会計で経営力を高めるシリーズ 借入金

第7回会計で経営力を高めるシリーズ『借入金』

 

1 借入金には3種類あり、4つの科目に分けて管理する

(1)短期借入金

 ひとつは「短期借入金」です。

 短期借入金とは「運転資金目的で調達した融資」を指します。

 そして会計上は流動負債の「短期借入金」科目で管理します。

 ただし、運転資金目的であっても、返済期間が1年以上に及ぶ場合は、

 固定負債の「長期借入金」科目で管理します。

 単に会計処理するだけならどちらで管理してもかまいませんが、

 しかし、管理会計(経営に役立てる会計)目的で会計をするなら、

 必ず「短期借入金」で処理します。

 この区分けは管理会計上、大変な重要ことですので、しっかり区分けしましょう。

 

(2)長期借入金

 長期借入金とは、そもそも「設備投資目的で調達した融資」を指します。

 この借入金は、会計上、固定負債の「長期借入金」科目で管理します。

 ただし、この場合も返済期間が1年以内なら、逆に「短期借入金」で処理をします。

 

(3)1年以内返済長期借入金

 上記の長期借入金の中には必ず1年以内で返済する返済金部分があります。

 この1年以内で返済する部分は、会計上、流動負債の「1年以内返済長期借入金」で

 処理します。

 

(4)役員借入金

 役員借入金とは、不足する事業資金を「経営者自ら会社に貸出しした資金」を指します。

 これは銀行からの借入金のように契約で返済期間を定められているのではなく、

 経営状況に応じて返済する場合が多いので、固定負債の「役員借入金」で処理をします。

 この役員借入金は経営分析上、自己資本扱いされる場合もあります。

 しかし、「役員借入金」と表示すると、資金繰りが厳しいと見られることもあります。

 それを避ける意味で、「長期未払金」として表示している場合もあります。

 さらにこの役員借入金の場合も1年以内に返済する場合は、流動負債の「未払金」で

 処理します。

 

借入金は次の4つに分けて管理する

 短期借入金、長期借入金、1年以内返済長期借入金、役員借入金 

 

 

2 借入金の管理の仕方

 借入金の管理は、経営管理上、重要なことです。

 したがって、借入金は必ず、返済終了年月を用いて、融資ごとに内訳管理します。

 例えば、次のようなイメージです。

 (イメージ例) 流動負債 短期借入金           5,000,000円

             〔内訳〕2020.12返済完了分  1,000,000円

                 2021.03返済完了分  4,000,000円

         流動負債 1年以内返済長期借入金     1,500,000円

             〔内訳〕2022.12返済完了分       500,000円

                 2025.12返済完了分     1,000, 000円

         固定負債 長期借入金             5,000,000円

             〔内訳〕2024.12返済完了分    1,000,000円

                 2026.12返済完了分    4,000,000円

         固定負債 役員借入金             2,000,000円

             〔内訳〕役員A          1,000,000円

                 役員B          1,000,000円

 

借入金は融資ごとに「内訳管理」をしましょう!

 

 

3 借入状況の判断の仕方 

(1)借入過剰かどうかを判断する

 借入返済の「原資」とは一体何でしょうか?

 そうです、「経常利益」です。(もっと正確に言えば「税引後当期純利益」です)

 

 では、自社の売上高に占める経常利益率はどの程度なのでしょうか?

 経常利益をすべて返済に回すわけにはいきません。

 経常利益から納税をしなければなりませんし、またいくらかは内部留保したいものです。

 そこで、仮に「月次経常利益の半分」を返済原資に充てるとします。

 仮に月次売上高経常利益率が10%とすれば、5%を借入金の返済原資に充てるという

 ことです。

 7年間で借入金を返済するとすれば、7年=84カ月ですから、

 5%×84ヵ月=月商4.2カ月分の借入金額が返済に無理のないMAXの借入金額と

 なります。そこで自社の借入総額と平均月商で次の計算をしてみます。

    借入金合計 ÷ 平均月商 =平均月商額〇〇カ月分

 この値が4.2ヵ月以上であれば、少し過剰な借入をしていると判断できます。

 もし、倍の平均月商8.4カ月分を超える借入金があるのであれば、それは相当過剰な

 借入状況であり、早急になんとか借入金を減らす対策や返済財源を増やす施策を講じな

 ければなりません。

 

借入総額が月商8.5カ月以上あるのなら、

立派な「借り入れ依存体質」です!

 

 

(2)借入金の返済期間を掴む

 借入金返済能力のMAXは、経常利益あるいは営業利益すべてを借入返済に回すという

 ことでした。

 金融機関では「債務償還年数」という、融資申込企業の現在の借入金の最短返済期間を

 計算し、追加融資できる余裕があるのかをどうか判断します。

 その考え方は次のとおりです。

    債務償還年数 = 借入金合計 ÷(営業利益+減価償却費)

 企業最大の返済額はさきほどの経常利益や営業利益に「減価償却費」を加えたものです。

 減価償却費は経費として計上していますが、他の経費とは違い、実際には支払いが伴い

 ませんので、それを加えて、減価償却前経常利益(あるいは営業利益)を計算します。

 いわゆる大甘の、企業最大の返済能力が「営業利益+減価償却費」なのです。

 それでいまの借入金を何年で返済できるのか、試算しています。

 

 したがって、営業利益が赤字では論外ですが、それ以外であってもその結果が10年以上

であれば融資する枠は「無い」という判断になります。

 

債務償還年数は常に5年以下程度になっているように経営の舵を切る!

 

 

 

このようなことを考えながら会計資料を見ていると、会計で会社が強くなってきます。

どうでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを

示しています。

会計を楽しみながら、荒波にも強い会社になるように取り組みをしませんか!?


掲載日:2020年3月25日 |カテゴリー:会計識字率

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