平成28年度分会社標本調査 結果

国税庁「平成28年度分会社標本調査」

毎年4月になると、国税庁から「会社標本調査」が発表されています。
これは毎年、前々年4月から前年3月までの間に事業が終了した法人企業の申告書に
基づいて調査されたもので、
最新の法人経営状況がわかります。
今年は、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に事業が終了した
法人企業の申告書に基づいて発表されており、
法人の経営状況は次のとおりです。

 

1 法人の経営状況

(1)法人企業数

連結子会社を含む法人企業は2,672,033社であり、前年度と比べて
30,185社、1.1%増加しました。
しかし、資本金別にみると別の問題が浮かび上がります。

 資本金1,000万円以下 2,294,035社(85.9%) 前年2,262,380社 31,655社増加

 1千万超~1億円以下      355,112社(13.3%)     356,019社    907社減少

 1億超~10億円以下     16,711社( 0.6%)      17,233社    522社減少

 10億円超         6,175社( 0.2%)     6,216社      41社減少

 

増加している法人層は、資本金1千万円未満の小法人のみであり、それ以外は減少している
ことがわかります。この傾向は平成23年以降続いており、大企業の「統廃合」が進んでいることがわかります。つまり、一極集中が徐々に進んでいるということです。   
なお、連結子会社を含む法人企業数は、平成24年までは3年連続で減少していましたが、25年から増加に転じて、4年連続増加しています。

(2)利益計上法人

利益計上法人とは、所得金額がプラスの法人のことをいい、法人税等が発生し納税している法人です。
その利益計上法人は970,698社であり、昨年より31,121社、3.3%増加し、6年連続で増加しています。

(3)欠損法人

欠損法人とは、所得金額がマイナスの法人のことをいい、法人税等を納める必要がなかった法人です。たとえば、今年は黒字だったけれども繰越欠損がある法人なども含み、つまり、繰越欠損がある法人企業ということになります。1
その欠損法人は、1,689,427社であり、昨年より1,432社、0.1%減少し、
7年連続で減少しています。

(4)欠損法人割合

28年度分の欠損企業割合は63.5%となり、21年度分・22年度分時の72.8%をピークに、6年連続で減少しています。
これもアベノミクスの効果なのでしょうか? いや、やはり、経営者努力の成果なのです。
しかしながら依然として、「3社に2社は欠損法人」という大勢に変化はありません。

では次に、利益計上法人と欠損法人では、財務上、どこがどう違うのか見て行きましょう。

 

2 利益計上法人と欠損法人のちがい

(1)売上総利益が違う

「売上高」ももちろん違うのですが、それよりも大きな違いは「売上総利益」です。
原価率が低いと見るべきところもあるのでしょうが、売上単価も違うということです。
つまり、無駄な原価は発生させないという『原価意識』だけではなく、
販売価格だけで勝負しないで、『中身・価値で勝負』しているということです。

(2)人件費が違う

「一人当たりの従業員人件費」にも大きな差があります。
それでいて売上総利益に占める人件費の割合「労働分配率」は、欠損法人よりも低くなっています。
モチベーションは「人件費だけがすべて」というつもりはありませんが、将来のことも考え安心して働けるので、人財・技術の蓄積ができ、それが付加価値の形成のもととなり、販売価格だけで勝負をしない『付加価値経営』を実現させているものと思われます。

(3)経費率が違う

経営者・従業員のモチベーションの高さが経費にも表れ、経費コストを下げています。
それによって、たとえ同じ粗利益であっても、残る利益に大きな差となって表れています。
つまり、『儲けがでる社内構造』が出来上がっているということです。

(4)これらが財政状況にも現れている

このような損益の違いが、当然のことながら『財政状況』にも反映されています。
具体的には、次のようなところに現れてきます。

 

3 利益計上法人と欠損法人の財政状況のちがい

(1)自己資本の割合

欠損法人ということは、繰越利益剰余金がマイナスですから、自己資本である「純資産」は資本金を割り込んでいます。すると、『自己資本比率』は低くくなるということです。
過度な節税ばかりしていると、繰越利益は積み立てられません。
節税は、一見、税金を得したような気分になるのかもわかりませんが、実は「無駄遣いしている」と同じことです。 さらに、社内のモラルも下げてしまいます。
過度な節税には気をつけたいですね。

(2)銀行借入金(有利子負債)の割合

欠損法人ということは、繰越利益剰余金がありませんから、資金が足りる筈がありません。
したがって資金調達するには、銀行から借入れを起こすか、役員借入として経営者が資金を提供するしかありません。
欠損法人になると、基本的に社内のモラルも低くなっていますので、融資を受け、支払利息と返済分を稼ぐことは至難の業です。
役員借入も返済を受けるどころが、ますます積み増しすることが関の山です。
融資を受けるということは、それを元手にして融資金額と金利分を稼ぎ、さらに利益を残すというのが、融資の本来です。
よくこのことを自覚する必要があります。

(3)手元資金の割合

欠損法人という状態では、手元資金(現預金)は増えるはずがありません。
なぜなら、売上よりも費用が多かったので「欠損」となったのであり、したがって、税金も納める必要がなかったわけです。
売上とは、家計でいえば「総収入」であり、費用は「生活費」にあたります。
総収入より生活費の方が多いわけですから、おカネは残りませんね。
欠損法人から脱却するには、売上高以内に原価や経費を抑えることが『鉄則』です。

(4)在庫(棚卸資産)の割合

在庫とは、簡単にいえば「売れ残り」です。したがって、通常は、帳簿どおりの資産価値はありません。一般的に欠損法人ほど「在庫」は多くなっています。それはなぜでしょうか?
答えは「売上を伸ばしたいから」です。
売上を伸ばすためには、売れた場合のことを考えて、在庫を増やさなければなりません。
しかし、考えるべきことは「売れた場合」のことではなく「売れるようにする工夫」です。
いままでと同じことを繰り返していて、仕入だけを増やしても、在庫が増えるだけです。
いままでと同じことを繰り返すだけでは売上高は上がりません。
いままでとは「何か」違うことをする必要があります。
それをするにはいろいろな抵抗が起こるかと思いますが、それの先に、これまでは違う結果が待っているのです。

(5)固定資産の割合

欠損法人ほど、総資産に占める「固定資産」の割合は高くなっています。
その理由は、在庫と同じようなところにあります。
不要な資産は、まだ資産価値があるうちに、早く処分することが賢明です。
設備のダウンサイジングは、経営改善の重要なポイントの一つです。

 

 

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それが、パソコン会計の導入意義です。
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掲載日:2018年7月25日 |カテゴリー:トピックス, 企業統計, 経営技術

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