第1回では 未だ嘗てなかったような経営環境が近づいており、これからは企業経営も家計と同様、やりくり上手になって、会社を強くする必要があることを説明しました。そのためには、試算表を活かして経営をしていかねばならないことを申し上げました。
第2回の今回は経営に活かせる試算表にするために、月次試算表をどのように作ればよいのか、それについて説明をします。
まず大事なことは、月次試算表を早く仕上げることです。これはよくご理解いただけるかと思います。
翌月末に前月の試算表が出来上がっても当月の経営に活かすことはできません。まして、翌々月や3か月後では話になりません。
そのためにはある意味、会計事務所に頼らず、自社で会計ソフトを利用して月次試算表を作成することが大事です。
※会計事務所にはもっと違ったところを頼りましょう。
会計事務所によっては異常なほど(?)正確な月次試算表をつくることを指導してくるところもあります。しかし、どこまで注意を払っても100%正確な試算表をつくれるという保証はありません。
また試算表を経営に活かすためには100%正確でなくてもあまり支障はありませんが、それがために作ることが遅れては大きな支障が生じます。
正確な試算表が求められるのは決算のときです。そのために決算整理という作業も存在するわけです。
おおよその正確さで良いので、作成スピードを重要視した月次試算表をつくることが大事です。
※一部の会計事務所は常に決算のことだけを考えて指導しているところもあるようです。
決算書は一般的な勘定科目単位で作成しますが、しかしそれでは日々の経営には役立ちません。経営に役立つ試算表にするためには、やはりある程度細かいところまでわからないと活かせません。
たとえば、売上高を例にとれば「今月の売上高500万円」だけで何か掴めますか?
せめて、
既存の売上高はどうなのか、新規の売上高はどうなのか。
得意先別の売上高はどうなのか、商品別の売上高はどうなのか。
この程度はわからないと経営には活かせません。
そのほか、債権・債務も同じです。しっかり債権は回収できているのか、債務が思っている以上に増えている仕入先はないか。あるいは費用も、仕入や外注費や経費など、思いのほかに増えているのはないのか。
これらは会計ソフトを使っていれば簡単にでき、決算書にするときにはカンタンに明細を閉じて科目単位にできます。
経営に活かすためには、勘定科目の管理はすべて内訳管理を行った月次試算表をつくることが大前提となります。
今月はこうだった、という試算表をつくっても経営状態は掴めますか? 掴めませんね。
せめて、前月より減ったとか増えたとか、昨年同月より減ったとか増えたとかなどがわからないと経営の状態は判断できません。
さらに自社が進むべき道「予算」と比べないと、あるべき方向へ順調に進んでいるのかどうかもわかりません。
経営に活かす試算表にするためには、時系列に見られ、かつ前年同月・前年同期比較などもでき、さらに予算対比もできなければなりません。
”部門別”というと、ほとんどの経営者が「うちはここだけだけだから部門なんてないよ」とか、「うちはそんな規模じゃないよ」とか、言われる場合が多いのですが、そんなことはありません。
どんな企業でも部門別はあるのです。
例えば、担当者、商品、サービス、地域など、企業経営にはさまざまの部門が存在します。部門=課、部、営業所ではありません。もっと柔軟的に考えましょう。
どうしても、売上高ではなく利益体質を改善したいとか、採算状況を確認したいとかいう場合には”部門別”が有効です。
最後にあらためて経営に役立つ試算表をまとめてみましょう。
1.試算表の作成にはスピードが大切!→翌月の5日程度までには作成したいですね
2.正確性にこだわらない!→決算書ではないのである程度正確であればOK!
3.科目内訳の試算表をつくる!→科目単位の試算表では問題点が浮かび上がって来ません
4.時系列、前年比較、予算比較する!→現状を比較してこそ問題点が見えてくる
5.必要あれば部門別の試算表をつくる!→利益体質の改善、採算状況の確認には有効です
ここまでして月次試算表をつくるとなると「会計・経理に時間がかかるでは?」と思われるかもしれません。当然、時間はこれまでよりかかります。しかし、やることが経理事務から経営管理に進展しているのですから、従来より時間はかかって当然です。
「現代はこれまで以上に経営管理に時間をかける必要があるのではないのでしょうか?」というのが私たちからの提案です。
次回からは、試算表の読み方について解説して行きます。 おたのしみに!
掲載日:2017年11月22日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術
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