『消費税10%』の第5回目は「キャッシュレス・ポイント還元制度」です。
今回の消費税改正では、増税による消費落込み対策として「キャッシュレス・ポイント還元制度」が10月1日から導入されます。
「還元」というと、消費税額が還元されるようなイメージがありますが、実はそうではありません。あくまでも消費税は常に「10%」請求されます。
ただキャッシュレスで買い物すれば5%差し上げますので「それで余計にお買い物ください」という、まさに消費落込みを回避する政策なのです。
また、日本のキャッシュレス決済状況は現状18%程度と他国と比較して低い状況です。
インバウンドを増やそうとしている政府としては、消費落込み対策と同時に、訪日の外国の方の利便性を考え、キャッシュレスを社会に浸透させたい狙いもあります(ほかにも隠れた狙い?があるのかもわかりません)。
このキャッシュレス・ポイント還元制度はそういう意味ではまさに「一石二鳥」の政策なのですが、この制度は生活者対象の小売業の経営を中心に大きな影響を及ぼすものと思われます。
このキャッシュレス・ポイント還元制度はいまのところ、
2019年10月1日からずっと実施されるのではなく、来年6月30日までのわずか9ヶ月間の予定です。
※その後の消費状況によっては延長される可能性も大いにあると思われます。
キャッシュレス・ポイント還元制度に利用できるカード会社等は導入時期が近づくに連れて
どんどん増加し、7月19日時点では356社となっています。
このキャッシュレス・ポイント還元制度を各店舗で取り入れるためには、次の2つの費用がかかります。
(1)クレジットカードやQRコードを読み取る端末の費用
これは店舗負担が実質ゼロとなる補助制度(国3分の2負担、決済企業3分の1負担)
が用意されていますので
すべての決済手段に対応しようと考えない限り、費用負担はさほどないと思われます。
(2)各キャッシュレスサービスの手数料
各カード等の利用にあたって、その手数料は上限3.25%と定められ、かつ3分の1を
国が負担しますので還元制度中の各店舗の負担は実質2%余りに抑えられる予定です。
ただし、問題は還元制度終了後は店舗側で全額負担することになることです。
かつ手数料も上がることが予想されていますので、継続することに関しては慎重な検討
が必要です。
①クレジットカード系
VISA、JCB、Masterard、AmericanExpress など
②電子マネー系
1)交通系 Suica、PASMO、ICOCA、TOICA など
2)非交通系 WAON、楽天Edy、nanaco、QUICPay など
③QRコード系
LINEPay、PayPay、楽天Pay、メルペイ、OrigamiPay、AmazonPay、Alipay など
④ポイントカード系
Tポイント、Ponta、WAONPOINT、nanacoポイント、楽天スーパーポイント、
dポイント など
中小の小売店においては5%、大手系列チェーン店等は2%となります。
キャッシュレス・ポイント還元制度に参加した小売店舗で購入すれば、お客様は5%のポイントが得られることになります。
したがって、生活者対象の小売業においては大きな影響を受けることになりますので、避けて通ることは難しいと思われます。
①対応するか、しないのか
②する場合はどのキャッシュレス決済に対応するのか、
しない場合は対抗策をどう考えるのか
③お客さんへの事前告知方法をどうするのか
④9ヵ月間で対応コストをどのようにして回収するのか
⑤キャッシュレス・ポイント還元制度終了後も続けるのか、続けないのか
⑥続ける場合は利用手数料をどのようにして吸収するのか など
たとえば、キャッシュレス・ポイント還元制度に参加しないで、その場で5%値引きを
実施すれば、お客様にとっても魅力的な対抗策となりますが、その場合は粗利が5%下
がることになりますので慎重な経営判断が必要です。
今回の消費税改正は、中小・小規模事業においては「過去の消費税改正とは違う」という認識を持つべきだと思います。
そうでないと4年後にはとんでもない状況になりかねません。よく考えましょう。
掲載日:2019年8月15日 |カテゴリー:トピックス
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