経営計画(予算)の作り方 前編

2021年もいよいよ終わろうとしています。

この1年も新型コロナウイルスに振り回された1年でしたが、

このコロナ感染拡大時の経営で、経営計画に基づく経営がいかに大切かと感じられた

経営者の方も多かったのではないのでしょうか。

経営計画があれば、経営の狂いに一早く気付くことができます。

したがって、打ち手もそれだけ早く講じられることになります。

コロナ感染拡大だけに限らず、近年は国内問題や国際関係あるいは温暖化問題など、

以前より数段早く、経営に影響を与えるようになってします。

それだけに経営計画や予算立案の重要性は格段に高まっており、それも経営規模に関係なく

経営計画の必要性は増しています。

そこで今回から、これまでの財務に関する知識に基づいた実務的な経営計画(予算)の

作り方を2回に渡ってご紹介します。

 

1 経営計画策定に際して準備する材料

料理を作るのにも材料が必要なように、経営計画を策定するにも準備する材料があります。

それは次のとおりです。

 ①今年の売上高

 ②今年の限界利益率

 ③今年の人件費合計

 ④今年の経費合計

 ⑤来年の借入金返済額

 ⑥来年の目標利益額

この6点が準備できていれば、大枠の経営計画は策定出来ます。

では、その策定の要領を紹介しましょう。

 

2 最初に来年の必要利益を考える

経営計画策定の要領は底から作り始めるということです。

建物でもまず基礎からか作りますが、それと同じです。

その経営計画の基礎とは『必要利益』です。

来期の目標を売上高に置く売上志向の経営者が多くおられますが、

売上高はプロセスの目標であり、あくまでも最終の目標は『利益の確保』です。

このことを忘れないようにしましょう。

経営計画の目標は売上高達成ではなく『利益の達成』です!

 

その来年の必要利益には「借入金の返済額」を加えねばなりません。これがポイントです!

何故なら当コラムでも何回も説明しているとおり、借入返済は利益の中からするからです。

もし利益より借入返済額の方が大きければ、それは手元の現預金から不足額を支出すること

になります。よって、資金繰りを苦しくすることになります。

仮に、目標とする利益額が100万円、年間の返済金額が240万円とすれば、

来年の必要利益は340万円となります。

 

3 次に来年の必要固定費を考える

来年の必要固定費は「人件費と経費の合計」です。

人件費は役員報酬と従業員の給与と賞与からなります。

それに忘れてならないのは社会保険料です。

役員報酬はともかく、従業員の給与・賞与は昇給させたいものです。

なぜなら従業員の給与・賞与は、従業員同士が協働し、組織で目標を達成するための行動で

ある職場のモラールの大きな源泉のひとつだからです。

従業員の給与・賞与は職場のモラールの大きな源泉の一つです!

 

仮に今年の役員報酬が800万円、従業員が3人いて給与・賞与が1800万円であれば、

役員報酬を800万円の据え置きで、従業員の給与・賞与の昇給を6%とすれば、

給与・賞与は1908万円となります。

それに社会保険料を15%と見積もれば406万円となりますので、

総人件費は3114万円となります。

経費は今年の実績1000万円で、費目別に増減があったとして同額にすることを目標と

するならば1000万円ですので、来年の必要固定費は4114万円となります。

 

4 そして来年の売上高目標を考える

ここまで考えれば、もう来年の売上高目標は計算できます。

計算する算式は次のとおりです。

来年の売上高目標=(必要固定費+必要利益)÷限界利益率

 

ここで注意することは売上総利益率ではなく、『限界利益率』ということです。

売上総利益率は全部原価計算の売上原価を除いた利益率という意味ですが、

限界利益率は直接原価計算の直接原価だけを除いた利益率ということに気をつけましょう。

限界利益率は「直接原価÷売上高」である!

 

仮に今年の限界利益率が55%であれば、来年の限界利益率は少なくとも同率か、

あるいは少しでも付加価値を上げるという方針を反映させて2%上げるとか考えます。

ここでは後者を採用し57%とします。

そうすると、

 来年の売上高目標=

(必要固定費4114万円+必要利益340万円)÷目標限界利益率57%=7814万円

となります。

 

因みにこの事例から、人件費や限界利益率が今年と同じとした場合の売上高を推測すると、

次のようになります。

(今年の固定費3990万+必要利益340万円)÷今年の限界利益55%=7872万円

*今年の固定費3990万

  =役員報酬・給与・賞与2600万+社会保険料390万+その他固定費1000万

 

ほぼ、同額の売上高が必要になることがわかります。

これによって、如何に限界利益率を改善することが、従業員への分配を増やすことや

必要利益を増やすことを実現させることを可能にさせるか、理解できるかと思います。

 

営業成績の改善には固定費を下げることも大事ですが、

限界利益率を上げることがさらに重要です!

 

これで大枠の経営計画は出来上がったわけですが、

次回は経営計画を細部に掘り下げ、経営計画策定のポイントをお届けします。


掲載日:2021年12月15日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

本店:〒355-0062 東松山市西本宿1968-1
坂戸:〒350-0233 坂戸市南町35-20
0120-634-154
営業時間 8:30~17:30 定休日 土・日・祭日