会計で経営力を高めるシリーズ 総まとめ

第17回会計で経営力を高めるシリーズ『総まとめ』

これまで16回にわたって『会計で経営力を高める』を説明して来ましたが、

今回はその最後です。その最後として「総まとめ」をお送りします。

 

1 ますます厳しくなる経営環境に対して「経営力を高める」ことが重要

まず最初に「消費税率の引上げ」「働き方改革の導入」「インボイス制度の導入」など、

これからはますます中小企業の経営環境が厳しくなると申し上げていましたが、

この間に訪れた新型コロナウイルス感染拡大で、もうそのことは誰もが認めざる得ない状況

となりました。

具体的な対策は業種業態あるいは経営組織や人材も違いますので、個々の企業で考えるしか

ありませんが、それと同時に「経営力を高める必要がある」と提言しました。

それが「会計力を高める」ということです。

 

2 会計は取引をふたつの目で見ていることをまず理解する

自社の会計を理解するためには、「会計は取引をふたつの目で見ている」ということを

理解することが大事です。

ふたつの目とは、「資金の運用・使途」と「資金の調達・源泉」の両眼です。

 ・資金とは、キャッシュのことで、現金と預金のことです。

 ・資金の運用とは、B/Sの総資産のことです。

 ・資金の調達とは、B/Sの総資本、負債・純資産のことです。

 ・資金の使途とは、PLの費用のことです。

 ・資金の源泉とは、PLの売上高と営業外収益のことです。

このことが理解できれば、おおよそ自社の会計資料は読み取れてきます。

 ・事業資金をどこから集めているのか    👉総資本(負債・純資産)を見ればわかる

 ・事業資金をどのように運用しているのか  👉総資産を見ればわかる

 ・資金運用の仕方に問題がないのか     👉総資本と総資産を比べればわかる

 ・資金運用は活かした運用が出来ているのか 👉総資産と売上高又は利益と比べばわかる

 ・営業成績に問題はないのか        👉売上高と費用又は利益を比べばわかる

  などなど

 

3 会社の安全性は手元資金有り高(キャッシュ)に尽きる

会社経営の安全性の見方にはいろいろありますが、今回の新型コロナウイルス感染拡大で

ハッキリしたことは、何といっても「手元資金の豊富さ」です。

これは今回の新型コロナウイルス感染拡大で痛烈に学んだところです。

手元資金さえあれば、ある程度休業が続いても会社は持ちこたえられます。

しかし、それがなければ給与は支払えませんし、家賃も支払えません。

挙句は倒産するだけです。

 

では、そんな手元資金の状況を判断する方法はどうすればいいのか?

さらには、増やすにはどうすればいいのか? ということです。

手元資金を測る方法は・・

 ・平均月商と手元資金を比べ、平均月商何カ月分の手元資金があるのかを計算する方法が

  一般的です。そのことを「手元流動性比率」と呼びます。

 ・以前なら手元流動比率は、中小企業では2~3ヵ月あれば十分と言われていましたが、

  今回このような経験をすると少なくとも6カ月程度は欲しいところです。

 ・もっとシビアに見たいのであれば、最低固定費である人件費と地代家賃の何カ月分が

  あるのか、ということです。(「手元流動性最低固定費倍率」)

  この見方であれば、最低でも6カ月分、できれば12カ月分を目指したいところです。

 

では、この手元資金を増やすにはどうすれば良いのでしょうか。

この問いに対する回答は、「どの企業でもこうすればよい!」という具体的な回答はあまりありません。

それぞれの企業、経営者が努力し、創意工夫するということが真の回答となります。

《すべての企業に共通する回答》

 ・経費を減らす    👉経費を減らせば、その分手元資金は増えます。

 ・借入金を増やす   👉借入すればそれは現預金収入となり、手元資金は増やせます。

 ・融資枠を拡大する  👉いわゆるコミットメントラインの確保です。

            但し、これはどこの企業でもできるわけではないかもしれません

 ・黒字経営を継続する 👉当たり前といえば当たり前のことですが、5割以上の中小企業

             にとっては難しいことだと思われます。

 ここまでが比較的、どの企業にも通用する回答だと思われます。

《企業それぞれが努力をし創意工夫して手元資金を増やす回答》

 ・売上を増やす    👉具体策は各社で考えることになります。

 ・限界利益を増やす  👉これも具体策は各社で考えることになります。

 

4 会社経営は操縦(マネジメント)するものである

しかし、経営は思いどおりにはいかないものです。

だから経営も「操縦」することが大切なのです。操縦することをマネジメントといいます。

自動車や船舶も、常に障害物を避けて操縦します。会社経営も同様です。

会社を操縦することを「マネジメント」といい、どんな小さな会社でもマネジメントが必要なこととなります。

 

特に注意して、操縦しなければならないことは次のとおりです。

 ・総資産であれば、手元資金、売上債権、棚卸資産、(有形)固定資産

 ・負債であれば、買入債務、借入金、未払金/未払費用、預り金

 ・純資産であれば、繰越利益剰余金

 ・損益であれば、売上高、売上総利益、営業利益の3段階の収益と、

  その間にある売上原価と販売費及び一般管理費

 

ぜひ、会計を活かして、会社を操縦し、自社に経営力を高めて行きましょう。

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように感じて来られたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?

 


掲載日:2020年6月10日 |カテゴリー:会計識字率

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