小売業などの現金商売を除けば、販売すれば「売掛金」が発生することになります。
その売掛金を請求書にして取引先に送り、期日までに入金されれば、ここで初めて『資金』
となります。
また、受取手形で回収しているのであれば、さらにそれから2~3か月後に入金され、
ようやく『資金』となります。
相手方から見れば、手形支払のほうが資金繰りが楽になりますので、大きな運転資金が
必要な企業ほど、手形を使うことが多くなります。
その代表的な業種が建設業であり、建設業を中心に手形で取引する企業が多いわけですが、
その場合、回収までに4~6か月ほどかかることになりますから、資金繰りの関係から
「割引」をする場合があります。
ただし、ここに注意が必要です。
手形割引はもし相手方が倒産すれば、自社が返済しなけばならないということです。
つまり、非常に危険な資金調達でもある、ということです。
倒産理由にはいろいろありますが、直接の原因は「銀行取引停止」であることを知って
おきましょう。
(1) 売上債権は約定とおり回収することが重要
売上債権はその状態ではただの紙きれなので、約定とおりに回収することが重要です。
例えば翌月25日支払という約定ならば、翌月の25日までに代金回収するということです。
「支払が遅れる」ということは、2ヵ月分溜まれば、支払額は2倍となります。
何かの事情で相手方の支払いが遅れているわけですから、溜まれば溜まるほど、相手先は
ますます支払うことが困難になるかもわかりません。
だから、約定とおりお支払いいただくことが大切なのです。
(2) 不良債権の始まりは”回収遅れ”
実は「回収遅れ」が不良債権化の始まりであり、統計では6ヵ月分溜まるとその回収可能性は40%に下がり、1年分となれば30%を切ると言われています。
ですから入金がない場合には直ちに得意先に連絡を取り、支払日を確認し回収しましょう。
回収期日に入金がない場合に、得意先へ確認連絡する行為は「失礼な行為」ではなく、
自社の信用度を上げる行為です。
期日に入金がないので確認させていただくことは、相手先に「しっかり管理されている会社だな」と伝えることであり、さらには支払優先順位を上げていただく行為でもあります。
また、期日までに入金がない場合、事務的にメールや督促状を出すことだけで済ます
企業が多いようですが、それは「回収する」という意味ではあまり効果はありません。
なぜなら書面で支払われるのであれば、請求書を送付することで支払われているはずです。
請求書を送付しても入金されないのですから、別の方法をとる必要があります。
別の方法とは、電話連絡又は訪問です。
決算書を見させていただくと、たまに何年も前の売掛金が残っている場合があります。
しかし、売掛金にも「時効」があることをご存知でしょうか?
時効にさせないためには、定期的に督促することが必要です。
・1年で消滅する売掛金 宿泊料、運送料、飲食代
・2年で消滅する売掛金 教育代、売掛金
・3年で消滅する売掛金 医療代、建築代、自動車修理代、工事代金
・5年で消滅する売掛金 上記以外
では、売上債権の適正な額とは、どの程度の額なのでしょうか。
それは各企業の回収サイトで、明確にあります。
例えば、当月25日に締めて、当月末請求書発送、翌月末入金期限であれば、理論上は
「当月末売上債権≒当月売上高」になります。
例えば、当月25日に締めて、当月末請求書発行、翌月末手形回収、手形はその後3ヵ月後
入金であれば、
「当月末売上債権=(当月末売掛金≒当月売上高)+(当月末受取手形≒3カ月分売上高)
≒4カ月分売上高」となります。
このようにして、自社のあるべき売上債権額を把握しておくことは重要です。
もしそれ以上あれば、それはどこかに未回収債権があることを示しています。
現代では多くの企業で、会計はパソコンで行われています。
それを前提に言えば、せっかくパソコンという情報機器で処理されているのですから、
会計上の受取手形と売掛金は得意先別に管理しましょう。
そうすることが「会計を経営に活かす」ためにも重要です。
売掛金を得意先別に管理すれば、回収が滞っている得意先は一目瞭然となります。
また前年同月と比べることによって取引の増減もわかります。
受取手形も得意先別に管理することで回収状況が把握できます。
このようにすれば当然、会計入力の手間もかかるようになりますが、それは会計を通して
経営を管理しているのですから、当たり前と言えば、当たり前のことと言えます。
このようなことを考えると、会計は楽しいもので、経営に役立つものと思われませんか。
少しでもそのように思われてきたなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを
示しています。
会計業務を楽しんで、荒波に強い会社になるよう、取り組みましょう!
掲載日:2020年2月19日 |カテゴリー:会計識字率
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