簿記の基本(13) 戦略経営経理①

第13回 簿記の基本「戦略経営的な経理とは①」

これまで12回に分けて、経営に活かすための「簿記の基本」について説明してきました。

今回はその最終稿として、これまでの12回をまとめ、『戦略的な経営に資する経理』と

題して説明します。 皆さんの事業の経理処理に参考になれば幸いです。

 

1 このことをまず覚えよう

  簿記の基本は取引を2つに分ける、仕訳するということです。

  それは「資金の運用・使途」と「資金の調達・源泉」という2つの観点から見ると

  いうことです。

(1)仕訳の左は「借方」と呼び、資金運用の増加と資金使途の増加が来る

  資金運用と資金使途の増加とは、

  現預金の増加・売上債権の増加・棚卸資産の増加・固定資産の増加などと、

  費用の増加です。

  逆に資金運用と資金使途が減った場合には、右の「貸方」に移動させます。

  具体的には現預金の減少・売上債権の回収・棚卸資産の減少・固定資産の売却などと

  仕入や材料の返品などです。

(2)仕訳の右は「貸方」と呼び、資金調達の増加と資金源泉の増加が来る

  資金調達と資金源泉の増加とは、

  買掛金の増加・未払金の増加・預り金の増加・借入金の増加などと、売上の増加です。

  逆に資金調達と資金使途が減った場合には、左の「借方」に移動させます。

  具体的には買掛金の支払・未払金の精算・預り金の支払・借入金の返済などと

  売上の返品や取り消しなどです。

(3)仕訳はこの組み合わせ

   理論的には10何通りのパターンがあるが、実務的には次の8つのパターン

 ①資産の増加 / 資産の減少  [例]銀行口座に売掛金代金が振り込まれた

                    ⇒ 預金    / 売掛金

 ②資産の増加 / 負債の増加  [例]商品を掛けで仕入れた

                    ⇒ 商品仕入  / 買掛金

                    銀行口座に借入金が振り込まれた

                    ⇒ 預金    / 借入金

 ③資産の増加 / 純資産の増加 [例]出資して資本金を増やした

                    ⇒ 預金    / 資本金

 ④資産の増加 / 収益の発生  [例]商品を掛けで売った

                    ⇒ 売掛金   / 売上高

 ⑤負債の減少 / 資産の減少  [例]買掛金を銀行振込で支払った

                    ⇒ 買掛金   / 預金

 ⑥負債の減少 / 負債の増加  [例]買掛金を手形で支払った

                    ⇒ 買掛金   / 支払手形

                    長期借入金のうち1年間返済分を

                    1年以内返済長期借入金に振り替えた

                    ⇒ 長期借入金 / 1年以内返済長期借入金

 ⑦費用の発生 / 資産の減少  [例]事務用品を現金で購入した

                    ⇒ 事務用消耗品費/現金

 ⑧費用の発生 / 負債の増加  [例]家賃を翌月払いにした

                    ⇒ 地代家賃  / 未払費用

 

2 現預金の仕訳

(1)預金は目的別の口座を開設しましょう

  納税のための「納税準備預金」を設けるという考え方があります。

  同様に、賞与引当金や退職給付引当金のための「賞与準備預金」や「退職金準備預金」

  などの口座を持つことは、資金繰りに強い経営にします。

  賞与支払のために借入するなどは、本末転倒だとは思いませんか。

  引当をし、それ相当の預金を持つようにマネジメントすれば、

  そのようなことはなくなります。

(2)現預金残高のチェック方法を知る

  仕訳ではありませんが、自社の現預金残高をチェックする方法を知ることは、

  資金繰りに強い会社にするためには大変重要なことです。

  単に「×××万円あるから安心」なんて考えていると、

  東芝やてるみくらぶじゃありませんが、足元をすくわれかねません。

  キャッシュの有り高は会社の中にあるいろいろな『指標』と比べて、

  その有り高を確認しておく必要があります。

  その指標としては、一般的には次のようなものが挙げられます。

  ぜひ、経営者として『自社の指標』を持ちましょう。

 ①平均月商     ⇒平均月商とは会社にとって「1ヶ月の給料」とも言えます。

 ②平均総費用    ⇒1ヶ月の平均総費用(原価+販管費+営業外費用)は

            会社にとって「1ヶ月の生活費」とも言えます。

 ③運転資金要調達高 ⇒要調達高(「売上債権+棚卸高ー買入債務」など)に相当する

            現預金がないと自転車操業となってしまいます。

 ④借入金残高    ⇒借入残高に対してあまりにも現預金が少ないと

            返済に支障が出る恐れがあります。

 ⑤引当金      ⇒引当金に対してあまりにも現預金が少ないと

            それらを支払う時に支障が出ます。

 ⑥消費税納付額   ⇒消費税納付額(仮受消費税-仮払消費税)よりも

            現預金が少ないと消費税の納付ができなくなります。

  

 

このようなことが理解できれば、日常の経理はほぼ出来ると同時に、月次試算表や決算書も

読めるようになります。

「戦略的な経営」に資する経理にするためにも、ぜひ理解してください。

 


掲載日:2017年4月5日 |カテゴリー:会計処理, 会計識字率, 経営技術

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