会計の読み方 短期・長期借入金

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新型コロナ感染拡大・第2回目の緊急事態宣言と、

経営環境の変化は大きく、そして厳しくなっています。

そんなときに必要になるのが、経営状況の羅針盤である会計を読み解きながら

経営の舵取りをすることです。

実務的な会計の読み方を習得しましょう。

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 『借入金』とは、普通に言えば「融資」と呼ばれる銀行借入金です。

事業には常に事業資金が必要ですが、いつも自己資本だけで賄えるわけではありません。

しかし現実はそうも行かないことも多く、そんな時に資金調達する方法が銀行借入です。

そのような借入金ですが、有効にかつ安全に活用したいものです。

 今回はそんな『借入金』についての実務的な読み方です。

 

第9回 短期・長期借入金の読み方

 負債の中でも重要な資金の調達の一つが「借入金」です。

賞与支給や納税などで運転資金が足りないとき、設備投資を自己資金だけでできないとき

など、大変重宝する資金調達の一つです。

しかし借入金は長期間に渡って、元金に金利を加えて毎月返済しなければなりませんので、

その管理は経営において大変重要なのです。

 また借入金は大企業が増資などで直接、市場から資金調達を行う「直接金融」に対して、

「間接金融」とも呼ばれます。

 

1.管理すべき借入金の種類

 まず、管理すべき『借入金』の種類を勉強しましょう。

借入金は一般的には金融機関からの融資ですが、会計では「ワン・イヤー・ルール」に

則って、『短期借入金』と『長期借入金』に分けて管理するように仕組まれています。

この「短期」「長期」という言葉は、一般的に使用する短期・長期という意味だけはなく、

”企業経営のマネジメントに必要なため”、次のように、返済期間で厳格に分けるように

ルール付けされています。

  1.返済期間が1年以内であれば「短期借入金」に区分します。

  2.返済期間が1年超であれば「長期借入金」に区分します。

したがって、賞与支給や納税目的などの場合を除き、借入金のほとんどは『長期借入金』に

区分されると思われます。

 しかし、長期借入金であっても、1年以内に返済する部分は必ずあります。

最近では経営マネジメントに資する観点から、長期借入金うち、1年以内に返済する部分を

「1年以内返済長期借入金」に分けるようにルール化されています。

 *自社の試算表を見て、長期借入金はあるのに1年以内返済長期借入金がない場合は、

  依頼している会計事務所に問題があるのかもわかりません。

借入金には「短期借入金」と「長期借入金」

それに「1年以内返済長期借入金」の3種類がある!

 

2 借入金の運用目的

 上記の説明で、『借入金』には3種類あることはわかりました。

では、それぞれに標準的な運用目的の違いはあるのでしょうか?

それは次の表示区分がヒントになります。

仮に、短期借入金が900万円、長期借入金が2000万円(うち1年以内返済分が

400万円)だとすると、表示は次のとおりになります。

 短期借入金900万円+1年以内返済長期借入金400万円+長期借入金1600万円

 =借入金総額2900万円

 流動負債 短期借入金900万円+1年以内返済長期借入金400万円=1300万円

 固定負債 長期借入金1600万円=1600万円

つまり、ワン・イヤー・ルールに則って、流動負債と固定負債に分けられて表示されます。

 

 そうすると、流動負債は返済期間が短い他人資本ですから、『短期借入金』は資金化が

早い流動資産で運用すべきこととが基本となります。

間違っても、短期借入金を固定資産に運用することがないように、マネジメントしなければ

なりません。

 一方、『長期借入金』は固定負債ですから、固定資産(設備投資)に運用してもよいこと

になりますが、しかしそれにも限度というものがあります。限度を超えない範囲で、つまり

無理な設備投資とならないように、マネジメントしなければなりません。

短期借入は流動資産で、長期借入は固定資産で運用することが基本!

 

 さて、そんな『借入金』ですが、それをどのように読めばよいのでしょうか。 

読むといっても「いま借入が2900万円ある」とか、「昨年よりは減った・増えた」では

読んだことになりません。 ただ計算しただけに過ぎません。

 では、どのように読めばよいのでしょうか?

それは多角的に借入金を比較することです。多角的に比較して会社の借入状況を読み、

経営的な判断をすることです。

借入金を読むとは多角的に比較し、その使い方・残高の良し悪しを

判断することです!

では、どんなものと比較して読めば良いのでしょうか?

 

3.借入総額の適正をチェックする

 自社の借入金総額の適正をチェックする尺度は何だと思いますか?

それは資金の源泉である売上高です。

この資金源泉の量と借入の量を比較すれば、借入金総額をチェックする適正な指標と

なりそうです。

借入金総額2900万円÷平均月商800万円=借入金月商倍率3.63カ月分 

 

 借入金が平均月商の3.63カ月分とはどういうことでしょうか?

たとえば理想的な経常利益率が10%として、半分は納税と内部留保へ回すと考えると、

借入金返済には最大毎月の売上高の5%が回せるということになります。

3.63カ月をこの5%で返済すると(363÷5=)72.6カ月、つまり、約6年間

返済にかかると計算できます。

現在の長期借入金の返済期間は最大7年間程度ですから、その枠の中に入っていますから

「なんとか適正の範疇にある」と判断できます。

これまで売上高3カ月分から4カ月分程度の借入金額が適正と言われてきました、

現在はコロナ禍で返済期限が伸びていますから、12カ月分程度でも適正と考えられます。

借入総額と平均月商を比べれば、借入総額の適正が判断できる!

 

4.借入総額の返済期間を試算する

 次に自社の現状で、借入金返済期間を考えてみましょう。

借入金の返済原資は何ですか?

それは「営業利益」です。借入返済は利益からするからです。

しかし営業利益には「減価償却費」が差し引かれていますので、それを戻して考えます。

なぜなら減価償却は現預金支出を伴わないからです。

したがって、最大の自社の返済原資は「営業利益+減価償却費」となります。

営業利益480万円+減価償却費100万円=償却前営業利益580万円

 *営業利益ではなく、経常利益でも良いのですが、正確には経常利益は支払利息が

  差引かれていますので、正しくは営業利益となります。

 

それを極論ですが、「全額返済に充てる」と考えます。そうするとどうなりますか?

借入金総額2900万円÷償却前営業利益580万円=債務償還年数5.0年

これは極論の試算ですが、「1年間の儲けた利益をすべて返済に充当する」と考えると

5年間で返済できることになります。

実際は「1年間に儲けた利益の半分で返済する」と考えると、10年間となります。

 

 現在、金融機関では極論の試算で債務償還年数を見てくれていますので、

5年間であれば、まだ借入の枠はあると判定されます。

しかし、これが10年を超えてしまうと、10年先はもう企業存続自体が不透明ですので、

追加融資は厳しくなります。

 現在はコロナ禍のため、その判断基準は緩んでいますが、しかし企業の健全性から考え

れば、債務償還年数は5年程度がMAXとして判断したほうが良いと思います。

 

5.借入金を改善する方法

 最後に、借り入れ状況を改善する方法について簡単に触れます。

(1)経営の黒字化、黒字化の拡大

 やはり、ここでも経営の「黒字経営化」、あるいは「黒字幅の拡大」になります。

黒字経営を続けていればそもそも借入をすることも少なくなり、また仮に借入したとしても

その額は小さくなります。

そうすると『月商倍率』や『債務償還年数』も当然のことながら低くなります。

 ただし同じ黒字経営でも、「適正な黒字経営」がこれからは大きな課題となってきます。

適正な黒字経営とは、従業員の人件費もしっかり上げて、それできちんとした営業利益率を

確保するということです。

 

(2)リスケジュール

 略して「リスケ」と呼びますが、現在の返済状況を改善(楽に)するには、

金融機関に相談して、返済期間を延ばすことが有効です。

 

6.まとめ

 以上をまとめますと、次のようなイメージとなります。

ぜひ、借入金をコントロールし、経営の安全性を高めるとともに、荒波に強い経営を

しましょう。

 

 

 これまでも申しあげて来ているとおり、会計は決算や税務申告のためだけにしている

「事務」では、決してありません。

むしろ会計は会社経営の判断をするために日々行っている「経営管理、マネジメント業務」

なのです。いまほど、経営者の『経営手腕』が問われているときはありません。

会計とそしてマーケティングを駆使して常に経営を革新し、永続的に続けられる企業経営を

目指しましょう。

 

 

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戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。

そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

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掲載日:2021年1月20日 |カテゴリー:会計識字率

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