図解 事業戦略策定の方法 27

戦略論の第13回は『最強組織の法則』です。

よく「うちの社員は・・・」と嘆く経営者の方がおられますが、そのような悩みをお持ちの社長さんは、ぜひ、ご一読ください。 ヒントが見つけられるかもわかりません!

この『最強組織の法則』は、アメリカ経営学者ピーター・センゲが1990年に発表した企業組織運営理論です。

「これからの企業組織は、ただ経営者の指示に従うだけの組織ではなく、社員自身の意欲と 学習能力に基づいて、『やる気』を醸し出す学習をするような企業組織であるべきだ」と言っています。まったくその通りです。

その学習する組織を「ラーニング・オーガニゼーション」とも呼びます。

 

1 最強組織「全員で学習し意欲と能力を高める組織」を構築する5つのポイント

(1)システム思考

システムは、相互の関連が整理されていて、初めて機能します。

それと同様にシステム思考とは、「物事の相互関係を確認したうえで全体構造を理解する」ことです。つまり、木を見て森を見ずではなく、「木を見て、森も見る」という視野です。

私たちも「自分の持ち場だけを理解すれば良い」という狭小的な視野だけではなく、全体を理解して、初めて自分の力や能力を最大限活かせることになります。

(2)自己マスタリー

マスタリーとは「習熟度」のことです。

各人の習熟度を高めることによって、組織の活力が生み出され、学習する組織構築の基礎となります。絶えまざる学習、学習意欲が大切です。

(3)メンタルモデルの克服

メンタルモデルとは、私たちの中にある「固定観念」のことです。

この固定観念が、時代や環境の変化に対する障壁となるのであり、それを克服することが、個人にも企業にも求められます。

つまり、個人も組織も常に固定観念を克服する、『クリティカル・シンキング』が重要だということです。

『クリティカル(critical)』とは「批判的な、批判眼のある」などという意味です。

クリティカル・シンキングを直訳すれば「批判的思考」となりますが、ただ物事を批判的に捉える思考ということではありません。クリティカル・シンキングは、目の前にある事象や情報を鵜呑みにせず、「それは本当に正しいのか」あるいは「本当にベストなのか」などと常に自問し、改善思考をもって物事を見て、惜しみなく改善をしていくということです。

※いま新入社員が入社して来ている時期ですが「先輩を見習って早く1人前になります!」

 では、進歩はありません。

「常にもっと良くする方法はないかという視点で見て会社をさらに発展させていきます!」 というぐらい、少々生意気ぐらいの姿勢が正しい姿勢ということです。

(4)共有ビジョンの構築

共有ビジョンとは「経営哲学や経営理念を全員で持つ」ということです。

しかし、ただ唱和する、暗記するなど、うわべの経営理念の共有ではなく、社員全員が心底そう思うように、経営者が常に社員と語り合うことが大事であるということです。

(5)チーム学習

一人一人が学習すればよいではなく、組織として「全員が学習することが大切だ!」ということです。いま、素晴らしいと言われている会社も、最初から素晴らしい会社であったわけではありません。全員で学習することを心がけて、現在の素晴らしい企業になったのです。

 

2 個人の学習を通して学ぶ組織、ラーニング・オーガニゼーション

学習とは、学生時代と同じように、ただ知識や情報を得るだけのことではありません。

「望む結果を得る能力開発」こそが社会に出てからの学習です。

そのためには自己マスタリーである習熟度を高め、同時にメンタルモデルである固定観念を克服しなければなりません。

そこで必要となるものが共有ビジョンである経営哲学や経営理念であり、それを組織全体に植え付けるためには「チーム学習」(全員学習)することが重要となります。

そのような組織を冒頭にも申し上げた『ラーニング・オーガニゼーション』と言います。

 

3 経営者の役割

そのような中での「経営者の役割」について、ゼンゲは次の3つを挙げています。

(1)経営者は思考力を身につける

まず、経営者自身が思考力を身につけることです。

そのためには時間を確保する必要がありますが、多くの経営者は「時間が割けない」と言訳をします。したがって、思考力を身につけるための前提条件として、自己の習慣を変えるということが必要になります。

(2)経営者はチーム学習を促進する

チーム学習の重要性は認識していても、放任しておくとチーム学習がなされるという保障はありません。

したがって、経営者自らがチーム学習をさせるように促さなければなりません。

(3)経営者は共有ビジョンを描き、浸透させる

最後に、共有ビジョンの策定とその浸透です。起業したのは経営者自身です。

したがって、ビジョンの策定は『経営者の専権事項』となります。

なぜ、自分はこの事業をやろうと思ったのか、振り返って考え、それを従業員に語り続け、従業員に浸透させることは経営者の重要な役目です。

 

企業組織全体の中での経営者としての自分の持ち場を理解し、体験と学習により、習熟度を高め、常に物事を批判的に捉えて高みを目指し、自社の仕事の尊さを知り、全員で切磋琢磨を続ける。

そうすることで『最強組織』が構築できると、センゲは情熱を持って言っています。

ある意味、前回の『プロフェッショナル・マネジャ』で「経営者は自分を犠牲にする覚悟があるのか」と通ずるところがあります。

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。


掲載日:2019年5月8日 |カテゴリー:マーケティング

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