科目の読み方⑧ その他の流動負債

今回の「科目の読み方」は『その他の流動負債』です。

 

1 その他の流動負債とは

 「その他の流動負債」とは、これまで取り上げた、買入債務(支払手形と買掛金)、

短期借入金および1年以内返済長期借入金、仮受消費税以外の科目となります。

とは言えども多くの科目がありますので、ここでは比較的どこの企業でも使われる、

未払金、未払費用、預り金、賞与引当金の4科目を取り上げます。

(1)未払金

 「未払金」とは、継続的な取引ではなく、単発的に発生する債務を処理する科目です。

少しわかりにくいので事例で説明しますと、

ときどき発生する事務用消耗品費や備品消耗品費など、経費の購入を後払いで購入した場合に使用します。

事務消耗品や備品消耗品の購入は比較的どの企業でもありますので、未払金は多くの企業で

使用されることになります。

 なお、支払が1年を超える場合には、固定負債の「長期未払金」に計上します。

たとえば1年以上支払が滞っている債務や1年以上に渡って割賦で支払する債務などです。

この区分をしっかりしないと経営分析に影響を及ぼしますので、未払金と長期未払金の区別

はきちんとしましょう。

単発的な経費の後払いは「未払金」と「長期未払金」にきちんと区別する!

 

(2)未払費用

 「未払費用」とは、契約(口頭も含む)に従って継続したサービスを受けている費用です。

たとえば、毎月の通信料、水道熱費、地代家賃などのように、月末までに請求が来ていて、

まだ支払日が到来していないような費用やあるいはリース料金のようなものです。

 企業会計原則では、「未払費用は一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。」と説明されて

います。

未払費用は継続したサービスを受け、支払期日が翌月のため、

まだ支払っていない経費です!

 

(3)預り金

 「預り金」とは、役員や従業員などが負担すべき費用を一時的に預かる際に使用する科目

です。

たとえば、給与支給時には、本人負担分の社会保険料や源泉所得税、都民税などを会社は

預りますので、その時に使用します。

預り金は納付期日までに、会社負担分の社会保険料を合わせて支払います。

納付漏れがないように注意しましょう。

預り金は給与処理のときなどに使う科目です!

 

(4)賞与引当金

 賞与は通常、夏と冬に支給しますが、その支給対象期間は、例えば1月から6月までを

対象に夏季賞与を支給するとか、7月から12月までを対象に冬季賞与を支給するなど、

各企業で決まっています。

 しかしおカネが実際に動くのは6月と12月だけで、それに合わせて費用としても6月と

12月だけに計上されるだけということでは、損益としてもおかしいな話でもあります。

そこで、毎月6分の1の概算賞与額を引き当てておくのが、この「賞与引当金」です。

 そもそも「引当金」とは、将来発生する特定の費用や損失に備えるため、あらかじめ当期

の費用として繰り入れて準備しておく概算見積もり金額のことをいいます。

具体的には賞与引当金のほか、将来の退職者への「退職給付引当金」、取り立て不能な売掛

金などの「貸倒引当金」があります。

引当金には賞与引当金のほか、退職給付引当金、貸倒引当金などがある!

 

 

2 その他流動負債の読み方

(1)資金的な状況を読む

 その他の流動負債を含めて「流動負債」とは、資金調達のひとつであると同時に、

債務でもあります。 しかも、早々に返済しなければならない債務です。

そこで、その資金の運用は、いつでも返済できるもので運用したいところです。

その考え方で読む方法が「流動比率」です。

流動比率= 流動資産÷流動負債 ×100

 

しかし、企業によっては、流動資産はすべて資金化できるわけでありません。

不良債権や不良在庫が混在している場合もあります。

しかし、流動負債はどの企業も余計なものを計上していません。

したかって、流動負債は100%支払わなくてはなりません。

そうすると「流動資産=流動負債」という状況の流動比率では、十分ではありません。

具体的には企業個別で考える必要がありますが、ザックリ言えば「200%」は堅持したい

ところです。

自社は「流動比率200%」ありますか?

 

 そこで、もう少し固く支払能力を把握したければ、「当座比率」を見ます。

当座比率= 当座資産÷流動負債 ×100

 

当座資産とは、流動資産より確実に資金化できる運用資産です。

つまり、現預金と売上債権だけのですので、在庫やその他流動資産は該当しません。

より堅実な運用資産だけで流動負債と比べていますので、固い読みとなります。

しかしそれでも不良債権が含まれている可能性がありますので、「120%」程度は欲しい

ところです。

自社は「当座比率120%」ありますか?

 

 さらにさらに、固く支払能力を読むには「手元資金比率」を見ます。

手元資金比率= 現預金÷流動負債 ×100

 

これは現預金だけですから、これだと100%決済能力があります。

これが常に「100%」あれば、債務の返済に心配は不要です。

自社は「手元資金比率100%」ありますか?

 

(2)賞与資金状況を読む

 その月までに必要な賞与資金額とは、毎月計上している「賞与引当金」となります。

しかしこれは「計上」しているだけであり、おカネを積み立てているわけではありません。

そのためには、賞与引当金と同額程度の預金があることが必要です。

それを管理する方法が、前回の『科目の読み方⑦ 仮受・仮払消費税』でも紹介した、

預金科目で口座別管理する方法です。

 前回紹介した下図の「消費税納付用」に加えて、「賞与支給用」という口座を設定し、

賞与引当金相当の金額を振り替えていくということです。

「消費税納付用」にプラス「賞与支給用」という口座を設定するとこのようになります。

その振替えができているのであれば、賞与資金は足りているということになります。

 

 

会計はこのように工夫すれば、

毎日の経営に資する情報を提供するように変貌を遂げていきます。

このような会計を管理会計というわけですが、

税金のための会計や銀行だけを意識した会計から脱皮しましょう。

だから会計はたのしい!

 

 


掲載日:2022年3月2日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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