科目の読み方⑱ BSまとめ 1/2

これまで17回に分けて、『科目の読み方』について説明をして来ました。

最後にB/SとP/Lについての読み方を再度まとめ、終了にしたいと思います。

まず、今回は「BSのまとめ 1/2」です。

 

はじめに

 最初に、B/S・P/Lについて、次のことを理解してください。

1.「資産」とは運用資産

 ①現預金を除く資産は「財産ではなく、運用資産である」ということです。

  したがって、「現金と預金以外は100%回収できる保証はない」ことを理解して

  おきましょう。

 ②資産は「実際以上に膨らむ傾向がある」ということです。

  特に、売上債権・棚卸資産・固定資産の中には、

  すでに貨幣価値がないものが含まれていることが往々にあり、

  「資産の額=貨幣価値とはならない場合も多い」ということを理解しましょう。

 ③したがって、資産を貨幣価値で評価し直すと、帳簿よりも下がる場合が多いのです。

2.負債とは調達資金

 ①負債は、確かに「借金」ですが、一方、「調達資金」でもあります。

 ②したがって、負債はうまく活用すれば、

  自己資金だけでは実現出来ない、大きな事業をすることが可能となります。

 ③負債は、うまく活用することと、きちんと返済することが大事なのです。

3.純資産とは自己での調達資金

 ①純資産は、自社自身が調達した「調達資金」です。

 ②しかし、その金額すべてが、資金(現預金)であるわけではありません。

 ③したがって、純資産をなるべく現預金で持てれば、柔軟な経営を可能にします。

4.売上とは資金の源泉

 ①売上は資金の源泉、つまり、おカネになる元です。

 ②現金商売では違いますが、その他の商売では「売上=資金」ではありません。

 ③売上は売掛金を回収して初めて、資金(おカネ)となるものです。

 ④したがって、売上は売掛金を回収することが非常に大切なのです。

5.費用とは資金の使途

 ①売上原価・販管費など多くの費用科目がありますが、

  それらはすべて「資金の使途」といえます。

 ②いろいろな費用は、いずれ資金(おカネ)を社外に流出させます。

 ③したがって、費用を抑えられれば、資金繰りは良くなります。

この運用・調達・源泉・使途の4つことを理解できれば

あなたの『経営技術』は向上します!

 

1 手元資金

 ①手元資金とは、現金と預金の合計です。

 ②現金は、あまり多く、手元で持つものではありません。

  企業規模や業種にもよりますが、通常は数万円から十数万円もあれば十分です。

  それ以上に現金があると、リスク上の問題も発生しますし、

  ついつい現金管理もゆるくなってしまいます。

 ③「資金管理」といえば、『資金繰り表』や『キャッシュフロー計算書』を思い浮かべる

  経営者が多いですが、それらは結局のところ、いま、いくらの現預金があるのかという

  ことを表します。

  つまり、表現の仕方は違いますが、結論は現預金残高と同じなのです。

  その意味で、手元資金の管理さえしっかり行えれば、過去管理や資金収支分析である

  資金繰り表やキャッシュフロー計算書による資金管理は不要です。

 ④今期末の資金有高を常に予測管理したいというならば、

  前年の現預金出納帳をEXCELシート化し、そのシートを今年の実績で更新します。

  そうすれば、常に期末までの資金繰り予測ができるようになります。

  ※企業活動は毎年ほぼ同じ活動の繰り返しです。

   したがって、これで十分、資金繰り予測や資金管理ができることになります。

 ⑤手元資金有り高を評価するためには、『平均月商』と比較することが有効です。

  平均月商とは、会社の生活費です(赤字は足りないという意味です)。

  その平均月商何か月分の手元資金があるのかで、評価をします。

  これを『手元流動性比率』と呼びますが、

  最低でも常に平均月商の3カ月以上の手元資金があるように経営することが大事です。

 

2 売上債権

 ①売上債権とは、受取手形と売掛金の合計です。

 ②受取手形はなるべく受け取らないで済むように、得意先と交渉します。

  受取手形は持たない、それが現在のトレンドです。

 ③売上債権は多ければ多いほど「良い」というものではなく、適切な量があります。

  適切な量とは、「前月の売上高」であり、通常の企業取引では1カ月分程度です

  つまり、「翌月には回収する」ということです。

  ※建設業界など古い体質の業界では、もっと回収期間は長いかもわかりませんが、

   そこを如何に短くするか、これが経営の要諦です。

 ④売上債権は長く持っていれば持っているほど、『不良債権化』していきます。

  それの理由は「なぜ、支払われないのか」考えれば、わかります。

  答えは「資金繰りが苦しい」からです。

  だから支払期日には必ず入金していただくように、催促することが大事なのです。

  催促をすることは相手に失礼なことではなく、むしろ相手からの信用につながる

  ことを知りましょう。

  必ず、しっかり管理している会社だと評価され、やがて、支払もきちんとされるように

  なります。

 ⑤大事なことは、売上債権は財産でも何でもなく、単なるペーパー状態の運用資産である

  と理解することです。

  極端にいえば、売上債権が多くある経営ほどリスクは高く、適正であればリスクは低い

  ということです。

  しかしまた、少な過ぎても、売上が少ないなどの経営リスクが生じて来ます。

 

3 棚卸資産

 ①棚卸資産とは、「在庫」のことです。

 ②在庫とは、これからまだ売れるかもしれない商品であると同時に、

  売れ残った商品でもあります。

 ③したがって、売れ残った商品である過剰在庫を少なくすることが、

  売上原価を抑えて、粗利益率を向上させる秘訣です。

 ④より正確な月次損益を把握するためには、毎月、棚卸高を洗い替える必要があります。

  ※棚卸高の洗い替えとは、期首月には期首棚卸高と月末棚卸高を計上し、

   翌月からは、月初には月末棚卸高を戻し、月末に再計上することをいいます。

 ⑤棚卸資産の適正高は業種によって異なりますが、一般的には売上14日分程度と考え

  られます。

 

4 運転資金

 ①運転資金とは、売上債権と棚卸資産の合計金額です。

  この金額が、販売活動のために運用している資金合計です。

 ②それに対して運転資金調達高は、買入債務(支払手形+買掛金)の合計金額です。

  この金額が、販売活動を通じて調達している資金合計となります。

 ③したがって、この両者のバランスが取れていれば、運転資金は回っていきます。

 ④その算式は、「要調達運転資金=(売上債権+棚卸資産)ー買入債務」です。

  この『要調達運転資金』は、運転資金の不足額を示しています。

  なお、この不足額は手元資金で補うことになりますので、

  手元資金が不足する場合は、金融機関から借り入れることになります(短期借入金)。

 ⑤さらにこの要調達資金を年商で割り算すると、『運転資金要調達率』がわかり、

  売上を増やす場合の必要運転資金(=増加目標売上高×運転資金要調達率)が、

  推測できます。

 

5 固定資産

 ①固定資産とは、製造するため設備機器などのことです。

 ②固定資産を最大限に活かし、設備投資を最小に抑えることが出来れば、

  高効率な経営体質に変貌させることが出来ます。

 ③そのためには常に「売上高÷固定資産」という算式で『固定資産回転率』を知り、

  固定資産の生産性を測る必要があります。

  この固定資産回転率も業種によって違いますが、最低でも4回転はさせたいものです。

 ④固定資産の導入には多額の資金が必要となりますが、その資金の出所もしっかり押さえ

  たいところです。

   固定比率   =固定資産÷純資産×100

   固定長期適合率=固定真÷(固定負債+純資産)×100

  固定比率は、できれば200%以内に抑え、固定資産購入資金の約半分は

  自己資金で賄いたいところです。

  固定長期適合率は、100%未満でなければ、絶対いけません。

  これが100%を超えるということは、自己資本と長期借入金だけは資金が足りず、

  無理無謀な固定資産投資をしていることになります。

  このような言い方ではピンと来ないかもわかりませんが、

  たとえれば、住宅を一部、サラ金も入れて購入しているようなものです。

  このように言い換えると、如何に無理な固定資産投資をしているのかが理解できます。

 

 

 

このように会計の理解が深まれば、それだけ経営技術を向上させることが出来ます。

会計ルールには、健全な経営をしていくための意味が隠されているのです。

したがって、科目の読み方や意味がわかれば、健全な経営をする道すじが見えてくるように

なります。

もう、どんぶり勘定や勘ははるか過去のものです。

管理会計と会計で読む力がいま問われているのです。 会計はたのしい!


掲載日:2022年5月25日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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