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新型コロナ感染拡大、第2回目の緊急事態宣言と、
経営環境は大きく変化し、そして厳しくなって来ています。
そんなときに必要になるのが経営状況の羅針盤である「会計」を読み解きながら、
経営の舵取りをすることです。
ぜひ、実務的な会計の読み方を習得してください。
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さて、いよいよ「負債の読み方」も終わりに近づいてきました。
今回のテーマは「固定負債」です。
固定負債とは、長期(1年超)にわたって返済できる負債です。
したがって、長く運用する資産の調達資金として最適です。
そんな「固定負債」について、実務的な読み方を理解しましょう。
(1)長期借入金
固定負債とは、固定性の負債という意味です。
会計では「ワン・イヤー・ルール」に基づき、流動性と固定性に分けています。
そんな固定性負債である他人資本の主なものとして、「長期借入金」と「役員借入金
(あるいは長期未払金)」があげられます。
ただし、長期借入金についてはその中に1年以内に返済する部分がありますので、
しっかりとした企業経営をするためにも、その部分は流動負債の「1年以内返済長期
借入金」に区分することが、すでに説明したとおり大事です。
いまだに「長期借入金」があるのに、「1年以内返済長期借入金」が計上されていない
場合は、企業会計志向でない証左だともいえます。
(2)役員借入金
役員借入金とは、事業資金不足をオーナー経営者が資金提供しているものです。
したがって会社にとっては金利負担がなく、また契約書に基づく返済期間や毎月の返済額も
定められていないことが多く、一部金融機関などでは「自己資本」と見做してくれるところ
も多いのですが、しかし一方、オーナーが資金提供しなければならないほど資金繰りが苦し
いのかという見方もありますので、けっして良い評価ばかりが得られると限りません。
そこで、役員借入金を「長期未払金」と表示している場合もありますが、実態に変わるこ
とはありませんから、ほめられたものではありません。
問題の本質は「資金繰りが苦しくなっている」という事実です。
事業から得られる資金だけでは足りなく、オーナー経営者が資金提供しているわけですから
まさに「赤信号が点滅している」ということを自覚しなくてはなりません。
すぐにでも経営改善の方向性を明確にし、経営改善を着手することが大切です。
なお、役員借入金が多いパターンは、一部、創業間もない企業が当初資金だけでは不足し
その不足部分をオーナーが補っている場合もありますが、その多くは戦後まもなく創業し、
高度経済成長の波に乗り、成長した創業50年前後の企業に多く見られます。
高度経済成長期で得た財産を、経営環境の変化に対応できない現在の経営に投げ出している
状況です。一時、大きな成功を収めたばかりに、その思いが経ち切れず、経営の舵を切れない状況が続いているという状況です。
以前の成功は大いに称えられるものですが、それはそれとして、いつまでも過去の成功体
験を元にした経営では現代には通じないことを客観的に知ることが大事です。
昔やって来られたように、いまも変革に挑戦しなければならないということです。
さて、そんな固定負債ですが、それをどのように読めばよいのでしょうか?
「いま固定負債はいくらある」、「昨年より減っているあるいは増えてしまった」だけでは
読んだことになりません。
多角的に他の項目と比較して現状の状況を知り、経営的な判断をすることが大切です。
固定負債とは長期にわたって返済できる負債であることは説明しました。
したがって、長く運用する資産の調達資金として最適であることも説明しました。
そこに読み方のヒントがあります。
では、長く運用する資産とは何んでしょうか?
それは事業における設備である固定資産ですね。 それと比べてみることが大切です。
また、設備投資資金に適した資金は、固定性調達資金ですが、固定性調達資金とは、
固定負債の他に自己資本つまり純資産があります。したがって、それを加えて比べます。
固定資産2500万円÷(固定負債2000万円+純資産1200万円)
=固定長期適合率78.1%
「固定長期適合率」という名称は大変難しい名称ですが、
名称に惑わされなずに考え方を学びましょう。
要は「設備投資は自己資本と長期返済ができる調達資金内で行いなさい」ということです。
設例の場合、8割内程度で設備投資を行っていますから、資金調達に関してはまずは適切
だと判断できます。
これが100%を超えてしまうと、超えた部分は短期返済資金で投資を行っていることになりますから、資金の運用としては問題です。
念には念を入れて、設備投資と自己資金を比べてみることも大切です。
自己資金とは、つまり純資産ことですね。
固定資産2500万円÷純資産1200万円=固定比率208.3%
これだと自己資金の2倍以上の設備投資をしていることになります。
たとえば一生住み続ける住宅でも、頭金は最低でも20%程度は必要だと言われています。
つまり、固定比率500%ということになります。
しかし、事業設備は住宅のようにずっとは使い続けられませんので、そこから類推すれば
最大でも200%程度と考えるべきかと思います。
とすると、いまの状況は目一杯と判断できます。
(1)自己資金を増やす
自己資金を増やすとは、具体的に言えば、繰越利益剰余金を増やすということです。
繰越利益剰余金を増やすには、やはり経営の「黒字経営化」が大前提です。
(2)遊休固定資産の処分
設備の稼働状況は思いのほか、変化がはげしいものです。
もう動いていない設備、稼働の低い設備は思い切って処分することが大切です。
①固定負債とは、長期(1年超)にわたって返済できる負債です。
したがって、長く運用する資産の調達資金として最適であることを理解しましょう。
②長期借入金には1年以内に返済する部分が必ずあります。
しっかりとした企業経営管理をするために、その部分は流動負債の「1年以内返済
長期借入金」に区分して管理しましょう。
③役員借入金があるということは「変革に挑戦しなくてはならない」ことを伝えています。
④固定長期適合率(固定資産と固定性資金調達額の比較)は100%が限度です。
⑤固定比率(固定資産と自己資本の比較)は200%が限度です。
何度も申しあげていますが、
会計は決算・税務申告のためだけにしている「事務」ではありません。
会計は経営判断を行うために、日々行っている「経営管理(マネジメント)業務」です。
いまほど経営に手腕が求められている時代はありません。
会計とマーケティングを駆使して常に経営を革新し、永続的に続く経営を目指しましょう。
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戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。
そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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