会計の視点 純資産の意味

 

第8回の会計の視点は「純資産の意味」です。

純資産はある意味、事業経営にとって一番重要な資産ですが、日頃あまり見ることはされ

ない、また会計事務所からもほとんど説明を受けない資産かもわかりません。

しかし、冒頭にも言ったとおり、事業経営にとって一番重要な財産、資産なのです。

今回はそんな「純資産の意味」について、わかりやすく考えてみましょう。

 

1 純資産とは

(1) 中小企業の純資産は資本金と繰越利益剰余金

 会計の参考書をみると、純資産には「なんとか差益」とか、「なんとか準備金」など、

むずかしい用語が出てきますが、しかし、中小企業にとっての純資産とは、「資本金」と「繰越利益剰余金(略して繰越利益)」の二つだと言えます

「資本金」とは、ご存じのとおり、設立した時の自己資金です。

「繰越利益」とは、それから事業を行って長年積み上げてきた利益の総額です。

 もしも、この繰越利益が少なかったり、あるいはマイナスの場合は、

事業がうまくいっていないことを示しています。

特に繰越利益の赤字が資本金を超している場合は『債務超過』と呼び、たとえ資金があった

としても、瀕死の状況だと認識しなくてはいけません。

(2) 債務超過であってもなぜ企業には資金があるのか

 では、なぜ、債務超過なのに手元資金がある場合があるのでしょうか?

それはB/Sをよく見るとわかります。手元資金の出どころはどこですか。

多くの場合は銀行借入金が手元資金して残っているか、あるいは経営者が個人資金を出して

(役員借入金)によって手元資金があるか、どちらかです。

(3) 純資産によってバランスが保たれている

 純資産は自社で積み上げてきた資金ですので「自己資本」とも呼びます。

 なお、純資産は「資本金+繰越利益」ではありますが、

 正しくは「総資産ー総負債=純資産」という計算をしていますから、総資産と総負債の

差額が純資産となっています。

 つまり、「総資産=負債+純資産」という関係が常に成り立ちますので、貸借対照表の

ことをバランスシートというわけです。

 

2 純資産割合でわかる会社の状況

 純資産の割合で、会社経営の安定度が読み取れます。

◆純資産の割合が50%以上の企業

 優良企業だと言われています。

 つまり、会社の資産(流動資産+固定資産)の半分以上を純資産で支えていますので、

安定した経営ができているということです。

 最近では経営の安定性をより増すために、それに加えて借入金がない企業、あるいは

借入金と同額以上の現預金を持つようにしている企業があります。

それらのことを「無借金経営」とか、「実質無借金経営」などと呼びます。

◆純資産の割合が30%前後の企業

 通常の安定した経営状況の企業です。

 会社経営をするなら、まずこの程度の経営状況を維持したいところです。

◆純資産の割合が10%前後の企業

 多くの企業にありがちな自己資本比率ですが、90%以上を他人資本に頼っているわけ

ですから、大変心もとない経営状況と言わざるを得ません。これを自己資本30%前後に

持っていくには毎期利益を出して、繰越利益を増やしていくしかありません。

◆純資産の割合がマイナスの企業

 割合がマイナスとということは、純資産自体がマイナスということです。

つまり「総資産ー総負債=純資産」という式で表現すれば、資産より負債の方が多いということです。平たく言えば「借金(他人資本)分の資産さえ無い状況」ということです。

これは由々しき経営状況であり、これまでの経営はすべて間違っているということです。

しかし、改めない経営者が多く見られます。

 

3 純資産の見方

では、そのような純資産をどのように見ればよいのでしょうか・・、考えてみましょう。

 まず、すでにご紹介した、「総資産」と比べるという見方があります。

 もう一つ大事な見方は、「現預金」と比べてみるということです。

純資産と資金繰りの関係は基本的に正の関係がありますが、しかし「純資産があるから

資金がある」とは言えません。

したがって、現預金と純資産を比べておくことは大事な経営マネジメントです。

できれば、純資産と同額程度の現預金があるように経営することが大事です。

 例えば、資本金が300万円、繰越利益が500万円であるならば、1000万円前後の現預金があるように経営するということです。

 

※それぞれの見方にもちろん名称がついていますが、そんなことを覚えることは重要では

 ありません。それよりも見方を考えることのほうがずっと重要です!

 

このようなことを意識して経営していれば、経営はすごく安定してきます。

会計は本来このようなことを経営者に伝えることが目的なのです。

 

 


掲載日:2019年11月6日 |カテゴリー:会計識字率

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