会計のエッセンス(10)

第10回 「純資産」の読み方・見方

今回は「純資産」の読み方です。
純資産は、創業から現在に至るまでの「事業活動の成果」を表していますが、
意外と顧みられることは少ないようです。

しかしこれまでの事業活動の成果ですから、重要な項目です。

今回はそんな「純資産」の読み方・見方をご紹介します。

 

1 純資産の概要

純資産とは、会計上では「総資産と負債の差額(純資産=総資産ー負債)」です。

ですから「総資産=負債+純資産」という等式が必ず成り立ちます。

そんな純資産の中身は、
一般的には設立時の「資本金」と損益活動で貯めて来た運用結果の「繰越利益」です。

*繰越利益は正しくは「繰越利益剰余金」といいますが、こういう表現が何となく会計を
 小難しくさせますので、ここではカンタンに「繰越利益」と呼びます。

 

2 純資産の読み方・見方

(1)自己資本の割合を読む

安定した経営を行うためには自己資本で設備投資も売買活動も行うことが重要です。
このことを「石橋経営」といいます。

ですから「事業で調達している資金(総資本)はなるべく自己資本が多いことが望ましい」ということになります。

そこで次のような形でその状況を読みます。

  自己資本 ÷ 総資本または総資産 ×100 =X%  ☚自己資本比率

一般的に中小小規模企業は「自己資本比率が低い」と言われ、その通りなのですが、しかし
本来は小規模ビジネスなのですから、大企業以上に自己資本を高めておく必要があります。
その意味では、中小小規模企業こそ、この「自己資本比率合」は常に50%を超えるように
しておきたいものです。

(2)創業した事業の成長状況を読む

中小企業のほとんどはオーナー企業です。その意味では創業以来の実質的な成長状況を掴みたいものです。その読み方がこれです。

  純資産 ÷ 資本金 =Y倍  ☚自己資本成長率

事業の規模は売上高や総資産などで見る場合が多いですが、「事業の成長度合」というのはある意味、投資の見方と同じです。当初の自己資本が「資本金」です。この資本金が事業を通じて何倍になっているのかということです。判断は、それぞれの経営者の当初の目論見によって変わるかと思いますが、しかし一般的には5年程度で倍にはしたいところです。

(3)無借金経営度合を読む

安全な経営とは「債務に頼らない経営」です。

上場企業では「無借金経営」を目指している企業が多くありますが、それは中小小規模企業とて同じことです。それは次のように読みます。

  手元資金 ÷(短期借入金+長期借入金)×100 =Z%  ☚実質無借金比率

手元資金が借入金(有利子負債)以上あれば、理屈的には全額返済することも可能ですので「実質的な無借金経営」と言えます。ですから100%以上が理想となりますが、そこまではいかなくとも、50%程度にはさせたいところです。

 

 

このように純資産を月次試算表から読めるようになって打ち手が講じられるようになると、経営の安全性が急速に高まり、安定した会社経営が実現します。

それがいわゆる「経営技術」です。

毎月の試算表を日々の経営に活かすことによって営業活動を「黒字経営」にし、資金繰りが楽になる「強い会社」つくりが可能となります。

もちろんそのためには社長自身が創意工夫を図り、従業員を引張って行くことが必要です。

景気が悪いとか、優秀な社員がいないとかなど、ときには愚痴をこぼすことがあってもいいと思いますが、経営者自身が変わることが重要です。


掲載日:2018年1月24日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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