黒字企業と赤字企業 どこが違う⑦

第7回 黒字企業と赤字企業の「経営分析結果の違い」(4)

今回は損益・収益性の違いを見てみましょう。

経営分析結果については、No.271のコラムを参照ください。

 

4.損益・収益性の違い

 優良企業と赤字企業の損益で気が付くことは、売上高営業利益率や売上高経常利益率が
大きく違うことは当たり前のことですが、その源泉はまず、『No.38 売上総利益率』にあります。 優良は34%、赤字は28%と6%の違いがあります。
赤字企業の平均年商が1億2千万円余りですので、6%というと720万円の差があることになります。
これだけ粗利益に差があると、営業利益に対する影響が大きいことが理解できます。
 では、その原因はどこにあるのでしょうか。
売上総利益率の裏返し、売上原価率にあるというのは、当たり前過ぎて、原因としての掘り下げが浅すぎます。
No.270のコラムをよく見てください。
赤字企業と優良企業の平均P/Lが出ていますが、よく見ると、商品仕入原価の構成比は
さほど違いがありません。 実は製造原価に売上総利益6%の差の秘密があるのです
製造原価は、材料費・労務費・外注加工費・その他製造経費に大別されますが、
ここが優良企業と赤字企業では大きく違うということになります。

 次に販管費を見ます。『No.42 売上販管費率』は5%ほど優良企業が少なくなっています。
金額では、優良企業の販管費は1億1千万円と赤字企業の4千万円の約3倍ですが、売上高比率では少ないということです。
つまり優良企業は売上高が大きいので比率は低いですが、販売費・一般管理費にはしっかりお金はかけているということです。

 そこで売上高を見ましょう。しかも一人当たりの売上高を。
No.43 売上高(月)/人』を見ますと180万円対100万円、ほぼダブルスコアです。
これだけ違いますと、一人当たりの人件費(優良は43万円、赤字は28万円)も含めて、しっかり販管費をかけられます。
しかし、この一人当たりの売上高の違いは、優良企業の社員は月間180個売っているのに赤字企業の社員は月間100個しか売っていないと、単純生産性の違いだけと捉えるのではなく、付加価値が大きく違うと捉えるべきかと思います。
付加価値とは、必ずしも製品性能・機能・デザインだけでなく、おもてなし度(応対・整理整頓・ディスプレイなど)も含めたものであることを理解すべきかと思います

 最後に収益構造を表す『No.48 損益分岐点』を見ましょう。
優良企業は83%、収支トントンまで17%売上が落ちても、持ち堪えられます。
一方、赤字企業は、赤字ですから109%です。あと10%程度、売上を伸ばさないと収支トントンにはなりません。
 その理由は、限界利益が売上100円に対して43円しかないのに、固定費が47円も
かかっていることにあります。
 さて、どうしますか?
具体策はそれぞれ企業で実状が違いますので、個々に考えるしかありません。
そして考えるだけではなく、実行に移すということです。
この流れをマネジメントと呼びます。
いま、マネジメントが必要でない企業はありません。 お分かりいただけました?

 

最後に『No.2 企業件数構成比』と『No.37 雇用人数シェア』を見てください。
優良企業はこの統計資料上は9千社・4%しかなく、赤字企業は13万4千社・60%も
あります。
さらにそこで働いている人は、優良企業では17万人・6%ですが、赤字企業では134万人・47%もおられます。
赤字企業は多くの人を雇用し、雇用上の社会貢献は大きいものがあります。
その経営者である社長さんは、他人を雇用した以上、大きな責任・使命があります。
ぜひ、会計をもとに、自社の姿を客観的に捉えていただき、必ず改善すべきところがある
筈ですので、改善されて永続企業として
成長されていくことを願います
 意外とこのようにマネジメントされれば、経営は簡単なものかも? とも思います。

 

 

<損益・収益性のまとめ>
(1)赤字企業は売上原価(特に製造原価)が多い。
(2)赤字企業は価格競争に挑んでいる場合が多い。(?)
(3)赤字企業は限界利益以上の固定費がかかっている。
(4)赤字企業の経営改善の社会的意義と社会的貢献度は非常に大きい


掲載日:2016年8月31日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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