420万の経営者の為の会計の見方①

いま、上場企業・大企業を除く企業経営者は全国で約420万名おられます。

 

その多くの企業では、景気がいま一つ芳しくない中で事業を続けておられるわけですが、

前回のコラム「中小企業の経営承継」でご紹介したとおり、経営承継ができないほど厳しい

経営を続けておられます。

いま必要なことは、そのような状況において経営の操縦技術を高め、難しい飛行を続けなが

らも、何とかして安定した飛行にさせ、できるなら次世代に経営継承できるようにすること

です。

 

そこで注目されていることが、会計を経営の中に活かすことです。

しかし、書店でそのような書籍を求めても、「どれもわかったようでわからない」とか、

「いま一つピンと来ない」「理屈は何となくわかったような気がするが、実感としては理解

しにくい」などと感じられてことはないでしょうか・・。

それはそのハズなのです。なぜなら、すべての書籍がタイトルはどうであれ、上場企業や大

企業あるいは株式投資する人を前提に書かれているからです。

どれもこれも、上場企業や大企業、投資家を前提にした会計本だからです。

 

そこで今回は、日本の企業の99.7%を占める420万社の中小企業経営者や社員の方を

前提にした、実際に経営に活かせる超.実務的な会計の見方をご紹介していきます。

ぜひ、参考になれば幸いです。

 

 

第1回 BS/PLは「3つの表」から構成されている

1.試算表や決算書は3表からできている

ふつう、月次試算表や決算書は「貸借対照表」と「損益計算書」の2表から成り立っている

と説明されています。

しかし、実務的には「2表」ではなく、「3表」からできていると理解すべきなのです。

3表とは、BSの「総資本」と「総資産」、それにPLの「損益」の3表です。

2.見る順番は「総資本→総資産→損益」

ふつうは、損益を中心に見られ、総資本や総資産はあまり見られません。

ひどい場合は、会計事務所でさえ「BSはあまり見る必要はありません」と言っている場合

があると聞きます。

しかし、経営上の問題や課題の情報を多く提供してくれるのはBSです。

また経営危機の警鐘を鳴らしてくれるのもBSです。

したがって、見る順番は、総資本→総資産→損益の順です。

経営者である限りは、習慣を身につけてください。

3.総資本は何を表しているのか

総資本には『負債』と『純資産』が表示されています。

 負債とは、自社が借りている資金である「借金」のことです。

 だから『他人資本」という言い方もします。

 純資産とは、自社で用意した「自己資金」のことです。

 だから『自己資本』という言い方をします。

つまり、総資本は、自社の事業で使っている「資金の出どころ」を表示しているわけです。

したがって総資本をみれば、自社がどこから資金を捻出・調達しているのか、わかります。

もちろん、シンプルに考えれば、なるべく多く自己資金で捻出しているのが良いわけです。

4.総資産は何を表しているのか

総資産には、事業資金で購入しているモノ『資産』が表示されています。

少し難しい言い方をすれば『資金の運用』が表示されています。

その資産は『流動資産』と『固定資産』に分けて表示されています。

 流動資産とは、動く資産という意味ですから、

 原則1年以内にキャッシュ(現金・預金)にできる資産です。

 固定資産とは動かない資産という意味ですから、

 原則キャッシュ化できない資産です。

つまり、総資産は、集めた事業資金を「何に使っているのか」を表示しているわけです。

したがって総資産をみれば、自社が資金をどのように運用しているのか、わかります。

シンプルに考えれば、上場企業や大企業とは違い、中小企業の場合は極力、流動資産、

それも現預金で運用していることが一番安全で、一番良いわけです。

5.損益は何を表しているのか

損益は自己資金の源泉が表示されています。

大海へ注ぐ河川もその源を探れば、山頂の源流にたどり着きます。

同様に、自己資金(繰越利益)も源流を探れば、最初は『売上高』となります。

売上高という水が『売上原価』というものに吸収され、残った水が『売上総利益』になり、

さらに売上総利益という水は『販売費および一般管理費』というものに吸収され、残った水

が『営業利益』になります。営業利益という水は『営業外損益』というものに吸収されたり

増水されたりして、『経常利益』になります。

そして最後に『法人税等』を納付し、『当期純利益』という形で貯水されていくわけです。

損益には売上高に始まる自己資金の流れが、一部始終、表示されているわけです。

したがって、損益をみれば、当期純利益という貯水が残っていく過程がわかります。

シンプルに考えれば、同じ源流量(売上)であっても、売上原価や販売費及び一般管理費など

という吸収するものが少ないほど、当期純利益という貯水量は増えることがわかります。

あるいは源流量(売上)が増えて、吸収するものがそれ以上に増えない場合も、当期純利益と

いう貯水量は増えることがわかります。

 

次回からは少しずつ詳しく説明して行きます。 おたのしみに・・

(次回へつづく)


掲載日:2016年10月19日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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