会計の読み方 未払いおよび預り

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新型コロナ感染拡大・第2回目の緊急事態宣言と、

経営環境は大きく変化しそして厳しくなっています。

そんなときに必要になるのが経営状況の羅針盤である会計を読み解きながら

経営の舵取りをするということです。

ぜひ、実務的な会計の読み方を習得してください。

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 今回のテーマは、『未払いおよび預り』です。

企業には前々回で見てきた仕入れに関する未払のほかに、

経費等に関する未払いがあります。 それが今回のテーマです。

そんな未払いと預りについて、中小ビジネスにとっての実務観点から見ていきましょう。

 

第10回 未払いおよび預りの読み方

 『未払いおよび預り』は負債中の「流動負債」に表示されています。

ということは『未払いおよび預り』はこれから近々に決済しなければならないものですが、

「運転資金」として調達している資金という性格もあるということです。

 まず、このことを再度認識しながら未払いと預りの運用と返済のマネジメントをしていき

ましょう。

 

1 事業における「未払い」と「預り」とは

(1)中小ビジネスにおける「未払い」とは

 中小ビジネスにおける「未払い」は次の3つに分類されます。

その1つが前々回に説明した、仕入れにおける「未払」です。

これには『支払手形』と『買掛金』がありましたね。

2つめは仕入れ以外でいちいち契約するのではなく単発的に発生する、支払期限が短い

「未払」です。 これを『未払金』といいます。

3つめは同じく仕入以外ではありますが、契約に基づいて継続的に発生する支払期限が短い

「未払」です。 これを『未払費用』といいます。

 

 詳しくは企業会計のルールである「企業会計原則」で定められていますので、

ご興味のある方はそちらを参照してください。

このルールは利害関係者が正しく投資している会社の状況を判断するために定められている

のですが、しかし一般の中小企業は上場企業のように直接市場から資金調達していません。

したがってあまりそれに準じて会計処理をする必要はないともいえます。

つまり、どちらでも構わないということです。

 むしろそれよりも中小ビジネスにおいては、未払いの内容に応じて、内訳を管理する

ということが大事です。

なぜなら、それによって何が計画よりも増えているのか、資金繰り的にはどうなのかなど、

多くのことが判断できるからです。

未払いには『買入債務』と『未払金』『未払費用』の3種類がある

未払金と未払費用は内容に応じて内訳管理することが大事である!

 

(2)中小ビジネスにおける「預り」とは

 「預り」とは、他人資本ですから負債ではありますが、借金とは少し違ったのもです。

本人が支払う代わりに一時的に預り、期日が来れば本人に変わって支払うという性格のもの

です。 これには次の2つがあります。

 

 1つは本人代わって納付する社会保険料や源泉所得税である「預り」です。

これを『預り金』といいます。これは必ず期日内に納付しなければなりません。

 2つめは顧客から売上代金と一緒に預り、顧客に代わって納付する「消費税」です。

これを『仮受消費税』といいます。

この金額を把握するためには会計を税抜き経理しなくてはなりません。

預りには『預り金』と『仮受消費税』があり、

両方とも期日内に支払うことが預かった企業の義務です!

 

 さて、そんな『未払いおよび預り』ですが、それをどのように読めばよいのでしょうか。

読むといっても「いま未払・預りがいくらある」とか、「昨年よりは減った・増えた」では

読んだことになりません。ただ計算しただけに過ぎません。

 では、どのように読めばよいのでしょうか? それは、多角的に『未払いおよび預り』を

比較することです。

多角的に比較して会社の未払い・預り状況を読み、経営的な判断をすることです。

未払い・預りを読むとは多角的に比較し、

その運用と決済について良し悪しを判断することです!

 

 では、どんなものと比較して、読めばよいのでしょうか?

 

2.未払いの増減をチェックする

 まず、未払いの増減状況をチェックしましょう。

未払いは仕入れを除く「費用の未払額」ですから、基本的には前年と同様か、

できれば経営環境が不透明な中ですので、少しでも減らしたいものです。

当月未払い額90万円-前年同月未払い額80万円=増減額+10万円 

 しかし「昨年より10万円増えているのか・・」で終わってはいけません。

ここで活きてくるのが、未払の内容に応じた「内訳管理」です。

未払の内訳管理をしていると、何が増えて、何が減っているのか、一目瞭然となります。

具体的にわかるわけですから、検証が可能になります。

 増えるべき経費が増えているのか?

 減らすべき経費が増えているのか?

それによって、同じ増加でも見え方が違ってきますね。それが未払の内訳管理の効果です。

未払を内訳管理すると、その状況がクリアに見てくる!

 

3.預り金の増減と、手元資金と比べる

 次に預り金ですが、預り金は社会保険料と源泉所得税を本人から預かっている金額です。

(1)増減を見る

 まず、その増減を確認しましょう。

当月預り額100万円-前年同月預り額110万円=増減額△10万円

 昨年と比較すると、10万円減っています・・。 この状況をどう読みますか?

経営は厳しい状況ですが、しかし、この状況は喜んではいられません。

なぜなら、預り金が減っているということは、給与支給額が減っているということだから

です。

今は人件費をできれば高めていくことが、各経営者に求められている使命でもあります。

それをテコに「士気」も高めたいところです。

預り金の減少は人件費の減少を示している

できれば上げることが経営者の使命です!

 

(2)手元資金と比べる

もし、経営状況が苦しい状況であれば、手元資金とも比べておきましょう。

手元資金510万円÷(当月預り額100万円×2)=2.55倍

 ポイントは、社会保険料は会社負担分も別途ありますので、ザックリ2倍にするという

ことです。源泉所得税は2倍になりませんが、あまり細かく考えないで、それは安全性と

捉えザックリと見てみましょう。

これはどのくらいあれば良いとかいうことはありませんが、この事例の2.5倍程度では、

「かなり資金繰りは厳しい」ということが自覚でき、判断できます。

 

4.仮受消費税は納付額の試算と、手元資金と比べる

 仮受消費税とは、顧客から預かっている消費税です。

(1)納付額の試算をする

 会計を「税抜き経理」していると、この『仮受消費税』と仕入や経費などで支払っている

『仮払消費税』が常に計算できます。

そして、『仮受消費税』から『仮受消費税』を引き算すると、おおよその消費税納付額が

計算できます。

仮受消費税960万円-仮払消費税480万円=概算消費税納付額480万円

 最終的には決算整理や消費税の計算方式によっても若干異なってきますが、概算はこの

計算をすることでいつでも確認できます。

 

消費税率は現在10%ですので、納付額は想像以上に多く、中小企業の中では無意識の内に

仮受消費税を運転資金として運用してしまい、消費税納付時に困っている企業が多いことも

事実です。

そうはならないためにも、経理は税抜き経理を行って、常に概算の消費税納付額を確認して

おくことは大事なことです。

消費税率10%時代、常に概算納付額を把握しておくことは

最重要マネジメントのひとつです!

 

(2)手元資金と比べる

 概算消費税納付額が把握できれば、次にマネジメントすべきことは納付資金状況です。

(手元資金510万円÷概算消費税納付額480万円)-100

      =消費税納付余裕率6.25%

 消費税納付余裕率が6.25%ということは、

いまの手元資金ではなんとか消費税は納付できますが、納付したなら、たちまち手元資金が

無くなってしまうことを示しています。 つまり手元資金は不足しているということです。

この状況では、納税資金手当てを考える必要があることを示しています。

ある程度の企業はここまでは考えますが、さらに大事なことはそのあとのことです!

そのあとのことを考えないために、厳しい経営を繰り返している企業が多くあります。

 そのあとのこととは「借入金の返済計画」であり、かつ「増収計画」です。

納税資金手当とは、「借入と返済」と「増収計画」がセットです!

 

5.未払いおよび預りを改善する方法

 最後に、これら『未払いおよび預り』を改善する方法について、簡単に触れます。

(1)未払金および未払費用

  1.内訳管理をして、それぞれの状況を掌握する。

  2.基本的には前年維持または前年削減とする。

  3.執行する経費はメリハリをつける。

(2)預り金

  1.預り金の方向性は、前年比アップそして人件費の増額です。

  2.士気の向上とは、付加価値(粗利)の向上であり人件費増額の余地を作ることです。

(3)仮受消費税

  1.常に概算の消費税納付額を把握する。

  2.概算の消費税納付額と手元資金とを比べる。

  3.毎月の概算消費税納付額分を積立預金すれば、納税資金に困ることはなくなる。

  4.納税資金手当は借入と返済、増収計画をセットで考える。

(4)経営の黒字化、高付加価値化

  1.やはり、経営の「黒字経営化」が基本中の基本です。

  2.さらに、経営の「高付加価値化」を実現する必要があります。

 

 

 これまでも何度か申しあげてきましたが、会計は決算や税務申告のためだけにしている「事務」では、決してありません。

むしろ会計は会社経営の判断をするために日々行っている「経営管理、マネジメント業務」なのです。いまほど経営者の『経営手腕』が問われているときはありません。

会計とそしてマーケティングを駆使して常に経営を革新し、永続的に続けられる企業経営を目指しましょう。

 

 

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戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。

そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

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掲載日:2021年1月27日 |カテゴリー:会計識字率

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