会計の視点 借入金の意味

 

第7回の会計の視点は「借入金の意味」です。

借入金は手形と並んで、会社が倒産する場合の直接の引き金となります。

ですから、その本来的意味をよく理解しておく必要があります。

また一方、借入金は自分の資金だけではできない設備投資や事業チャンスを逃さずに

事業展開できるメリットもあります。要は使い方次第です。

今回はそんな「借入金についての意味」を考えてみましょう。

 

1 借入金とは

 自社以外から借り入れを起こす方法は、クラウドファンディングや補助金など

 いろいろあります。

 しかし、一番現実的な方法は「借入金」です。

 具体的には、それは『銀行借入金』と考えてよいと思われます。

 

2 「借入したなら、返すだけでよい」は間違い

 多くの経営者は銀行借入を起こしたら、それが返済ができればよいと考えているところが

 あるようです。

 それは確かにそうですが、ただそれには『最低限』という注釈がつきます。

 事業の目的の一つとして「利潤」にあるわけですから、その観点から考えれば、

 実はそれだけであってはいけないわけです。

 好きで事業を起こす場合もありますが、やはり趣味とは違います。

 ですから事業で借入する以上はそれをテコにして利潤を生みだすことが求められます。

 事業は「儲けて納税してそして雇用を増やす」ことが社会から求められている要請です。

 その前提で考えれば、1000万円を借りて、1000万円と金利を支払いさえすれば「良し」

 とするのは、やはり問題と言わざるを得ません。

 したがって、やはり返済ずるだけでは最低限となります。

 本来は1000万円借りたなら、1000万円と金利とそして『利益』を生み出すべきと

 いうことです。

 では、それくらい利益を生み出せばよいのか?といえば、元本が1000万円ですから、

 事業ですからその10%程度は利益を生み出したいものです。

 とすれば、100万円ということになります。

 多くの経営者に抜けている思考は、「借りて利益を出す」と言われています。

 だから、多くの中小企業では借り入れを起こせば起こすほど、徐々に経営が苦しくなって

 くる場合が多いようです。

 

3 借りたおカネの見方

 では、借入金はどのように見ればよいのでしょうか・・。 考えてみましょう。

 ◇まず借りている額について「多い」のか、そうでもないのか、という問題・・

  借入金額を平均売上高で割ってみます ⇒借入金合計÷平均月商

   >>>借入金は平均月商3カ月分以内に治めるように経営しましょう

     これには重要な道理が隠されています。

     借入金には短期も長期もありますので、その平均返済期間は5年、

     つまり60ヵ月と一般には言われてます。

     売上経常利益率は10%あるとして(そんな企業はなかなか見当たりませんが)、

     その半分を借入返済の原資として考えるわけです。

     半分ということは、売上高の5%ということです。

     すると平均返済期間が60ヵ月ですから、5%×60ヵ月=300%

     つまり、売上高に換算しなおすと3カ月分となります。

     しかしさきほどもつぶやきましたが、現実には売上経常利益率10%の中小企業は

     そうありませんので、これでも借り過ぎなのかもわかりません。

 ◇次に、何年ぐらいで今の借入金が返済できるのか、という問題・・

  今の借入金を今の最大返済可能額で割ってみます

                  ⇒借入金合計÷(年間営業利益+年間減価償却費)

   >>>5~6年で返済できるように経営しましょう

     これにも重要な道理があります。

     それは、「借入金の返済は利益からすべきものである」ということです。

     もし利益から返せないのであれば、手元資金かあるいは経営者の個人資金も

     加えて返済しなければなりません。

     では、最大の利益とはなんでしょうか?

     それは、営業利益と減価償却を合わせた額です。

     これを全部使って借入金を返済すれば、最短で何年で返済できるかが読めます。

     一般には10年以内であればよいとも言われていますが、

     10年間も利益と償却費を全部使って返済していれば、全く内部留保もできず、

     そして法人税や消費税の支払はどうするのでしょうか?

     そう考えると、できれば5~6年で返済できる借入額でないといけないと

     いうことが理解できます。

 ※それぞれの見方に分析値名がついていますが、そんなことを覚えることが重要なのでは  ありません。それよりも見方を考えることのほうが重要なのです!

 

このようなことを意識して経営していれば、経営はすごく安定してきます。

会計は本来このようなことを経営者の皆さまに伝えることが目的なのです。

 

 


掲載日:2019年10月30日 |カテゴリー:会計識字率

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