『消費税10%』の第8回目は「業種別の固有課題」です。
経営における消費税の影響は業種によって違います。
今回はそんな業種別の課題について考えます。
・高級割烹からレストラン、すし店、居酒屋、定食屋、ラーメン店などさまざまな業態が
ありますが、基本的にはファーストフードなどを除いて原則店内で食するわけですから、
税率は標準税率10%となります。
・但し、一部お持ち帰りサービスをしている場合は、その場合は軽減税率8%となります。
・B2C産業ですからキャッシュレス・ポイント還元制度への対応や料金表示の対応なども
考えなくてはなりません。
・料金表示の対応とは、店内食と持ち帰りの場合のことももちろん含みますが、
もう一つ考えておかねばならないことは2021年(令和3年)3月31日で
「総額表示方式の特例措置」が終了することです。
したがって、料金表示は総額表示を基本に考えるべきかと思います。
・さらに大事なことは社用に対する対応です。
4年後からはインボイス制度が始まりますので、インボイスが発行できないと、つまり、
適格請求書発行事業者にならないと「仕入税額控除」が会社ではできなくなります。
適格請求書が発行できない場合は社用需要が無くなるあるいは減る恐れがあります。
・10月から消費税が10%となりますから駆け込み需要が予測されますが、経営的には
駆け込み需要を「如何にして起こさせるか」ということです。
※このことは建設業のほか、家電販売店や高級商品小売業などにも当てはまります。
・その駆け込み需要をいかに9月中に納めるかが大事になります。
10月に納めては元も子もなくなります。
・駆け込み需要があれば必ずその反動があります。だから「駆け込み需要」といわれるわけ
ですが、具体的には10月以降の反動にどう対処するか、その反動対策も考えてえておく
ことが大事になります。
※このことは建設業のほか、家電販売店や高級商品小売業などにも当てはまります。
・売上に係る消費税「仮受消費税」に10%と8%がしばらく混在することになります。
今年の3月31日までに契約した案件は、たとえ10月以降に出来上がっても消費税は
「8%」となります。
4月以降契約した案件が10月以降に出来上がった場合は消費税は「10%」です。
また今年の3月31日までに契約し、4月以降追加受注があった場合は、10月以降に
出来上がった場合でも4月以前に契約した部分は消費税「8%」となり、4月以降契約
した部分は消費税「10%」となります。
さらに仕入れや経費で軽減税率8%が発生する場合は、標準税率の10%・8%のほかに 軽減税率の8%も発生し3つに分けで管理する必要があります。
・外注として一人親方を使っている場合、形態的には常に同金額であるときには
外注としては否認されていく傾向にあります。
そうなれば、いままでは外注費だったので仕入税額控除もできましたが、それが無くなる
ばかりか、社会保険料などの法定福利費も発生しますので、極めて経営を圧迫する状況に
なります。
B2C型の小売業の場合はほぼ飲食業と同じ課題があります。
・一部商品をその場で食するサービスをされている場合は軽減税率8%が生じることとに
なります。
・B2Cが基本の小売業の場合にはキャッシュレス・ポイント還元制度への対応や料金表示
の対応なども考えなくてはなりません。
・また菓子店などで比較的社用の需要がある場合はインボイスに対する対応も考えなくては
なりません。インボイスが発行できないと適格請求書が発行できる菓子店に需要が移って
しまうことも予想できます。
ベーカリー店やお弁当屋さんなどではその場で食することができるイートインスペースを
設けられているところもあります。
その場合、お持ち帰りは8%、店内飲食は10%といちいちその場で税率対応をするのも
大変ですから、共通料金で対応することも認められています。
たとえば、アンパンを持ち帰り、店内飲食かかわらず170円にするなどです。
そうした場合売上時に発生する仮受消費税は次のようになります。
■持ち帰りの場合
本体売上高 170円÷110×100=155円
仮受消費税 170円÷110× 10= 15円
■店内飲食の場合
本体売上高 170円÷108×100=157円
仮受消費税 170円÷100× 8= 13円
今回の消費税改正は、特に中小・小規模事業経営においては「過去の消費税改正とは違う」という認識を持つべきだと思います。
そうでないと4年後にはとんでもない状況になりかねません。よく考えましょう。
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