図解 事業戦略策定の方法 32

 

組織分析フレームワーク7S(Seven S Model)とは、マッキンゼーが開発した企業の組織フレームワークです。

組織構築を考えていくうえで必要な「7つの要素(経営資源)」を提言しており、
それを「ハードのS」「ソフトのS」
大別しています。

事業を遂行していくにあたって、組織に変更しなければならない時期がどの企業にも、必ず

あります。

そのときに大事なことが、この『組織分析フレームワーク7S』です。

組織は戦略に従わなくてはなりません。しかしその組織改革には、困難さが伴います。

そんなときにこの組織分析フレームワーク7Sは非常に参考になります。

困難な組織改革と安易な組織改革を事前に知って組織改革に取り掛かるのと、そうではなく

ただやみくも取り掛かるのでは大きな違いです。

あまり難しく、また大層に捉え過ぎないで、その考え方を理解してください。

 

1 組織分析のフレームワーク『7S』とは

会社の経営組織は、次の7つの項目から成っていると考えます。

(1)共通の価値観や理念(Shared values)

いわゆる『企業理念』のことですが、長年事業を続け育まれてきた、オーナー経営者が

持っている「無意識の価値観」です。

技術系やものづくり系の企業に培われることが、特に多いといわれています。

例えば、「いいものを作ることだけが、われわれの仕事だ」とか、鉄道会社であれば「安全運行さえしていればいい」というような暗黙の価値観です。

競争に勝てる組織にするためには、「いいものを作ればそれでよい」という会社独りよがりの製品志向の考え方ではなく、市場志向・顧客志向の価値観や理念を持つ必要があるといいます。

過去、多くの企業が「製品志向」だけの価値観を持ってしまったがために失敗して来ていることを知るべきです。

(2)経営スタイルや組織風土(Style)

知らず知らずのうちに縛られている『暗黙知』であり、「出る杭は打たれる」組織では今や競争に勝つことは難しくなっています。

このような企業はオーナー経営系の企業に多いわけですが、あまりにもオーナーの成功体験が強烈な場合、言いたいことも言えず、ものを言うこと自体がオーナーに逆らっているように取られ、結果的にオーナーの器以上には企業は伸びなくなります。

(このような企業はホントに多いです!)

さらにオーナー自体が「私の会社は何でもモノがいえる風通しのよい組織だ」と思っている場合、さらに問題を難しくしています。

所詮、社員の雇用者であるオーナーに対しては、必ず『遠慮』というものがあるということを知っておくことが重要です。

そのうえで、競争に勝つ組織にするためには、常にこれまでのことを「良しとしない」批判的な思考、クリティカルシンキングが大事です

現代でも、多くの企業がこのような失敗を繰り返していますので、このことは、ぜひ学んでおきたいところです。

(3)人材(Staff)

人材は、基本的に社内の中にしかしません。だから、人材育成が大切なのです。

たとえヘッドハンティングをしても、自社の中でその人材を活かすことは至難の業です。

(私どもも数多くの事例を見てきましたが、9割程度の確率で失敗されています。)

では、それは何故なのでしょうか?

その理由は至ってシンプルです。それは、その人材がそれまでいた組織と、ヘッドハンティングされた現在の組織とは、違うからです。

だから、以前の手法(成功体験)をもって変革しようとしても、人はついて来ません。

競争に勝つ組織にするためには、だからこそ、自前の人材を育成することが大切なのです。

しかし多くの企業、とりわけ中小・小規模企業では、「自社では人材育成なんかできない」と思い込んでいる企業が数多くあります。

(4)能力(Skills)

ヒトの能力、たとえば、営業力であったり、技術力であったり、マーケティング力などは、一朝一夕には変わりません。

たとえ新しい手法や他社で成功した手法を導入したとしても、その他社と自社とでは、すべての面で条件が違うので成功はしません。

だから競争に勝つ組織にするためには、「担雪埋井」すなわち、他社の事例を見本にするとしても、自社に合った手法に直して継続させることが大切です。

(それを人は「進化」といいます。)

(5)社内の仕組み(Systems)

社内システムを変更することは、カンタンにできます。

たとえば、評価システムや会計制度などは、変更すれば何とかなります。

しかし、システムも「人によるシステム」(特に報告などの情報の流れ)であれば、

変更することは容易ではありません。

最近では、RPA(Robotic Process Automation)の導入も増えて来ていますが、

なかなかうまく行かないようです。

何故でしょうか?それは、社内の仕組みとは、ヒトで成り立っているからです。

このことをよく認識すべきだと思います。

したがって、競争に勝つ組織にするためには、内部統制などヒトの行動を担保する仕組みを同時に考える必要があります。

(6)組織構造(Structure)

組織構造とは、組織体系などの変更のことを指しますが、変更さえすればなんとか機能しますので、比較的しやすいといえます。

ただ「指揮命令系統」と「責任の所在」を明確にすることが、競争に勝つ組織にするためには好ましいと思われます。

つまり、「ボスは一人」という組織図と、「責任と権限」とのセットがポイントです。

(7)戦略(Strategy)

戦略とは、会社が社会中で競争に勝っていくための方策です。

戦略を立案することは難しいともいえますが、決定さえすれば、比較的周知徹底することはたやすいと思わます。

しかし、その絞り込みと実行は大変難しいものがあります。それを行うためには、オーナー経営者の「真剣さ」と「本気度」が重要です。

競争に勝つ組織にするためには、あれもこれもという総花的な戦略ではなく、経営者の選択と集中、そして本当にやり遂げるという想いが重要です。

 

2 ハードの「S」とソフトの「S」

ハードのSとは「戦略」・「組織構造」・「社内の仕組み」の3つの「S」をいいます。

ソフトのSとは「共通の価値観や理念」・「経営スタイルや組織風土」・「人材」・「能力」の4つの「S」をいいます。

大切なことは「ハードのS」は努力によって比較的短期間に変えていくことが可能ですが、

「ソフトのS」はそうではないということです。

つまり、「仕組みは簡単に変えられても、人を変えるのは難しい」ということです。

そこで、次のことを押さえておくと、比較的、組織改善はうまく行くといわれています。

 

3 7Sのポイント

(1)共通の価値観や理念 Shared values

    →製品や価格中心から、市場や顧客中心に考えをシフトさせる。

(2)経営スタイルや組織風土 Style

    →社内事情より顧客を起点とした行動規範にする。

(3)人材 Staff

    →ただ売るだけの人材から、継続的に売れる人材に育成する。

(4)能力 Skills

    →コスト管理能力からマーケティング能力を重視する。

(5)社内の仕組み Systems

    →管理・年功序列から権限委譲と自ら考える人材を評価する。

(6)組織構造 Structure

    →縦割り組織から顧客横断型組織へ組織変更させる。

(7)戦略 Strategy

    →製品志向から市場志向やマーケティング志向に切り替える。

 

 

戦略とは「競争優位」を常に保つための方策です。

その戦略に組織を最適化させる必要があります。

「こんなこと、うちの会社では・・」と自己限定をせずに、一度、大会社の社長にでも

なった気分で、この『組織分析フレームワーク7S』で自社を考えたらいかがでしょうか

優れた企業はこれら7つの要素を互いに補完しあい、強め合いながら戦略を実行しているといわれています。

私たちも怯まず、そんな意識を持って戦略を遂行し始めてみましょう。

時代の進展とともに社会は複雑化しており、中小企業経営といえども、これからはマーケティング戦略をもって挑むことが大切です。

ぜひ、自分なりにマーケティング戦略を経営に活かすという意欲・決意が大切です。

常に革新し、永続的に続く企業経営を目指したいものです。

 

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。


掲載日:2019年6月12日 |カテゴリー:マーケティング

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