マーケット戦略 アンゾフ成長マトリクス

マーケット戦略 アンゾフの成長マトリクス

現代は売上を増やすことが難しい時代となっています。
いろいろなモノが溢れ、さまざまなモノも存在し、そのうえ市場は高齢少子化し、人口それ自体も減少し始めたからです。
さらにそのような状況で、将来に対する不安感から消費は減退化しており、かつ多様化し、経済格差も顕在化しています。 非常に複雑な社会となっています。
ですから、ただ「頑張る」とか「まじめに働く」というだけでは、思いどおりに売上は増えなくなっています。
そこで従来からの企業経営に加えなければならないことは、❝販売の工夫❞です。そのことを『販売戦略』といっていますが、このことは小さな企業・ビジネスほど求められています。
そこでこれから、『マーケット戦略』という統一テーマでいろいろな収益拡大の考え方を
ご紹介し、小さなビジネス企業の売上高拡大のヒントに役立てればと思っています。

 

アンゾフの成長マトリクス戦略

第3回目の今回は『アンゾフの成長マトリクス戦略』です。
この成長マトリクスは『製品・市場戦略』ともいわれていますが、さまざまな企業に応用できる成長戦略です。
この考え方は「経営戦略の祖」といわれる経営学者アンゾフ博士が1957年に提唱した企業成長戦略理論ですが、古典的理論であるだけに、私たち中小・小規模企業が経営の工夫を
考えるには、もっとも考えやすい考え方の一つです。
ぜひ、この考え方を応用して自社の成長する道すじを考えてみられればいかがでしょうか。

 

1 販売戦略の切り口を4つに分ける

ヨコ軸に自社の商品・サービスなどの軸をとり、既存商品と新規商品に分けます。
タテ軸には市場とか顧客の軸をとり、同じく既存市場あるいは既存顧客と新規市場あるいは新規顧客に分けます。 すると次のようなBOXが4つできます。

アンゾフ成長戦略

ここでご注意をいくつか・・

①あまり文字づらに囚われないようにしましょう。
 ヨコ軸は自社の「仕事」ということです。
 タテ軸は自社の「顧客、顧客層、商圏」ということです。
 自社に合ったイメージで捉えればよいかと思います。
 あまり文字づらに囚われると、発想が固くなりますので、気をつけましょう。
②この考え方は成長戦略です。
 この考え方はあくまでも「成長」、つまり「売上を増やす」ことが目的です。
 決して、フォロー策を考えることではありませんので、そのあたりは意識しましょう。

アンゾフは、既存顧客に既存商品をという箱『市場浸透戦略』と、既存顧客に新規商品をという箱『新商品開発戦略』、新規顧客に既存商品をという箱『新市場開拓戦略』、新規顧客に新規商品をという箱『多角化戦略』に分けて、企業の成長戦略を提唱しました。

 

2 基本的な考え方

(1)市場浸透戦略

「いまのお客さまに、いまある商品をさらに販売していく」ということですから、提案の
仕方を変えるとか、組合せを考えるとかが中心となります。
たとえば、ふとんクリーナーのレイコップは元々は小型掃除機というコンセプトでしたがさっぱり売れなかったそうです。しかし、ふとん専用掃除機として提案をしなおしたら、
爆発的に売れ出したということです。市場浸透戦略とはこのような考え方をいいます。
きっと私たちの仕事にも、そんな捉え方を変えることで増収につながることがあるのでは
ないのでしょうか。

(2)新商品開発戦略

「いまのお客さまに、新しい商品を販売する」ということですから、新製品をつくるとか、新商品を仕入するとか、新サービスを始めるということが中心となります。
ただ、いま重要なことはモノやサービス自体よりも、どのように説明するか、どう提案するか、どう見せるか、ということだといわれています。
新しい商品を陳列するだけで売れる時代は戦後のお話です。いまは豊かな成熟社会です。
そのことをもっと気づくことが大切なのではないのでしょうか。

(3)新市場開拓戦略

「新しいお客さまにあるいは新しい市場に、自社のモノを販売する」ということですから、提案の仕方や見せ方、そして販売チャネルが大切になってきます。
一番わかりやすい方法は、インターネットを利用してエリアを拡げる、海外進出をすると
いうことです。
しかし、ことはそう簡単には運びません。
確かに、インターネットに公開すれば、理論上は日本中であるいは世界中で誰でもが見れるようになりますが、実際はなかなか見つけでもらえません。
つまり、見つけてもらえる道筋を同時に考えなければならないからです。
お店をオープンしても、お店へ行く道がなければお客さまは来ません。それと同じです。

(4)多角化戦略

「新しいお客さまに、新しい商品を販売する」ということですから、多角化という名前で
呼ばれています。
しかし、あまり多角化という言葉に囚われないほうがいいように思います。
いまコンビニエンスストアがどんどんその方向へ進化しています。日用品から食材、調理
食品、金融、流通、医薬品と、どんどん新しい商品・サービス、そして新しいお客を開拓
していますが、この先、EV時代になれば燃料も供給しようとしています。
それが結局、多角化経営になるのかそれとも業務領域の拡張ということだけで収まるのか、それは結果次第です。
したがって、新顧客-新商品については、そのように考えた方が考えやすいと思われます。

 

3 戦略の基本的な順番

「必ずこの順番でないといけません」ということはありませんが、それでも経営の工夫には行なうべき基本的な順番というものがあります。
それは、まず、いまのお客さまを大事にすることです。つまり『市場浸透戦略』が第1優先になります。

第2優先は、いまのお客さまに新しい商品を提供する『新製品開発戦略』です。
それだけ、新規市場・新規顧客開拓することは難しいとアンゾフ博士は云っています。
特に中小・小規模企業の場合は、まだお客さまに出来ていないことも数多くありますので、市場浸透戦略や新製品開発戦略を採ることによって「差別化」に通じて来ます。
その差別化が、さらに新規市場開拓戦略にもつながるという相乗効果もあります。

第3優先は、ようやく既存の商品を新しい市場に提供するという『新市場開拓戦略』です。

そして最後になるのが『多角化戦略』ですが、これは先ほどもご説明したとおり、結果的にそうなると考えた方がよさそうです。

 

4 市場浸透戦略とは自社の「高付加価値化戦略」である

市場浸透戦略とは、いまのお客さまに、いまだ購入されていない既存製品・商品・サービスを販売しようという考え方ですから、これまでと同じ方法ではダメだということです。
提案や説明、サービスあるいは顧客密着度などを考え直し、より付加価値を高めて、既存のお客さまに接触する必要があります。それが「工夫」です。
したがってその意味では、市場浸透戦略は製品・商品・サービスの再付加価値化、つまり『高付加価値化戦略』といえます。

 

5 新製品開発戦略とは『差別化戦略』である

次に、いまのお客さまに新しい商品を販売するということは、新しい顧客ニーズに対して、同業者とは異なる新しい商品を提供して収益を拡大しようという考え方です。
したがって、その意味では新製品戦略とは『差別化戦略』に他なりません。

 

6 新市場開拓戦略とは
  市場浸透戦略と新製品開発戦略の実績を持って『市場拡大する戦略』である

既存商品を既存顧客にさえ浸透できていない状況では新しい市場に売ることはできません。
新しい市場を開拓できる条件は、市場浸透もできており、かつ新しい商品も提供できていることです。それだからこそ、初めて新市場が開拓できるのです。
いまのお客さまを満足させられないまま、新しい市場開拓をすることは、ザルで水をすくうことと同じです。
したがって、その意味では新市場開拓戦略とは、市場浸透と製品開発の実績を持って行なう『市場拡大戦略』だといえます。

※インターネットは必須
既存商品を既存市場に浸透させるためにも、まして、新しい市場を開拓するにはインターネットによるウェブ戦略が必須です。これからの事業にインターネットを避けることは出来ません。ホームページやネットショップにネット広告を絡めると、新市場開拓の成功確率をかなり引き上げることができます。
これまで中小・小規模企業にとって、新市場開拓はコスト的にもかなり困難なものであったわけですが、インターネットが利用できるようになって以来、中小・小規模企業にとっても実現可能なものとなっています。
インターネットを活用すれば、県内・県外・日本全国、さらには全世界を相手に、コストをかけずに注文を取ることが可能です。
「市場縮小化」は日本国内だけの特殊な出来事であって、世界は人口増と経済発展によってますます市場拡大しています。

したがって、中小・小規模企業であるほど、インターネットをもっと重要視し、使いこなさなければなりません。

 

7 多角化は結果の戦略

大企業の場合には、蓄えた資金と豊富な人材をもとに、異なった事業領域で事業を展開し、多角化戦略を取ることは可能です。
しかし中小・小規模企業には残念ながらそのような資金力も人材力もない場合が多いのが
実状です。したがって、中小・小規模企業における多角化戦略とは「結果の戦略」と考えてよいのではないかということです。
市場浸透を展開し、それを新商品開発に結びつけ、その実績を元に新市場開拓に取り組み、その結果、必要でかつできる資産があるのであれば、分社的な多角化を展開すればよいのではないのでしょうか。

 

 

 この成長マトリクス戦略は、非常にオーソドックスな戦略理論であり、幅広い事業に
 活用できます。収益拡大ナシには、継続的な事業は成り立ちませんので、収益拡大は
 企業経営にとって避けられない、永遠の課題です。
 そんなときに、この成長マトリクス戦略は大きなヒントを与えてくれます。
 その教示はもっと現在の仕事を高付加価値化して、顧客ニーズに応えることによって
 差別化力をつけ、新しい顧客・市場に挑戦することだということのようです。


掲載日:2018年6月13日 |カテゴリー:マーケティング, 経営技術

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