科目の読み方 閑話:仕訳とは

ここまで「科目の読み方」について説明してきましたが、ここでちょっと一休み、

科目の読み方のベースとなる『仕訳』について考えてみたいと思います。

なぜなら「仕訳」に対する理解は、科目の読み方に繋がってくるからです。

仕訳の理解が深まれば科目の読み方がわかってくる!

 

 仕訳とは簿記で、取引の勘定科目を決定し、借方と貸方に分けることをいいます。

普段の言葉に置き換えれば、仕訳とは取引の分類の仕方に過ぎません。

いうなれば、今年の干支であるトラは哺乳類に分類する、ヘビなら爬虫類に分類する

ことと同じことなのです。

仕訳とは取引の分類の仕方に過ぎない!

 

 その共通の分類をもとにB/SやP/Lが作成されますので、

どこの企業の月次試算表や決算書であっても読むことが出来るわけです。

 では、その「共通のルール」とは何なのでしょうか? それは、

共通のルールとは「取引を2つの目で見る」ことです!

 

 2つの目とは、資金の「調達」と「運用」、それに資金の「源泉」と「使途」です。

B/Sならば、おカネがどのように「調達」され、そしてそれがどのように「運用」されているのか、ということです。

P/Lならば、おカネの「源泉」は何で、そしてそれがどのように「使途」されたのか、

ということです。

おカネの運用と使途の増加は左側の「借方」に、

おカネの調達と源泉の増加は右側の「貸方」に記載するルールになっています。

減少はそれぞれ逆になるだけですので、それを省略してまとめると下記のようになります。

 借方)運用の増加 主なもの:資産  貸方)調達の増加 主なもの:負債

    使途の増加 主なもの:費用     源泉の増加 主なもの:売上

これが仕訳といわれるものの根幹です。

 

 たとえば、現金が増えた場合なら、必ず、現金が増えた原因があるはずです。

売上とか、借りたとか、預かったとか、云々です。

そうすると、 現金○○円/売上○○円  現金○○円/借入金○○円

       現金○○円/預り金○○円 となります。

また、ツケで仕入をしたとか、現金で仕入をした場合は

       商品仕入○○円/買掛金○○円  商品仕入○○円/現金○○円

となります。

 

 そしてそれらを科目ごとに集計すればと、

配置の順番は決まっていますので、B/SやP/Lが出来上がるようになります。

 

 これらの説明を専門用語を使いながら説明すると、

以下のように、普通の書籍に書かれているようになっていくわけです。

 

1 「2つの目」のことを複式簿記という

 複式簿記では、次のように、借方と貸方に分けて考えます。

  (項 目)    (左:借方)    (右:貸方)

   資 産     資産 の増加    資産 の減少

   負 債     負債 の減少    負債 の増加

   純資産     純資産の減少    純資産の増加 

   費 用     費用 の増加    費用 の減少

   収 益     収益 の減少    収益 の増加

 

2 借方・貸方のルール

 借方・貸方には次のようなルールがあります。

1.借方・貸方の金額は必ず一致する

  つまり、左と右の金額が必ず同じです。

2.取引は次の5つの項目に必ず分類される

  5つの項目とは、資産、負債、純資産、費用、収益です。

 ①資産はさらに、流動資産・固定資産・繰延資産に分ける

  現預金や売掛金などは流動資産、土地や建物などは固定資産、開業費などは繰延資産

  です。

 ②負債はさらに、流動負債・固定負債に分ける

  買掛金や未払金などは流動負債、長期借入金などは固定負債です。

 ③純資産は資本金や繰越利益剰余金などです。

 ④費用は商品仕入や広告宣伝費、通信費、水道光熱費などです。

  これらの費用は、売上原価、製造原価、販管費及び一般管理費などに括られます。

 ⑤収益は売上高、受取利息、雑収入などです。

  売上高から製造原価を含む売上原価を引いたものは「売上総利益」といいます。

  売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものは「営業利益」といいます。

  営業利益から営業外損益を加算減算したものは「経常利益」といいます。

  経常利益から特別損益を加算減算したものは「税引前当期純利益」といいます。

  税引前当期純利益から法人税等を引いたものは「当期純利益」といいます。

  いわゆる『5つの利益』と言われるものです。

 

3 月次試算表・決算書とは

 借方・貸方に仕訳したものを勘定科目ごとに集計すると、

B/SやP/Lなどが作成できます。

 月々のものを「月次試算表」といい、決算月のものを「決算書」と言います。

(1)B/S(貸借対照表)

 借方には資産が記載され、貸方には負債と純資産が記載されています。

 主に会社の財政状態を把握するもので、会社の安定性などを推測することができます。

 また税務署や取引金融機関等の外部機関や決算公告として公表される資料でもあります。

(2)P/L(損益計算書)

 借方には費用が集計され、貸方には収益が集計されています。

 主に会社の経営成績を把握するもので、会社の年度売上や年度利益などの業績を把握する

 ことができます。

 また税務署や取引金融機関などの外部機関に公表される資料でもあります。

(3)決算書

 金融商品取引法では、前述の貸借対照表・損益計算書に加え、キャッシュフロー計算書や

 株式資本等変動計算書および付属明細書などを指します。

 法人の所得税・消費税申告書も添付し、融資を受ける際に金融機関に提出することもあり

 ます。

 

4 実際の仕訳例

 下記の仕訳例を参考に、仕訳のイメージを掴みましょう。

①仕入先からツケで商品を10万円仕入れた。

 借方 仕入(費用の増加) 10万円   貸方 買掛金(負債の増加) 10万円

 ※仕入は損益計算書に、買掛金は貸借対照表に反映されます。

②仕入先から現金で商品を10万円仕入れた。

 借方 仕入(費用の増加) 10万円   貸方 現金(資産の減少)  10万円

 ※仕入は損益計算書に、現金は貸借対照表に反映されます。

③仕入先に買掛金10万円を現金で支払った。

 借方 買掛金(負債の減少)10万円   貸方 現金(資産の減少)  10万円

 ※買掛金、現金は貸借対照表に反映されます。

④顧客に商品20万円を現金で販売した。

 借方 現金(資産の増加) 20万円   貸方 売上高(収益の増加) 20万円

 ※現金は貸借対照表に、売上高は損益計算書に反映されます。

 

 

このように正体を知ってしまうと会計ってカンタンなものなのです。

何しろ、加減算しか使いません。

これからの時代は中小企業も会計を委託するのではなく、自社で行い、深く理解することで

経営に活かす時代です。

そうすると、会計はたのしいものとなります。

 


掲載日:2022年3月23日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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