戦略論の第2回目は「基本戦略マトリクス」です。
基本戦略マトリクスは、今から約40年前の1980年にマイケル・ポーターによって
提唱された戦略理論です。
『競争戦略』とも呼ばれ、前回のアンゾフによって提唱された「商品・市場戦略」と並び、非常にオーソドックスな戦略理論です。
ポーターは「競合に勝つ戦略は3つのパターンに大別できる」と言っています。
さらに「それぞれ一貫した原理があるので、複数を追うより一つを貫くべきだ」とも言っています。
コスト・リーダーシップ戦略とは、低コストを強みにして「競争優位」を得る戦略です。
コスト面でリードができれば、競争が激しくなっても、自社の利益性は相対的に守ることができるということです。
ただし、優位を価格に置いているので、技術の変化や新規参入などの環境変化に弱いという欠点を持ちます。
なお、コスト・リーダーシップ戦略を遂行するためには次のようなことが考えられます。
①生産規模の拡大による設備投資の効率化を図ること。
②生産規模の拡大による作業の効率化を図ること。
③間接コスト(固定費)を削減すること。
④ベテラン社員などによる「経験曲線」によって効率化を図ること。
⑤技術力による独自性を持つこと。
また、組織に関しては次のようなことが考えられます。
①報告の回数を減らすこと、また単純化を図ること。
②本社、本部を少数化すること。
③経費予算管理を徹底すること。
④チャレンジングなコスト数値目標を設定すること。
⑤在庫を削減すること。
⑥コスト削減に対する報奨制度を導入すること。
つまり、徹底的なコスト削減、いま話題?のゴーンさんで有名になったコストカットを行うことです。
確かに多くの中小企業では価格を下げざるを得ないので、販売単価を下げている企業が多いようです。
しかしそれだけではなく、裏側ではこのようなコスト削減を同時に考えていかねばならないということです。多くの中小企業ではこのようなことを努力しないから、収益悪化が避けられないわけです。
差別化戦略とは、競合他社の製品・サービスと比較して機能やサービス面などで差を設けることによって「競争優位」を得る戦略です。
確かに製品・サービスの機能や内容・イメージなどで特徴を持つことができれば、相対的な高価格が維持でき、同質化も回避できます。
但し、それだけに頼ってしまうと、極端な低価格攻勢や模倣された場合に競争優位を守れなくなる弱点があります。
なお、「差別化」とは次のようなことをいいます。
①顧客が認知できて、初めて差別化は成り立つ。
つまり、自分でいくら差別化できていると主張しても、顧客がわからなくては意味がない
ということです。
②差別化とは、顧客にとっては価値が増加することである。
単に「他社製品とは違う」だけでは差別化になりません。あくまでも顧客にとって価値が
上がることが重要です。
また、差別化にとって重要な要素は次のとおりです。
①特徴 ☞その製品・サービスに”見える特徴”があるか
②機能の連携 ☞それぞれの機能に”つながり”があるか
③タイミング ☞季節や流行りなどとの”機会”はどうか
④ロケーション ☞ターゲットロケーションあるいは地域ロケーションなどと
”関連性”はあるか
⑤品揃え ☞製品・サービス間に”切れ目”はないか
⑥アライアンス ☞トータル面での”サービス”はどうか
⑦評判・ブランド ☞評判がやがて”ブランド”に成長します
集中戦略とは、特定の客層や特定の地域などのセグメントに経営資源を集中させることで、対象を絞った狭い範疇の中で「競争優位」を得る戦略です。
確かに、小規模でも、特定の市場に経営資源を集中し優位を達成すれば、その分野への新規参入は限定され、利益性は守れます。
ただし、市場を限定しているので、全体的な大きなシェアは取れません。
また、ターゲット市場の特異性が無くなってくると、全体で優位に立つ企業との競争に巻き込まれる危険性があります。
その意味から「集中戦略だけでは戦略は成り立たない」と言われており、「コスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略の中で集中戦略が必要である」と言われています。
中小・小規模企業の場合は、対象市場が狭くならざるを得ず、競争優位の軸は経営規模が
小さいため、低コスト路線は取れないので、自ずと「差別化集中戦略」が基本戦略となり
ます。
そこで戦略のポイントは、対象市場が狭いことを逆手にとって、顧客とってにより鮮明な
特徴を打ち出すことです。
だから、ターゲットの選定”自社の顧客はだれ”ということが競争優位の第一歩となります。
戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いの外、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば『思い込み』を打ち破るしかありません。
掲載日:2019年2月13日 |カテゴリー:マーケティング
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