簿記の基本(12) 引当金の仕訳

第12回 簿記の基本「引当金の仕訳」を知ろう

12回のテーマは「引当金」です。

引当金という会計用語は聞いたことがある方は多いかと思いますが、

しかしその意味となるとご存知でない方も多いようです。

そこでまずは「引当金」の意味から勉強しましょう。

 

1 引当金とは

引当金とは、将来発生すると思われる損失や費用などの支出に備えて、

前もって準備する見積金額のことです。

その金額が合理的に見積もることができれば、費用もしくは損失として引当金にします。

一般的には「合理的に見積もる」ことに注意が行きがちですが、

大切なことは「将来発生すると危険性のある支出に備えた金額」ということです。

主な引当金科目として、『貸倒引当金』『賞与引当金』『退職給付引当金』などが

挙げられます。

 

2 賞与引当金の仕訳

賞与は通常、夏と冬の2回支給される場合が多いと思いますが、

その性格は、上期の業績給として夏に支給し、下期の業績給として冬に支給します。

つまり、支給は6月と12月にするとしても、費用的には毎月発生していると考えられます。

そこで正確な月次損益計算をするために『賞与引当金』を利用し、

概算の賞与額を計上していきます。

(1)月次の賞与引当金の計上

    賞与   /  賞与引当金

  [解説]例えば、夏の概算賞与総支給額が600万円を予定しているのであれば、

      100万円を賞与引当金として計上します。

      これで費用として『賞与』が100万円計上され、まだ支払っていませんから

      流動負債に『賞与引当金』として、他人資本による資金調達として計上され

      ます。

(2)賞与支給月

 ①概算計上した賞与を戻します

   賞与引当金  /  賞与

  [解説]これまで概算計上してきた、賞与と賞与引当金を一旦、ゼロクリアします。

 ②賞与支給額を再計上します

   賞与  /  預金又は現金

       /  預り金

  [解説]振込んだ賞与金額は「賞与/預金又は現金」で計上し、預り社会保険料及び

      源泉税は「賞与/預り金」で処理します。

      これで正式な賞与金額が『賞与』に計上されることになります。

 

退職給付引当金の仕訳も同じ要領となります。

ただし、退職給付引当金は退職金の積立ですから、固定負債に表示されます。

貸倒引当金については、経営助言コラム「貸倒れの仕訳を知ろう」を参照してください。

 

3 引当金に関して経営上大事なこと

(1)引当金は将来の資金支出である

最初に「引当金とは、将来発生すると思われる損失や費用などの支出に備えて、

前もって準備する見積金額」と説明しました。

そして「大切なことは将来発生すると危険性のある支出に備えた金額」と紹介しました。

つまり、経営上で大事なことは「引当金とは入ってくるおカネが減ったり、いずれ支出

したりするおカネ」ということです。

貸倒引当金であれば、それだけ売掛金入金が減る可能性を示しています。

賞与引当金や退職給付引当金は、そのときが来れば、支出しなければならない金額を

示しています。

 

(2)引当金と同額以上の預金額を確保する

ということは、引当金とはその金額だけのキャッシュを持つように経営しなければならない

ということを示しているのです

『納税準備預金』という言葉がありますが、それと同様に『引当支払準備預金』とでも

呼ぶべきキャッシュを準備しておくマネジメントが大事ということです。

「ともかく会計処理さえすれば良い」と思われ、そこまで頭が回っていない経営者を多く

見ますが、会計の目的は、会社の真の姿を現すとともに、何度も言いますが会社経営を強く

するためにあるのです。

そのことをよく理解されれば、会計処理の価値は経営にとって非常に高いものとなります。

 

 

このような会計処理をされると、毎月の試算表で資金繰り管理も行えるようになり、

経理事務は経営管理業務に発展します。

このような考え方の会計処理を『管理会計』と呼びますが、現代は会計を算盤ではなく

パソコンという情報処理機器で行っているわけですから、ぜひ、ここまで高めたいもの

です。

また、このような会計処理をされると、あなたの会社をいっそう強い会社にできるように

なります。 これは真実です。


掲載日:2017年3月29日 |カテゴリー:会計処理, 会計識字率, 経営技術

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