にあっても、それがすべて設備などに回り、手元資金がなければ非常に

安定性のない経営と言えます。今回のコロナ感染拡大の影響による中小企業の状況を考える

と、よく理解できます。

したがって、純資産のある程度は手元資金として持ちたいものです。理想的には自己資本比

率を50%確保したうえで、純資産額の50%程度は手元資金として持ちたいものです。

 

(3)純資産の利益率(ROE)はどれくらいか

「ROE」はよく一般の会計書に出てくる用語です。それによく似た用語として「ROA」

という用語もあります。ROEとは、Return On Equityの略で、自己資本の効率「自己資本

利益率」という意味です。

この指標はもともと株式投資をしている利害関係者がいる場合に株式投資家にとっては重要

な指標ですので、その関係で経営者にとっても関心を持つべき重要な指標になっています。

しかし先ほども述べたとおり、中小企業には投資家などの利害関係者はいませんので、その

ような関心は不要です。またあまりにも自己資本額が少ないですから、それによって利益率

を測ったところであまり意味はありません。それよりも関心を持つべきはROAです。

ROAは、Return On Assetsの略で、資産の効率「総資産利益率」という意味です。

事業は、雇用と納税が究極的な目的といえますが、そのためにも稼がなくてはなりません。

その意味でROAに関心を持つことは重要です。ROAは理想としては20%程度は維持したいものです。

 

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、現代の荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?


掲載日:2020年5月6日 |カテゴリー:会計識字率

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