働き方改革 高度プロ制とフレックス

『働き方改革』の第5回目は

「高度プロフェッショナル制度の創設」と「フレックスタイム制の拡充」について
考えましょう。

 

第5回『高度プロフェッショナル制度の創設と

               フレックスタイム制の拡充』

 

1 高度プロフェッショナル制度の創設

(1)高度プロフェショナル制度とは

厚労省では次のように説明しています。

「高度プロフェッショナル制度とは、

 高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で、一定の年収要件を満たす労働者を

 対象として、労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提として、

 年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を

 講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金

 に関する規定を適用しない制度です。」

つまり、

 ①高度な専門知識を有していること

 ②職務の範囲が明確であること

 ③一定の年収要件を満たしていること

 ④労使委員会と本人の同意を得ていること

 ⑤年間104日以上の休日確保、健康・福祉確保をされていること

これらを満たしていることを前提に、労働基準法の規定は適用しないでよろしいという

制度です。

あまり、通常の企業では関係がないといえる法案です。

(2)対象業務

しかし具体的にどのような業務が「高度プロフェショナル制度」に適用するのでしょうか。

次のような事例が挙げられています。

 1.金融工学等の知識を用いて行う「金融商品の開発業務」

 2.資産運用業務、又は有価証券売買その他の取引の業務のうち投資判断に基づく資産

  運用業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引業務、

  又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引業務などの

 「資産運用業務全般」

 3.有価証券市場における相場等の動向、又は有価証券の価値等の分析・評価、又はこれ

  に基づく「投資に関する助言業務」

 4.顧客の事業運営に関する重要な事項についての調査又は分析、及びこれに基づく当該

  事項に関する考案、又は助言業務などの「アナリスト業務全般」

 5.新たな技術・商品又は役務の「研究開発業務」

つまり、金融商品の開発業務やリーディング業務、アナリスト、資産運用業務、経営コンサ

ルタント業務、研究開発業務などが該当するということで、証券会社や経営コンサルタント

会社あるいは何らかの研究職が対象ということになります。

(3)対象業務の要件

対象となる業務の要件は、対象業務に従事する時間に関して使用者から具体的な指示を受け

て行うものは含まれないとなっています。

つまり、労働時間に関しては自由裁量権があるということです。

(4)対象労働者の要件

さらに対象者の要件として、次の2つが挙げられています

 1.使用者との間の合意に基づいて「職務が明確に定められている」こと。

 2.使用者から支払われると見込まれる賃金額が基準年間平均給与額の3倍の額(1075

  万円以上?)を相当程度上回る水準として、厚生労働省令で定める額以上であること。

(5)高度プロフェショナル制度導入の流れ

「高度プロフェッショナル制度」を導入するための流れとしては、厚労省は次のように

説明しています。

 ステップ1.労使委員会を設置する

 ステップ2.労使委員会で決議する

 ステップ3.その決議を労働基準監督署に届ける

 ステップ4.対象者の同意を書面で得る 

 ステップ5.対象者を対象業務に就かせる

 ステップ6.決議の有効期間の満了

      ※さらに継続する場合はステップ2.からの繰り返しとなります。

(5)解説

 ここまでになると「高度プロフェッショナル制度」を活用できる中小企業はあまりない

ように思われますが、ただし「働き方改革は、働く人々がそれぞれの事情に応じて、多様

で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革である」ということは理解して

おくことは大切です。

仕事を通じて「自己実現」したい人たちは、自分の判断で制限なく、思いっきり働けると

いうことでしょうか。

 この制度は大企業・中小企業を問わず、すでに昨年2019年4月から施行されています。

 

2 フレックスタイム制の拡充

(1)概要

 これまでフレックスタイム制による労働時間の清算期間は最大「1か月間」でしたが、

今回の法改正により最大「3か月間」となります。

 例えば、今回の拡充により4月1日から6月30日までの3か月間(91日)を清算期間として定められます。

そうすることで、労働者は清算期間の総労働時間520時間(=週40時間×91日÷7日)を

フレキシブルタイムやコアタイムを守れば、自由に分配して働くことが可能となります。

(2)フレックスタイム制とは

そもそもフレックスタイム制とは、ルールの中で働く人が毎日の始業時間と終業時間を

自ら決められることで、プライベートとワークタイムのバランスを図りながら、効率的に

働くことができる制度とされています。

厚労省では、次のような図でフッレクスタイム制を説明しています。

このようにフレックスタイム制は、

働く人たちにとって日々の都合に合わせて「時間という限られた資源」をプライベートと

仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすく

なるというとです。

やはり「多様で柔軟な働き方」というのがキーワードのようです。

(3)清算期間の延長とは

清算期間の延長についても厚労省は次のような図で説明しています。

 ①これまでは超過した勤務時間を、翌月なり翌々月に充当することはできませんでした。

 ②これからは翌月または翌々月までに限り、充当できるようになります。

これによって、来月あるいは再来月にはいろいろな予定があるので今月は余分に働いておく

など、やはり「多様で柔軟な働き方」が実現できるようになります。

(4)フレックスタイム制導入のための基本的ルール

要件は、「就業規則等への規定」と「労使協定の締結」の2つが必要です。

 1.終業規定等への規定

  就業規則等に始業ならびに終業の時間を労働者の決定に委ねる旨を定めます。

  例えば、就業規則上の始業終業時刻等に「フレックスタイム制が適用される従業員の

  始業・終業時刻については従業員の自主的決定に委ねる」と記載し、フレキシブル

  タイムやコアタイムなどを規定します。

 2.労使協定の締結

  労使協定で、対象労働者の範囲、清算期間における総労働時間、1日の労働時間や

  コアタイム・フレキシブルタイムなどを規定します。

  但し、コアタイム・フレキシブルタイムは任意とされています。

(5)解説

 フレックスタイム制はうまく活用できれば、社内士気を高め、生産性の向上や効率化

アップなどメリットも大きい制度です。

一方、労働時間の配分を社員の裁量に委ねることになりますので、ときには軋轢なども

生じるリスクがあります。

しかし新しい制度導入には必ずそれなりのリスクはついて回るものですので、活用でき

るものであれば、積極的に活用すべきだと思います。

なおこの制度は大企業・中小企業を問わず、すでに昨年2019年4月から施行されています。

 

 

いかがでしょうか、

『働き方改革』に対応するのは大変だと感じられたのではないのでしょうか?

いま中小企業を取り巻く大変革はハッキリとは見えないかもしれませんが、足元深くで

マグマのように渦巻いています。

それらに対処していくためには、会計による経営管理をしっかりすることが大切です。

そう思われませんか?

 

 

 


掲載日:2020年1月8日 |カテゴリー:トピックス

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