マーケット戦略 ポーターの基本戦略

マーケット戦略 ポーターの基本戦略

現代は売上を増やすことが難しい時代となっています。
いろいろなモノが溢れ、さまざまなモノも存在し、市場は高齢少子化、人口それ自体も
減少し始めているからです。

さらに、将来に対する不安感から消費は減退化しており、そして多様化し、経済格差も
顕在化し出しています。 
非常に複雑な社会状況となっています。
ですから「頑張る」とか「まじめに働く」というだけでは、思いどおりに売上は増えなくなっているのです。
そこで従来からの企業経営に「何か」を加えなければなりません。
それは経営の工夫であり、販売の工夫です。そのことを『経営戦略』あるいは『販売戦略』といっています。

このことは小さな企業・ビジネスほど、強く求められています。
そこでこれから『マーケット戦略』というテーマのもと色々な収益拡大の考え方を紹介し、
小さなビジネス企業の売上高拡大のヒントに供したいと考えています。

 

ポーターの基本戦略 -5つの力と3つの基本戦略-

今から約40年前の1980年マイケル・ポーターによって提唱された『ポーターの基本戦略』は『競争戦略』とも呼ばれています。
いまや経営戦略論の古典となっていますが、中
小・小規模ビジネスの事業戦略を考えるにはとても参考になる考え方です。
具体的には『5つの力:ファイブフォース』という業界分析を行い、「競争優位」がつくれる状況にあるかどうかを判断し、そのうえで『3つの基本戦略』から適正な戦略を選ぶべきだと教えています。
では、具体的に見て行きましょう。

     <5フォースと基本戦略のイメージ>

5フォース&基本戦略図

 

1 5フォース(Five forces)

(1)5フォースとは業界分析の切り口

具体的には、新規参入の影響力、代替品の影響力、顧客・市場の影響力、仕入先の影響力、そして業界内の競合影響力を切り口として、業界状況を分析します。

(2)この5つ切り口から業界を理解する

こうした切り口から業界を理解すれば、競争環境の緩やかな場所にポジショニングすることが可能となります。
そうすれば、資金調達コストを上回る利潤をあげることがより容易になります。
ポーターは「ポジショニングこそが、戦略だ」と提唱しています。
ポジショニングとは、自社の位置づけであり、自社戦略の方向付けです。
5フォースをもう一度まとめるますと、参入・代替・顧客・仕入・業界競争、この5つが
切り口です。

(3)魅力ある業界とは

ポーターの枠組みに沿えば、
新規参入障壁は高く、かつ撤退障壁は低くく、代替品との距離は遠く、川上や川下よりも
業界の交渉力の方が高い状況にある、ということが望ましいと言えます。
つまり、新規参入がしにくく、されど撤退はしやすく、代替品がない、顧客や仕入先よりも自社の交渉力の方が高くなる業界が望ましいということです。
そのような夢の業界は無いかもわかりませんが、そのような状況に近い業界でビジネスを
選択することや認識することが大事であり、そこを考えるのが戦略です。

ちなみに、日本の場合は、市場規模や市場成長性だけで魅力度を判断する傾向が強いと
いわれていいます。

この『5フォース』について詳しくは、Five Forces分析のコラムを参照されたい。

 

2 3つの基本戦略 ・・複数を追うより一つを貫く

ポーターは競合に打ち勝つ方法は、次の3つのパターンに大別でき、各々に一貫した原理があるので、複数を追うより一つを貫くべきだと提唱しています。

(1)コストリーダーシップ戦略

コスト面でリードできれば、競争が激しくなっても、自社の利益性は相対的に守ることが
できます。
ただし、技術の変化や新規参入など、環境変化に弱いという欠点を持つと云われています。

なお、コストリーダーシップを採るには次のようなことが考えられます。
 ①生産規模拡大による設備投資の効率化を図る
 ②生産規模拡大による作業の効率化を図る
 ③間接コスト(固定費)を削減する
 ④ベテラン社員などによる経験曲線による効率化を図る
 ⑤技術力による独自性を持つ
さらに、組織に関しては次のようなことが考えられます。
 ①報告回数の削減や単純化を図る
 ②本社・本部を少数化する
 ③経費予算管理を実行する
 ④チャレンジングなコスト数値目標を設定する
 ⑤在庫を削減する
 ⑥コスト削減に対する報奨制度を導入する
販売単価を下げざるを得ないので、販売単価を下げようと考える企業は多く見られます。
しかし、裏側でこのようなコスト削減を考えている企業は少ないのではないのでしょうか。だから、収益悪化が避けられないわけです。

 

(2)差別化戦略

製品の機能やイメージなどで特徴を持つことさえできれば、相対的な高価格が維持でき、
同質化も回避できます。
ただし、そこだけに頼ると、極端な低価格攻勢や模倣された競合に優位を守れなくなる
危険もあります。

なお、差別化とは次のようなことをいいます。
 ①顧客が認知できて、初めて差別化は成り立ちます
  自社で「いくらこれは差別化出来ている」といっても、顧客が認知出来なければ
  意味はありません。
 ②差別化とは、顧客にとって価値が増加することです
  単に「他社製品とは違う」だけは差別化ではありません。
  顧客にとって価値が上がるかどうか、ということです。

また、差別化にとって重要な要素は次の7つです。
 ①特徴       その製品・商品・サービスには見える特徴があるのか
 ②機能の連携    それぞれの機能にはつながりがあるのか  
 ③タイミング    季節、流行りなどとの時期はどうなのか
 ④ロケーション   ターゲットロケーション、地域ロケーションなどとの関連性は
           あるのか
 ⑤品揃え      製品・商品・サービス間のつながりはどうなのか
 ⑥アライアンス   トータル面でのサービスはどうなのか
 ⑦評判・ブランド  評判がやがてブランドに成長する

 

(3)集中戦略

特定の市場に経営資源を集中し、優位を達成すれば、その分野への新規参入は限定され、
利益性は守れます。
ただし、市場を限定するので、全体的に大きなシェアは取れません。
また、ターゲットとする市場の特異性が薄まると、全体の市場で優位に立つ企業との競争に巻き込まれる危険性があります。

なお、集中戦略だけでは、戦略は成り立たないと言われています。
「戦略とは集中である」とか「戦略とは捨てることである」ともいわれることがあるように
コストリーダーシップ戦略や差別化戦略の中で、集中戦略が必要であるといわれています。

 

かつての日本企業は「いいもの(=差別化)」を「安く(=コストリーダーシップ)」で
海外市場を席巻した時代がありました。しかし、現在は模倣した、より低コストのアジア
企業の台頭によって苦戦を強いられています。

 

 

ポーターの基本戦略は基本的な戦略理論ですから、幅広い事業に活用できる考え方です。
特に、コストリーダーシップ戦略は低価格販売に悩んでいる中小・小規模企業経営者に
とって、とても参考になる考え方です。
低価格販売する裏側をもっと考えるべきではないのでしょうか。
現在は知価経営時代といわれており、知恵を使って価値を上げる経営の時代です。
マーケット戦略はそんな知恵を授けてくれる考え方です。
考えて商売、事業をする。そのこと自体が大事なような気がいたします。


掲載日:2018年6月20日 |カテゴリー:マーケティング, 経営技術

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