黒字企業と赤字企業 どこが違う③

■黒字経営と赤字経営、どこが違うのか

 

第3回 黒字企業と赤字企業の「損益状況の違い」 -もう一つの見方-

前回と同様TKC経営指標の平成22年度版を参考に、収録されている224,595社の赤字企業133,865社、黒字企業81,660社及び優良企業9,070社の平均損益計算書は下図のようになっています。

H22(2010)欠損黒字優良企業PL

*赤字企業の平均損益計算書とは、平成22年度決算を赤字で終えた企業のP/Lを平均した
 ものです。

*黒字企業の平均損益計算書とは、平成22年度決算を黒字で終えた企業から優良企業を
 除いたP/Lを平均したものです。

*優良企業の平均損益計算書とは、平成22年度決算を黒字で終えた企業の上位10%の
 P/Lを平均したものです。

 

1 収益体質(売上規模)の違い

赤字企業と比べると、黒字企業は約2.4倍、優良企業は約3.3倍の売上規模となっています。
これを一人当たり売上高(年額)で見てみると、次のようになります。

  赤字企業12,531千円    黒字企業18,208千円    優良企業21,665千円

赤字企業と比べると黒字企業は約1.5倍、優良企業は約1.7倍の生産性となり、頭数だけではなく生産性も高いと云えます。
このことは赤字企業と黒字・優良企業との違いは、単に規模だけの問題ではなく、業務の進め方や組織風土・士気、さらには待遇も含めた違いであると理解すべきことを示してます。

たとえば、上記の損益計算書では示されていませんが、一人当たり人件費を調べてみると、赤字企業は月額283千円、一般黒字企業は月額320千円、優良企業は月額431千円と大きな違いがあります。
それであって労働分配率は62.4%、53.1%、51.2%と優良企業ほど低くなっています。

儲かる企業は規模が大きな企業というより、体質が違うということを謙虚に学ぶべきかと思います。

 

2 利益体質の違い

(1)売上総利益
売上総利益とは、売上高から原価を差し引きしたものです。
単純に原材料が同じ商売であれば同じだけ原価はかかりますので、売上総利益の違いは「魅力度」の違いと云えます。
同じものを使って同じものを作っても、お店によって購入する魅力が違うから売価も違うということです。

そのように理解しながら赤字企業の売上総利益額と比べると、黒字企業は約2.4倍、優良企業は約4.0倍の売上総利益があります。
これを一人当たり売上総利益(年額)で見てみると、次のようになります。

  赤字企業3,499千円    黒字企業4,955千円    優良企業7,364千円

同じように赤字企業と比べると、黒字企業は約1.4倍、優良企業は約2.1倍となります。

各企業ともこの売上総利益から販管費の人件費やその他経費を支払うことになりますので、赤字企業はもちろんのこと、黒字企業でさえ、満足な最終利益が残せなくなることが容易に想像できます。

(2)営業利益
営業利益とは、本業ベースでの最終利益とも云えます。
多くの企業の場合はここから、借入金の利息や税金、借入返済額を払うことになります。
そのように理解しながら営業利益を見比べてみると、赤字企業はこの時点で欠損、黒字企業は約650万円、優良企業は約3,000万円となります。

ただ問題はここから法人税や消費税を支払い、そして借入金の返済をし、さらに内部利益も残さなくてはならないということです。そう考えると黒字企業でさえ、最終的に事業として成り立っているのかと、大きな疑問符がつきます。

企業としては、ここに示されている『優良企業』程度の営業利益は目指さなくてはならないと思います。

 

3 費用体質の違い

ここまで収益と利益という表側から赤字企業や優良企業の損益状況を見てきましたが、最後のその裏側である費用体質の違いも
見てみましょう。

(1)原価体質
赤字企業と黒字企業ではそれほど違いはありませんが(むしろ黒字企業の売上志向主義が見えます)、さすがに優良企業となると、原価体質の違いが見えてきます。何しろ、売上原価率が6ポイントも違っています。

これは在庫管理の違い、販売状況の管理に伴う仕入管理や生産管理の違いによるものだと思われます。

やはり、管理すべきことは企業である以上、しっかり管理しなければならないということです。

(2)経費管理
こちらは赤字企業と黒字・優良企業で大きな差となっています。
赤字企業は売上100円当たり32円の経費を使い、黒字・優良企業は約25円と、100円当たりで7円も経費が違います。

また黒字と優良で比べてみると、経費は黒字企業のほうがよく抑えていることがわかります。
さきほどの原価体質も併せて見てみると、黒字企業は売ることには発破をかけて尻をたたき、使うことにはケチケチしているトップダウン経営が思い描けます。そこに優良企業との一線があるように思われます。

トップダウン経営からボトムアップ経営に切り換えていくことに、優良企業への道が開いているように思われます。

 

さて、あなたはどのような道を進まれて経営をされて行きますか?


掲載日:2016年8月3日 |カテゴリー:会計識字率, 組織風土, 経営技術

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