会計の視点 ビジネス三種の神器

 

 今回のコラムで皆さんにお考えいただきたいことは、日本の黒字企業割合が低いのは

果たして「景気の所為」だけなのでしょうかということです。

 もうそろそろ、私たちは気付くべきなのではないのでしょうか。

成熟した社会に加え少子高齢化と人口減少を迎えている中で、もう以前のような高度成長や

好景気はあり得ないことを。

そして利益率の低下や給料と社会保険料の高騰化、もう削れ切れない経費、さらには消費税

納付額の増加や借入金返済など、現代の経営には未だかってないほどの多くの障害物が立ち

はだかっています。

その結果、企業の規模を問わず、ドンブリ勘定や経験に基づく感による経営などでは、覚束

なくなっています。

 そこで会計には新しい目的が加わっており、会計で経営をコントロールしていかないと、

早晩障害物に突き当たり、中小・小規模企業経営ほど、二進も三進も行かなくなっているの

です

そんなこともあり、ずいぶん以前からですが、ビジネス三種の神器として、コミュニケーション、コンピューターに加え、カリキュレーションである「会計」が加わっています。

 

 今回からはそんな困難な経営を回避できる経営に必要な「会計の視点」というものを紹介

していきます。


掲載日:2019年9月18日 |カテゴリー:会計識字率

消費税10% 改正のまとめ

 

『消費税10%』コラムは今回で最終となりますので、最終の第9回目は「改正のまとめ」

です。これまで8回にわたってこの10月からの消費税改正はいままで消費税改正とは違い経営に大きな影響をもたらすと言ってきました。

最終回は今回の改正点を時系列にまとめ、その改正事項について説明します。

 

1 2019年(令和元年)10月1日

①標準税率が8%から10%に変更されます

 税率改正のポイントは、その内訳である「消費税率」と「地方消費税率」の割合も

 同時に変更されているということです。

②軽減税率8%が導入されます

 軽減税率はお酒と外食を除く飲食品と定期購読新聞に適用されることはご承知のとおり

 ですが、税率はこれまでと同じ8%であっても先ほどの標準税率と同様、その内訳である

 「消費税率」と「地方消費税率」の割合が変更されているということです。

 したがいまして、会計上はこれまでの8%、新しい10%、軽減税率8%と3つに分けて

 売上も仕入も経費も管理する必要があります。

 また軽減税率は提供の仕方によって適用されたり適用されないという場合もありますが、

 統一価格で提供してもよいともされています。

 ただその場合は提供の仕方によって本体料金は変化しますので、お客さんには統一価格で

 わかりやすくできますが、内部的には店内飲食でいくら、持ち帰りでいくらと把握するこ

 とが正しい対応ということになります。

③キャッシュレス・ポイント還元制度が始まります

 10月1日から来年6月30日まで、お客さんがキャッシュレスで購入された場合には

 5%のポイントが還元される制度が始まります。

 もちろんこの制度に参加するためには事業者側もキャッシュレスの対応をしなければなり

 ませんので、いくらかのコストがかかることになります。

 制度期間中はコストも安く抑えられるようですが、問題はサービス開始時の混乱と制度終

 了後のコスト増をどう考えるかです。そのことを踏まえてキャッシュレス・ポイント制度

 に参加するのか、しないのかを判断する必要があります。

④区分記載請求書等保存方式が開始されます

 10月1日からはさらに請求書等の記載変更や帳簿の記載変更もしなければなりません。

 そのポイントは税率がわかることと税率ごとの税込金額がわかることです。

 特に書式は定められていませんので、この2点がわかればよいことになります。

 

2 2021年(令和3年)3月31日

①総額表示方式特例措置の終了

 再来年の3月31日で「総額表示の特例」が終わります。

 これまで、税抜金額に別途消費税を表示することも認められていましたが、

 2021年4月からは必ず総額表示(税込表示)にしなければなりません。

 特に罰則等はないと思われますが、お店の信用・信頼にも影響しますので

 きちんと対応されるべきでしょう。

 

3 2021年(令和3年)10月1日

①適格請求書発行事業者の登録申請受付開始

 4年後の2023年から「インボイス制度」が開始されます。

 それに先だって、インボイスを発行するためには税務署に適格請求書発行事業者としての

 登録を申請しなければなりません。

 そして申請が通れば、国税庁のホームページに適格請求書発行事業者として自社の名称が

 公開されることになります。

 

4 2023年(令和5年)10月1日

①インボイス制度の開始

 4年後となりますが、いよいよ今回の消費税改正のメインイベント『インボイス制度』が

 始まります。

 この制度が始まると、これまでは請求書やレシートさえ保存していればそれに基づき

 「仕入税額控除」ができましたが、2023年からはインボイスである「適格請求書」が

 ないと仕入税額控除ができなくなります。

 なお、インボイスが発行できない免税事業者に対する配慮として

 2026年9月30日までは免税事業者からの仕入税額控除を80%まで、

 2029年9月30日までは同じく50%までできるようにされています。

 つまり、免税事業者はたとえ仕入れ等に消費税が発生しても、売上げ時に消費税として

 請求をすることはできなくなり、仕入れ等に発生する消費税を転嫁するためには値上げ

 するしかありません。 そういう時代が来るのに、あと10年です。

 

 

 今回の消費税改正は継続して申し上げているとおり、特に中小・小規模事業においては

「過去の消費税改正とは違う」という認識を持つべきだと思います。もう経営はドンブリ

勘定や感だけではできなくなります。計数に基づく経営が必須です。

 そうでないと4年後から10年後にはとんでもない状況になりかねません。

 よく考えましょう。


掲載日:2019年9月11日 |カテゴリー:トピックス

消費税10% 業種別の固有課題

 

『消費税10%』の第8回目は「業種別の固有課題」です。

経営における消費税の影響は業種によって違います。

今回はそんな業種別の課題について考えます。

 

1 飲食業の場合

・高級割烹からレストラン、すし店、居酒屋、定食屋、ラーメン店などさまざまな業態が

 ありますが、基本的にはファーストフードなどを除いて原則店内で食するわけですから、

 税率は標準税率10%となります。

・但し、一部お持ち帰りサービスをしている場合は、その場合は軽減税率8%となります。

・B2C産業ですからキャッシュレス・ポイント還元制度への対応や料金表示の対応なども

 考えなくてはなりません。

・料金表示の対応とは、店内食と持ち帰りの場合のことももちろん含みますが、

 もう一つ考えておかねばならないことは2021年(令和3年)3月31日で

 「総額表示方式の特例措置」が終了することです。

 したがって、料金表示は総額表示を基本に考えるべきかと思います。

・さらに大事なことは社用に対する対応です。

 4年後からはインボイス制度が始まりますので、インボイスが発行できないと、つまり、

 適格請求書発行事業者にならないと「仕入税額控除」が会社ではできなくなります。

 適格請求書が発行できない場合は社用需要が無くなるあるいは減る恐れがあります。

 

2 建設業やの場合

・10月から消費税が10%となりますから駆け込み需要が予測されますが、経営的には

 駆け込み需要を「如何にして起こさせるか」ということです。

 ※このことは建設業のほか、家電販売店や高級商品小売業などにも当てはまります

・その駆け込み需要をいかに9月中に納めるかが大事になります。

 10月に納めては元も子もなくなります。

・駆け込み需要があれば必ずその反動があります。だから「駆け込み需要」といわれるわけ

 ですが、具体的には10月以降の反動にどう対処するか、その反動対策も考えてえておく

 ことが大事になります。

 ※このことは建設業のほか、家電販売店や高級商品小売業などにも当てはまります

・売上に係る消費税「仮受消費税」に10%と8%がしばらく混在することになります。

 今年の3月31日までに契約した案件は、たとえ10月以降に出来上がっても消費税は

 「8%」となります。

 4月以降契約した案件が10月以降に出来上がった場合は消費税は「10%」です。

 また今年の3月31日までに契約し、4月以降追加受注があった場合は、10月以降に

 出来上がった場合でも4月以前に契約した部分は消費税「8%」となり、4月以降契約

 した部分は消費税「10%」となります。

 さらに仕入れや経費で軽減税率8%が発生する場合は、標準税率の10%・8%のほかに 軽減税率の8%も発生し3つに分けで管理する必要があります。

・外注として一人親方を使っている場合、形態的には常に同金額であるときには

 外注としては否認されていく傾向にあります。

 そうなれば、いままでは外注費だったので仕入税額控除もできましたが、それが無くなる

 ばかりか、社会保険料などの法定福利費も発生しますので、極めて経営を圧迫する状況に

 なります。

 

3 小売業の場合

 B2C型の小売業の場合はほぼ飲食業と同じ課題があります。

・一部商品をその場で食するサービスをされている場合は軽減税率8%が生じることとに

 なります。

・B2Cが基本の小売業の場合にはキャッシュレス・ポイント還元制度への対応や料金表示

 の対応なども考えなくてはなりません。

・また菓子店などで比較的社用の需要がある場合はインボイスに対する対応も考えなくては

 なりません。インボイスが発行できないと適格請求書が発行できる菓子店に需要が移って

 しまうことも予想できます。

 

4 イートインスベースがある場合

 ベーカリー店やお弁当屋さんなどではその場で食することができるイートインスペースを

 設けられているところもあります。

 その場合、お持ち帰りは8%、店内飲食は10%といちいちその場で税率対応をするのも

 大変ですから、共通料金で対応することも認められています。

 たとえば、アンパンを持ち帰り、店内飲食かかわらず170円にするなどです。

 そうした場合売上時に発生する仮受消費税は次のようになります。

  ■持ち帰りの場合

   本体売上高 170円÷110×100=155円

   仮受消費税 170円÷110× 10= 15円

  ■店内飲食の場合

   本体売上高 170円÷108×100=157円

   仮受消費税 170円÷100×  8= 13円

 

 

今回の消費税改正は、特に中小・小規模事業経営においては「過去の消費税改正とは違う」という認識を持つべきだと思います。

そうでないと4年後にはとんでもない状況になりかねません。よく考えましょう。


掲載日:2019年9月4日 |カテゴリー:トピックス

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