第11回 B/S総資本「固定負債」の読み方・見方
1 固定負債の概要
固定負債とは、長期にわたって返済する他人資本(借金)です。
(1)固定負債とは設備投資に適した調達資金
長期にわたって返済できる調達資金ですから、基本的に設備投資に適した調達資金です。
ですから、固定負債の読み方は、長期にわたって運用する資産である固定資産と比べて読む
ことが基本となります。
(2)固定負債の科目
固定負債の科目には、長期借入金、長期未払金、役員借入金などがありますが、
長期未払金と役員借入金は同意語と考えて良いかと思います。
この2つはいずれも、経営者が会社に提供している資金ですが、その意味では他人資本に
区別されていますが、自己資本的な存在です。
また解説書では、経営者が資金提供をしなくてはならないという見方から、会社の資金繰り
の悪さを示すものであるので、なるべく無いようにすることが望ましいと説明されています
が、そもそも借入金が存在する時点でそうだとも言えますので、それほど気にすることは
ありません。むしろ、借入金よりは役員借入の方が経営的には安全という見方もできます。
ただ、会社と個人を区別すべきという観点からは、なるべく長期未払金や役員借入金はない
方が望ましいと言えます。
2 固定負債の読み方・見方
以上のことを基本知識として、月次試算表から固定負債に関する状況を読みましょう。
(1)固定負債の使途適正度をチェックする
固定負債は、基本的に設備投資等をするために調達した資金だと言いました。
ですから、逆に言えば、設備投資は固定負債内でしていることが望ましいことになります。
固定負債の使途適正度 = 固定資産 ÷(固定負債+純資産)
※設備投資(固定資産)の財源としては、固定負債に純資産も加えます。
※固定資産には繰延資産もあるのであれば、それも加えます。
もし、この「固定負債使途適正度」が100%を超えるようであれば、明らかに問題です。
なぜなら、長期間運用する資産を、短期返済しなければならない流動負債もあてがっている
ことになるからです。
簡単に言えば、住宅を購入するのに、一部カードローンを当てがっているようなものです。
それじゃ大問題ですよね。
経営も同じです。できればこの「固定負債使途適正度」は、次の設備投資もありますから、
70%~80%程度にしたいものです。
このことを専門的には『固定長期適合率』と呼んでいます。
(2)長期借入金をチェックする
これについては前回の経営助言コラム B/S総資本「借入金」の読み方・見方 を
参照してください。
このように固定負債も月次試算表から読めるようになると、調達資金の運用が適正に
できるようになり、運用が適正になれば財務体質の改善につながり、安定した会社経営
ができるようになります。
もし、少しでもそのようなことを始められたなら、あなたはきっと会社をインプルーブ
(良く)して行けることができ、さらに堅実に会社を経営していけば、会社は発展します。
なぜなら会社の発展は堅実継続の結果だからです。
このように月次試算表を毎日の経営に活かすことで、黒字経営と強い会社つくりが
可能となることがご理解いただけるようになって来たかと思います。
掲載日:2017年10月11日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術
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