図解 事業戦略策定の方法 31

商売で重要な要素の一つとして「価格設定」があげられます。

価格設定や料金設定によって、売上高は大きく左右され、さらに資金繰りも大きく左右され

ます。今回はそんな価格設定についての考え方を紹介しましょう。

なお、この考え方は、製造業や小売業における新しい商品を販売開始するときが前提のよう

に思われるかもしれませんが、決してそのようなときだけではなく、広く価格を考える際に

参考になる考え方ですので、知っておくべきと思います。

 

1 考え方は二通りある

価格設定を考える際に、考えるべきはその価格の目的です。

広く購入される価格を意識するのか、それとも自社の資金状態を鑑み、資金重視に考えるのかです。

広く購入されるようにということは、

市場の浸透を考えるということなので、ペネトレーション(Penetretion)と言います。

一方、資金重視に考えるということは、

さっと購入させたいということで、スキミング(Skimming)と言います。

最近ではこのスキミングという単語は、個人情報や暗証番号など盗み取るという意味で

よく使われますので、ちょっとピンと来ないかもわかりませんね。

 

2 ペネトレーション プライシング

(1)ペネトレーション・プライシング とは

この考え方の前提は、売れれば売れるほど、経験曲線や生産ラインの稼働率があがり、

1個当たりのコストは下がることです。

別に自社で生産しなくとも、大量仕入れできれば単位原価は下げられることになります。

またサービス業でも注文が増えれば、経験によるスキルアップやそれによる時間短縮あるいはスケジューリングなどで、効率は上げられることになります。

あらゆる業種で、売れれば売れるほど、オーダーがあればあるほど、コストは下げれます。

それを見越して価格設定をするという考え方です。

(2)ペネトレーション・プライシング が採れる条件

ペネトレーション・プライシングが採用できる条件として次のようなことがあげられます。

 ①広い潜在市場が存在する

 ②価格の設定により需要を喚起できる

 ③経験曲線により生産効率や生産品質が向上できる

(3)ペネトレーション・プライシング で期待できる効果

またペネトレーション効果として、次のようなことが期待できます。

 ①早い時期に市場を獲得できる可能性がある

 ②粗利が低くなるので、他社は参入しにくい

 ③ブランドを拡げる、確立することが可能

 ④大きな利益を上げることが可能

(4)ペネトレーション・プライシング のリスク

ペネトレーション・プライシングは低価格設定をしますので、次のようなリスクがあげられ

ます。

 ①思惑通りに原価が下がるとは限らない

 ②資金繰りが厳しくなる恐れがある

 

3 スキミング プライシング

(1)スキミング・プライシング とは

この考え方は、ともかく早く資金回収することです。

そのために、市場の上澄みを一刻も早くすくい取ることを考えます。

したがって、巨額な投資が必要なときに、早急に資金回収するためにとられることが多い

価格政策です。

しかし、それは大企業を前提にした一般的な説明であり、中小・小規模企業においては、

巨額な投資はともかく、一刻も早く資金繰りを改善したいという場合にも応用できる価格

政策です。

(2)スキミング・プライシング が採れる条件

スキミング・プライシングが採用できる条件として、以下のようなことがあげられます。

 ①独自性(差別化要素)がある製品・商品と考えられる

 ②価格の弾力性が小さい、価格を高くしても需要はあまり減らない

(3)スキミング・プライシング で期待できる効果

またスキミング効果として、次のようなことが期待できます。

 ①上位の高品質ブランドイメージを構築できる

 ②いい顧客層が獲得でき、高い粗利が獲得できる

 ③価格競争に陥る可能性が低い

(4)スキミング・プライシング のリスク

スキミング・プライシングはうまくいけば非常に良い市場を得られることになりますが、

一方、次のようなリスクがあげられます。

 ①競合を生み出す可能性が高い

 

マーケティングの解説や事例はだれでもが理解しやすいように、大企業や有名企業を前提に

して書かれますので、それが「マーケティングは、大企業でないとできない、関係ない」と

いう大きな誤解を生みだす下地となっています。

このペネトレーション・プライシング、スキミング・プライシングについてもそうです。

一見、大企業の経営者、大手企業のサラリーマンにしか関係がないと思われるかもしれませ

んが、大きな間違いです。必ず、私たちにとっても有益な情報、ハウツウがあります。

 

時代の進展とともに社会は複雑化しており、中小企業経営もこれからマーケティング戦略を

もって挑むことが大切です。ぜひ、自分なりにマーケティング戦略を経営に生かしていこう

とする意欲が大切だと思います。常に革新し永続的に続く企業経営目指したいものです。

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。


掲載日:2019年6月5日 |カテゴリー:マーケティング

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