『働き方改革』の第4回目は
「産業医の機能強化」と「同一労働同一賃金の義務化」について考えていきます。
(1)産業医の機能強化とは
「産業医の機能強化」とは、長時間労働や心労的な疲労から労働者を守るために、
産業医による面接や健康相談を確実に実施しなさいとという法案です。
何年か前に長距離バスのドライバーが過労により事故を起こし、
学生が数名亡くなるという痛ましい事故がありました。
また、某広告会社の若い社員が過労とパワハラで自殺をするという事件もありました。
この法案は、このようなことを未然に防ぐ努力を職場でやりましょうという主旨です。
当法案はすでに大企業・中小企業を問わず、本年2019年4月から適用開始されています。
(2)産業医とは
「産業医」とは次のように定義されています。
まず医師であること。
そのうえで、次のいずれかの要件を備えた人のことをいいます。
①厚生労働大臣が指定する医師会あるいは産業医師大学が行う研修を修了した者。
②産業医の養成課程を設置している産業医科大学又はその他の大学で厚労省が指定した
当該課程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者。
③労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者。
④大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又は
これらの経験者。
(3)産業医を置かなくてはならない企業
産業医はすべての企業において設置しなければならないのかと言えばそうではありません。
原則として、従業員が50人未満の企業では不要です。
また従業員50人以上、499人未満であれば嘱託でよいとなっています。
しかし、何らかの配慮や意識改革はすべての職場で必要です。
なお、産業医の設置基準は次のとおりです。
「特定業務」とは別途細かく定められていますので、確認が必要です。
(1)概要
これまでは、同じ仕事をやっていても、正社員と派遣パートなどの雇用形態によって
賃金が異なっていても問題はありませんでした。
しかし、これからは同じ仕事であれば、正社員と非正規社員という区別での
不合理な待遇差は禁止されます。
なお、この法案は、大企業で来年の2020年4月から適用開始され、
中小企業においても1年遅れて、再来年の2021年4月から適用開始となります。
(2)具体的に
1.基本給
労働者の能力・経験、業績・成果、勤続年数などに応じて基本給を支給している場合、
それに一定の違いがある場合はその相違に応じて基本給を支給するが認められますが、
それが正社員と非正規社員という理由だけでは“不合理”と見做されます。
2.役職手当
もし、正社員と非正規社員が同じ役職に就いている場合、
役職手当は同一の支給をしなければ合理性があるとは認められません。
3.通勤手当
通勤手当は正社員であっても非正規社員であっても同一制度で同一支給を
しなければなりません。非正規だから支給しないは認められません。
4.家族手当や住宅手当
家族手当や住宅手当についてはガイドラインにはありませんが、
しかし、同一労働同一賃金の対象となっていると思われます。
したがって、正社員に家族手当や住宅手当などを支給しているのであれば、
非正規社員にも支給すべきと考えられます。
5.賞与
これまで派遣パートだからという理由で、賞与は支給していなかったかもわかりません。
しかし、大企業においては来年2020年4月から、中小企業においても再来年2021年4月から同じモノサシで、貢献に応じた部分につき同一の支給をしなければなりません。
6.時間外手当、
時間外手当は、正社員と同様に非正規にも同一の割増率で支給しなければなりません。
こうやって見てみると、
同一労働同一賃金によって派遣パートの人件費はかなりの負担増となることがわかります。
(3)罰則規定
同一労働同一賃金の義務化はガイドラインが公表されているだけで、
特に法的な拘束力はありません。したがって、罰則規定はありません。
しかしながら、同一労働同一賃金に違反すると損害賠償請求を受ける可能性はあります。
よって制度主旨をよく理解し、就業規則なども改定する必要があると思われます。
時間はあと、中小企業の場合でも1年3か月ほどしかありません!
早急に改善する必要があります。
いかがでしょうか、
『働き方改革』に対応するのは大変だと感じられたのではないのでしょうか?
いま中小企業を取り巻く大変革はハッキリとは見えないかもしれませんが、
足元深くでマグマのように渦巻いています。
それらに対処していくためには、会計による経営管理をしっかりすることが大切だと
思います。 そうは思われませんか?
掲載日:2019年12月25日 |カテゴリー:トピックス
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