420万の経営者の為の会計の見方⑧

第8回 総資産の見方 -その4ー

 4 固定資産の見方

固定資産とは、会社の設備や車両、建物、土地などのことです。

固定資産は売上債権や棚卸資産のように資金化できない分、企業経営において、実に大きな

影響を与えます。

そんな固定資産をどのように見ればよいのでしょうか? 一緒に考えてみましょう。

 

(1)固定資産の目的

会社所有の車や建物・土地などを想定するとあまりピンと来ないかもわかりませんが、

固定資産購入の目的は、直接的・間接的な意味を含めて「売上を上げるための設備」と

定義できます。

また、売上債権や棚卸資産のように短期間で資金化されませんが、

減価償却という会計処理を通じて、長い年月をかけて運用されていくという特徴が

あります。

この二つが、固定資産を見る場合のポイントとなります。

 

(2)自社の固定資産生産性を確認する

一つ目の見方は、固定資産が売上を上げるために、どれだけ有効に活用されているのか、

ということです。 そのことを「固定資産の生産性」と言います。

それには売上高と固定資産を比べます。そのことを『固定資産回転率』と呼んでいます。

 固定資産回転率 = 年間売上高 - 固定資産

◆業種にもよりますが、一般的に、この数値が4回転を切るようでは設備過剰と言えます。

 自社の設備の稼働率などを確認してみる必要があります。

 場合によっては、設備の処分なども検討します。

◆年間で4回転が目標であれば、12で割ると月間では0.33回転が目標となりますので、

 月次チェックにも活用できます。

特に業歴が長い中小企業においては過剰設備の場合が多いので、思い切ってメスを入れる

必要があるかもわかりません。

 

(3)自社の固定資産設備の資金の出どころを確認する

二つ目の見方は、固定資産購入のためのお金の出どころです。

固定資産は通常、長い期間活用しますので、金利の高い『短期借入金』を資金とするのでは

なく『自己資本』で、自己資本だけで足りない場合にはプラス長期借入金など『固定負債』

を財源に購入したいところです。

そこで、固定資産の資金の出どころを見ます。そのことを『固定比率』と呼んでいます。

 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本(純資産)

◆この数値が100%以下であれば、設備投資はすべて自己資金で賄っているということに

 なります。

 極力、この数値が100%を超えない範疇で自社の設備投資を考えることが、経営管理上

 の大きなポイントです。

この補完的な見方で、自己資本に固定負債を加えて見るという見方もあります。

『固定長期適合率』と呼ばれています。

 固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本+固定負債)

◆この数値は100%以下に抑えることが経営管理上のポイントです。

 100%を超えている場合は、資金的に見て明らかに過剰設備です。

 

(4)設備投資する前に採算性を確認する

では、過剰な設備投資をしないためにはどうすればよいのでしょうか?

それは設備投資をする前に、その採算性を確認することです。

多くの中小企業では、売上を増やすために設備を増設したり、工場を建てたり、あるいは

トラックを購入したりする行動が散見されます。

また人を増やすということもよく見られますが、それも同じことです。

たとえば、1000万円の設備投資するために、全額を7年返済・金利2%で金融機関から

融資を受けたとします。

すると1年間で返済額だけで140万円余り、金利は20万円ほどになります。

◆そのためにはこの設備投資で、最低でも金利負担後で年間約200万円の利益が出せない

 と採算が合わないということです。

 内部留保のことを考えれば、それ以上の利益を出さなければなりません。

このような計画が立てられて始めて、設備投資するかどうか、検討することになります。

それ以外はほとんどの場合が、経営状況をさらに悪化させる結果となります。

◆まして人の採用の場合はさらに慎重な検討が必要です。

 人は設備と違い、最初から思い通りの成果が出ると限りません。

 さらに設備と逆で、年々その費用(人件費)は増えて行きます。

 

これらが、最初に「固定資産は企業経営において非常に大きな影響を与える」と申し上げた

理由です。

 

 

今回は自社の『固定資産』の見方を勉強しました。

その要点は

 1.固定資産の生産性を見る。『固定資産回転率』

 2.固定資産の資金の出どころを見る。『固定比率』および『固定長期適合率』

 3.設備投資の際には、採算性を確認する                     以上です。

 

次回は、損益の見方をご紹介します。 おたのしみに!

                                                   (次回へつづく)


掲載日:2016年12月7日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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