経営に役立つ会計 四半期の評価

今回の経営に役立つ会計は『四半期の評価』です。

四半期とは3カ月ごとという意味ですが、事業経営にとっては節目の月と云えます。
毎月毎月業績検討の対策を講じ、四半期ごとには目標をクリアして行くという考え方は、
健全な経営を継続していくうえで重要な考え方です。

したがって、その評価の仕方も月次評価の短期的な見方と決算評価の中期的な見方とは違う視点も必要となります。

今回はそんな四半期の評価の仕方について説明しましょう。

 

四半期の評価とは

決算書は、終えた事業年度の成績表であり、その位置づけは直近の一年間を振り返り、中期的な課題を見出すための資料でした。
また月次試算表は毎月の成績を計画書(予算書)を比べ、基本的にその計画値へ持っていこうとコントロールするための資料です。

それに比べ、四半期の評価・検討は、毎月の視点に短期的視点と中期的視点をつなげていく視点を加えます。

 

四半期の視点① 投資資本に対する利益率を確認する

事業の目的は「利潤」です。事業に資金を投資して儲けることになります。
四半期または半期に一度ぐらいはその点を振り返ることも必要です。

では、それをどのように見ればよいのでしょうか?
それは営業利益と事業に投資している資金とを比べることで確認できます。
但し、営業利益は年換算する必要があります。事業に投下している資金とは負債(他人資本)と純資産(自己資本)の合計です。

  総資本営業利益率(%)= 年換算した営業利益 ÷ (負債+純資産) ×100

事業としては、総資本営業利益率20%程度を目指して経営したいものです。
大変高い目標かもわかりませんが、この程度の目標を持って経営をしないと、営業利益で
借入金の返済をしながらかつ内部利益も溜めるということができません。

 

四半期の視点② 借入金の状況を確認する

次に見たいことは「借入金」です。
借入金は毎月返済していますが、運転資金として増えている場合もあります。
また返済のおおもとである売上高も増減しますので、四半期に一度ぐらいは客観的に借入金を確認したいものです。

それには、借入金(短期+長期)と平均月商とを比べることで確認することができます。

  借入金月商倍率(ヶ月分)= (短期借入金+長期借入金) ÷ 平均月商

一般的には借入金月商倍率は3ヶ月分程度に抑えたいものです。
根拠は単純です。それは企業の営業利益率にあります。
中小企業の平均営業利益率は0.3%です。優良企業でさえ7%と云われています。
仮に営業利益率5%として、その半分を借入金返済に充てるとして、その返済可能額は年間で売上高の30%(=2.5%×12ヶ月)となります。
月商3ケ月分の借入金とは300%ですから、年間返済可能額30%で割ると、返済期間は10年もかかるということになります。
つまり、もっと営業利益率が高ければ別ですが、通常企業の場合、返済から考えればの月商3ケ月分でも厳しいということがよく理解できます。

 

四半期の視点③ 月次採算点を確認する

月次採算点とは「損益分岐点」のことです。
損益分岐点とは、売上がそれ以下であれば赤字、それ以上であれば黒字になる実際の売上高に対するパーセントです。
それを知って当社の状況を把握するということです。その損益分岐点を正確に計算するためには、面倒臭い費用の分類と難しい計算が必要となります。
しかし、そもそも会計自体が100%正確であるわけでもないのですから、そこにそんなに神経を使っても無意味とも云えます。
ここでは、実務的にざっくりと参考になる計算をしましょう。

それは販管費を売上総利益率で割ることで求めることができます。

  概算損益分岐点売上高(円)= 販売費及び一般管理費 ÷ 売上総利益率

  概算損益分岐点比率(%)= 概算損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 ×100   

この概算損益分岐点比率が100%を超えているようであれば赤字です。超えていなければ黒字です。
いま中小企業の7割は100%を超えている状況で、その平均値は98.7%程度と云われています。つまり、たった1.4%売上が減れば、赤字転落になるということです。
出来れば、まずは90%前後、次の目標として80%前後をクリアさせたいものです。

 なお製造要素のある企業の場合は、概算損益分岐点売上高を次のような式で計算すれば、より真の損益分岐点比率が計算できます。

  概算損益分岐点売上高(円)=(販管費+労務費+外注費+製造経費)÷
                                粗利益率 ×100

      粗利益率=(売上高ー商品仕入高ー材料費)÷売上高 ×100

 

 

徐々に気づかれているとは思いますが、「月次試算表や決算書を読む」ということは、
結局、財務分析や経営分析をするということになります。
だから「財務分析や経営分析の計算式を覚えましょう」と申し上げるつもりはなく、
実務で大事なことはやたら計算式を覚えることではなく、何らかの科目の状況を知るために何と比べると意味があるかという考える力が大切だということです。
そのことを結果として、財務分析とか経営分析と云われているだけのことです。
現預金残高をじっと見つめていても何もわかりません。前月と比べて増えた・減ったとか、
株価じゃありませんし、またそんなことに一喜一憂しても仕方がありません。
過去からの推移を見て、また計画と比べて、さらに他の科目と比べて、いまの経営上の
課題・問題が掴め、だからこそ目標設定ができるわけです。

このコラムがそのような技術を身につけていただくことに少しでもお役に立てば、望外の喜びです。貴社は必ず強い会社に成れます。


掲載日:2016年7月13日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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