さて、事業戦略策定もここまで、
①経営理念を作り、②事業目的を設定し、③戦略ドメイン(事業領域)を決め、
④自社を取り巻く経営環境の分析を行ってきました。
次は、いよいよ戦略・戦術を決める段階です。
これからは「戦略」の考え方にもいろいろな手法がありますので、
いくつかをご紹介していきたいと思います。
その第1回は「商品・市場戦略」です。
商品・市場戦略はもっともポピュラーな戦略の考え方で、
非常に取り組みやすいという特徴があります。
別名、「アンゾフの成長マトリックス」とも呼ばれていますが、
あくまでも目的は「成長」、すなわち「増収」にあります。
よく、サービスのあり方を考え直すことだけに終始される場合がありますが、
それは間違いです。
目的は如何にして増収するか!?です。 このことを忘れずに取り組みましょう。
1 商品・市場戦略のフレーム
縦軸に「お客様を」考えます。これまでのお客様、そして新しいお客様です。
なお、お客様とはもちろん個人や法人の場合もあるでしょうし、地域や客層、あるいは
対象業種、海外などの場合もあるかと
思いますが、そこはフレキシブルに考えましょう。
横軸は「自社の商品・サービス」などを考えます。これまでの商品・サービス、そして
新しい商品・サービスです。 すると、次の4つのBOXができます。
(1)既存顧客×既存商品・サービス
(2)既存顧客×新商品・サービス
(3)新顧客×既存商品・サービス
(4)新顧客×新商品・サービス
2 4つのBOXの考え方
(1)既存顧客×既存商品・サービス
これは、まず最初に考えるべき、基本的な戦略論です。
「売れないからほかのことに手を出してみる」ではなく、「どうしたら売れるのか
(なぜ売れないのかという後ろ向きではなく)」を考える、ということです。
つまり、難しい言葉で言えば、「商品の再付加価値化」を図ることにほかなりません。
どのように説明すれば、よりお客様にその素晴らしさを理解していただけるのか、
どう接客すれば好感度が上げられるのか、どの展示すればお客様の目に止まりやすく
なるのかなど、現商品を取り巻く要素を考え直してみます。
この姿勢が、のちのちの新商品戦略や新市場戦略における「成功のカギ」となります。
まず、今より売れる態勢に変革しようということです。
ポイントは「再付加価値化」「非価格競争」です。
このような考え方を『市場浸透戦略』と呼びます。
(2)既存顧客×新商品・サービス
この戦略は、いまのお客様の期待により一層応えることで、収益拡大を図る考え方です。
ポイントは、市場浸透による再付加価値化の発展形だということです。
つまり、既存商品の高い評価がないと、いくら新しい商品を出しても受け入れられない
ということです。
市場浸透の発展形によって、同業者との「差別化」につながって来ます。
このような考え方を『新商品開発戦略』と呼びます。
(3)新顧客×既存商品・サービス
既存顧客への十分な実績を持って、新しいお客様を取り込む戦略が、この考え方です。
つまり、既存顧客に商品を十分浸透できないようでは、新しい顧客や市場に売ることは
できません。
既存のお客様を満足させられないままで新しい市場を開拓するということは、
ザルで水をすくうことと同じです。
新市場に販売するためには、これまでの実績と新市場における使いかたや説明の仕方、
見せ方などが必要です。
このような考え方を『新市場開拓戦略』と呼びます。
(4)新顧客×新商品・サービス
この戦略は新しい市場に新しい商品を投入する考え方ですから、簡単に言えば、新しい
商売・事業をするということになります。
したがって、通常は『多角化戦略』と呼ばれます。
大企業の場合には、蓄えた資金と豊富な人材をもとに、文字通り、
異なった市場で違う事業を展開することは可能です。
しかし、私たち中小企業は、残念ながら、通常そのような資金も人材もありません。
したがって、私たちにおける多角化戦略とは「結果の戦略」と考えてよいかと思います。
つまり、市場浸透を図り、その浸透のプロセスで新商品開発に結びつけ、それら実績を
元に新市場開拓に取り組み、その結果、必要あれば、分社的な多角化経営をすればよい
と考えます。
この「商品・市場戦略」は非常にオーソドックスな戦略理論であり、幅広い事業で
活用できます。
また、収益拡大はどんな事業であれ、避けられない永遠の課題です。
収益拡大ナシに継続的な事業は成り立ちません。
世の中では「市場の縮小化」と盛んに言われていますが、1社1社の中小企業にとって、
現実的にはそんなことはありません。
商圏やエリアさえ拡げれば、市場はいくらでも大きくなります。
極端なことをいえば、世界の市場は拡大してます。
特に日本には人口が拡大している東南アジア地域が隣接し、かつ経済成長も著しい地域
でもあります。こんなに有利なポジションある先進国はないとも言えます。
そして、それを可能とするのかインターネット技術です。
その意味ではインターネットは中小企業にとって必須の技術ですので、
インターネットにも真剣に取り組み必要があるようです。
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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