中小企業の収益拡大(2) 拡大の方法

第2回 収益拡大の方法

前回は収益拡大とはあくまで利益を増やすことが目的であることを確認しました。
今回は収益拡大する方法について考えます。
収益を拡大する方法は次の4つのパターンに分けられます。

 ①(人件費を除く)固定費を減らして「利益」を増やす方法

 ②付加価値を増やして「利益」を増やす方法

 ③変動費を減らして「利益」を増やす方法

 ④売上高を増やして「利益」を増やす方法

それぞれについて見ていきましょう。

 

1 (人件費を除く)固定費を減らして「利益」を増やす方法

 この4つの方法の中でもっとも簡単に利益が増やせる方法です。
粗利益が同じだとすれば、減額できた固定費の分だけ利益が増やせることができます。
また顧客や取引先に関係なく社内だけで成果が出せるので、自社のやる気次第です。

 この固定費削減を確実に行うためにはポイントが4つあります。
①削減対象とする固定費に聖域はない
②経営者自らが率先垂範する
③何を削減するのか全員がわかるようにターゲットを設定する
④削減目標を決めたなら経費予算管理を実行する  です。

(1)聖域を設けない

 聖域を設けないとは金額の大小や固定観念、これまでの慣習などに囚われないということです。たったこれだけとか、これは社長の経費だとか、これがないと得意先と仕事ができないとか、そういうこれまでの考え方をすべてゼロにして考えるということです。

(2)社長自らが率先垂範する

 いうまでもなく固定費を削減するのは従業員だけではありません。社長自ら先頭に立って固定費削減を実践するということです。

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 この2つの事例として稲盛和夫さんがJALの会長時代のエピソードが有名です。
稲盛会長が伊丹空港を視察したとき、カウンター勤務の若い女性社員が月額2千円のコスト削減成果を発表したそうです。その金額の少なさに困惑した周囲をよそに「そういう努力が一番大事なんだ」と稲盛会長が大いに褒め、この話がメールで社内に拡がることによって、一気にコスト削減意識が社内に浸透したということです。
稲盛会長は「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念も掲げたそうです。
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(3)全員がわかるようにターゲットを設定する

 車両費を減らそうとか、事務用消耗品費を減らそうとか、接待交際費を減らそうとか、そのような曖昧なターゲットではなく、具体的に一つ一つ削減する項目を明確にして削減目標を設定するということです。例えば、車両費ではなくガソリン代とか高速代、事務用消耗品費ではなくボールペン代とかコピー用紙代、接待交際費ではなく取引先との飲食代、ゴルフプレー代などです。こうすれば全員が具体的に何を節約すればよいのかわかります。

(4)経費予算管理を実行する

 これは改めていうまでもなく、目標設定だけではなく、その進捗管理を全員にわかるように行うということです。つまり、PDCAサイクルです。

 

《チョッと人件費に関するアドバイス》

 いま「働き方改革」とか「労働時間短縮」などと言われ、残業を減らそうとしている企業が多く見られます。それは正しい改善の方向だと思います。
但し、ただそれだけでは不十分です。なぜなら一般的に現実の問題として残業手当も生活費になっているという側面があるからです。仮に残業がなくなって手取り額が減ると従業員のモチベーションは下がります。従業員のモチベーションが下がれば、会社の付加価値力も下がります。したがって、働き方改革や残業削減と同時に昇給ということをパッケージにして方策を練らなければなりません。
ただし、あなたの会社が一部の超一流だ企業と同じような処遇をされているなら話は別ですが・・。

 

2 付加価値を増やして「利益」を増やす方法

 これは売価・単価を上げるということです。
但し、これまでの売価を値上げすることは難しいですから、今後の取引において何かしらの付加価値を付けて売価を上げるということです。「無理だ」と頭こなしに思わないで、どの企業の場合にもこのことは出来ます。よく考えてみましょう。

 

3 変動費を減らして「利益」を増やす方法

 これは商品仕入や材料仕入あるいは外注加工費などの変動費を減らすということです。
自社でできることとしては在庫管理を徹底し、仕入を減らすということができます。また、仕入先を変更するということも考えられます。但し、取引先のことも考えるというバランスと品質を落とさないということも併せて考える必要があります。

 

4 売上高を増やして「利益」を増やす方法

 これは一番最後に取り掛かるべき課題です。収益拡大のポイントはまず物心の収益構造を変革して、それから売上拡大に取り掛かるということです。より儲かる構造になって、人のやる気も変われば、売上拡大は取り掛かりやすくなって、そのうえで売上が増えれば大きな増益が実現できます。

 そうでないのに、そのまま売上拡大志向に向かっても、前回のコラムで説明したとおり、ほとんどの場合がまずます赤字のスパイラルに陥っていきます。赤字体質の原因が収益構造にあるのか、人にあるのかは、わかりませんが、そこをまず改善しないと売上拡大で赤字改善はできないということです。

 

まずは固定費削減から取り掛かりましょう。

 


掲載日:2018年2月14日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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