これまで収益(利益)を増やすための方法として、
1.固定費を削減する 2.売上単価を上げる 3.売上原価を下げる を
ご紹介してきました。
しかし、固定を削減する、単価を上げる、原価を下げる、いずれの方法であっても
残念ながら限界があります。
そこで最後に必ずチャレンジしなければならないのが「増収、売上拡大」です。
ただし1~3のことを前段階としてやっておくことは収益構造の改善になっていますので、そのうえで増収が出来れば大きな増益が得られるようになります。
したがって、何度も申しあげますが、まずは1~3を実行しておくことが大切です。
では、「売上高を増やす方法」を考えましょう。
資金繰りや赤字に悩む経営者に会うと「何とか売上高を増やしたい」と考えておられる方が多いです。またそれらの企業に対して助言する立場である会計事務所においても「なんとか売上をやさないといけませんね」とアドバイスしている場合が多いのかもわかりません。
しかし、売上を増やすためには、これまでと同じやってればいいとはなりませんから、人を採用しようとされたり、仕入を増やしたり、広告などの経費を増やしたりしなければなりません。これらは増収に先立って発生する費用ですので、支払も回収より先にしなければなりません。
現状は赤字であり、資金繰りが厳しいかったわけです・・。
なのに、費用は確実に増加し、かつ支払額も多くなります。
どこからこのお金は出てくるのでしょうか? また、必ず増収できるのでしょうか?
そんな簡単に増収できるのであれば、何もこれまで赤字や資金繰りに苦しむ必要はなかったのではないのでしょうか?
これが売上拡大に潜む落とし穴です。
企業体質や商品・製品や販売方法など何も変えずに、ただ増員し、仕入を増やし、経費を増やす・・。結果は明白です。さらに赤字の積み重ねと資金不足を招くだけです。
だから、まず固定費の削減、単価のアップ、原価の抑制をして、企業体質を変えましょうということです。
このことを忘れないでください。
長年、赤字と資金繰りに苦しんでいるのに、そのままの状態で増収はできません!
売上を増やすためには、これまでと同じことの繰り返しでは同じ結果(赤字)となりますから、販売方法を考え直すことが必要です。
多くの赤字・資金欠乏経営者は「我々にそんなことは関係ないよ」という方も多いですが、だから赤字・資金欠乏なのです。
我々に関係あるのです、販売方法を考え直す必要が!
販売方法に関してはいろいろな考え方がありますが、4つの窓から考えると整理して考えられます。
いわゆる「製品-市場戦略」という考え方です。
これを自社に合った形にアレンジして考えると、成長する道すじが整理できます。
横軸に商品・サービスの軸を考え、既存商品と新商品に分けます。
縦軸は市場の軸をとり、既存客と新市場客に分けます。
そうすると「既存商品・既存客」、「新商品・既存客」、「既存商品・新市場客」、
「新商品・新市場客」にという4つの窓ができます。
これごとに販売方法を考えるわけです。
まず考えるべきは、いままでのお客さまに、いまの商品をもっと買っていただく方法です。
これが販売の工夫を行うべき第一優先対象です。
いままでのお客さまをもっと大事に考えましょうということです。
流行りの言葉でいえば、サステナビリティ(sustainability)、持続可能性の向上ということです。
この既存商品・既存客は、現在のお客さまへさらに自社商品を浸透させようということですから、「市場浸透戦略」といえます。
市場浸透とは、現在のお客さまにまだ購入いただいていない既存商品や購入はいただいているけれどもっと買っていただこうとすることですから、これまでと同じ販売方法ではなく、提案・説明・サービス・顧客密着度などを考え直し、販売しようというものです。
その意味では商品の再付加価値化戦略なのです。
次に考えるべきは、いままでのお客さまに、新しい商品を販売する方法です。
これまでの商品ではカバーしきれていない商品ラインナップを充実させるということです
から「商品開発戦略」ともいえます。
この新商品・既存客は既存のお客さまの新しいニーズに対して、同業他社とは異なる新しい商品を提供して収益拡大を図る考え方です。
したがって、その意味では差別化戦略に他なりません。
これは現在の商品をいまとは違う市場(マーケット)に販売する方法です。
これは第三優先の方法となります。
違う市場とは、いままでと違う客層や地域のことです。
したがって「新市場開拓戦略」ともいえます。
たとえばアレンジして若年から中高齢者マーケットにシフトするとか、男性マーケットから女性マーケットへシフトするとか、インターネットを活用して販売エリアを広げるなどです。
新商品・新市場客とは、自社の経営資源や技術を見直し、その資源や技術力を活かして、
これまでとは違う市場に対して新しい商品を提供するという方法です。
いわゆる「経営多角化戦略」ともいえます。
しかし、資金力も人材力もあまりない中小企業においての経営多角化は、結果的な戦略と
考えてよいのかもわかりません。
今後、人件費を中心に費用は必ず増えていきます。だから増収させることは絶対条件となります。それだけに日常の経営姿勢が大事なのではないのでしょうか。
増収とは、お客さまからの支持のバロメーターでもあります。日常の努力と創意工夫をもって、中小企業の強みを活かし、ピカリと光る経営を目指しましょう!
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