経営に役立つ会計 月次試算表評価

今回の経営に役立つ会計は『月次試算表の評価』です。

前回の決算書は1年間の成績表であり、中期的、中期的とは3年から5年間ぐらいの課題を見出すものです。したがって当期決算と3年前あるいは5年前の決算などと見比べて課題を見つけることが大切でした。

ところが月次試算表は現在進行中の成績表ですから、短期的な課題とその解決策を考えるための経営資料といえます。
したがって前年実績および計画値(予算)と見比べて、いまの課題を知ることが大切です。

今回はそんな月次試算表の評価の仕方『月次試算表の評価』について説明しましょう。

 

月次試算表の評価とは

決算書は終えた事業年度の成績表であり、位置づけはこの一年間を振り返り中期的な課題を見出すための資料でした。
従って、必然的に決算書と月次試算表の見方は違ってきます。

 

いまの課題を知る① 自社の利益の状況を評価する

まず、月次試算表で見るべきところは「きちんと儲かっているか?」ということです。
企業の儲けとは、売上総利益・営業利益・経常利益・税引き前当期純利益・当期純利益の
5段階があり、それに加えてその前提として売上高があります。
それらの中でより重要なのは、売上総利益と営業利益そして売上高です。

では、それらをどう見ればよいのでしょうか?
一番良いのは「予算」と比べることです。しかし予算がなければ「前年実績」ということになりますが、ここでは「予算」にこだわりたいと思います。もし、予算を策定されてないのなら、今すぐ作りましょう。
予算の作り方はいろいろあります。「とてもうちの規模じゃ予算どころではないよ!」と思われているかもわかりませんが、もし「うちの規模じゃ・・」と思われているなら、逆に必ず作りましょう! そんな状況の企業ほど「予算」は必要なのですから。

初歩的な予算作成方法であれば、簡単です。たった3つのことを考えるだけです。
1 まず来年の希望売上高を考えてください。いくら位、必要ですか?
  直感や経験則で8000万円と思われるなら、それで結構です。
2 次に粗利を考えてます。パーセントで考えたなら、それで構いません。
  40%なら、3200万円ですね。
3 最後に営業利益を考えてます。売上の3%なら、240万円です。

これで出来上がりです。

 売上高   8000万円  平均月商666万円
 売上総利益 3200万円  月平均 266万円
 売上原価  4800万円  月平均 400万円 ←売上から総利を引くだけです。
 営業利益   240万円  月平均  20万円
 販管費   4560万円  月平均 380万円 ←総利から営利を引くだけです。

 これで原価は大丈夫か? これで人件費は大丈夫か? これで支払利息は払えるか?
 これで借入金は返済できるか?

これらを自問自答してOKならそのままで、無理があるならば調整すれば、最も簡単な予算は出来上がりです。もし、もう少し詳しく作成したいと考えるなら、必要な内訳項目の予算を考えてください。

しかしこれだけでも経営者としての立派な意思決定ですから、それらと月次試算表の売上、総利益、営業利益などと比べることで、現状の評価ができますので、具体的に目標を持った対策を練ることができます。

 

いまの課題を見出す② 手元資金を評価する

次に見るべきは、「現預金残高」です。
むずかしい見方は必要ありません。基本は前月より増えているか、期首より増えているか、ということです。増えていれば、ひとまず、安心です。
減ってれば、今後の動向を確認する必要があります。
また一つのインジケータ(指標)として「手元流動性比率」があります。

  手元流動性比率(ヶ月)= 現預金 ÷ 平均月商

最低目標として「まずは月商1ヶ月分の現預金を持つ」ということから始めましょう。
それが達成できれば、2カ月分、3カ月分・・と増やしましょう。
中小企業は上場企業ではありませんので、現預金を多く持つ経営が経営の強さであります。

 

いまの課題を見出す③ 売上債権は回収できているか

事業資金の源流は「売上高」です。
売上高は流れていくうちに売上債権(売掛金・受取手形)に変わり、やがて現預金になって運転資金となり、仕入代金の支払いや給与の支給、その他経費の支払、社会保険料や源泉税の納付、そして法人税等の納付と借入金の返済などに回り、残りが内部留保として、現預金として溜まります。

この順序でいえば、まず営業ベースで利益を出すことが大事です。ですから最初にチェックしました。
それとその利益を絵に描いた餅にならないように、現預金化しなくてはなりません。

それを「売上債権回転期間」というインジケータ(指標)で見ます。

  売上債権回転期間(日)= 売上債権 ÷ 平均日商   

業種によってこの回転期間は違いますが、一般的なメーターは「30日」です。
つまり、1か月後に売上代金をお支払いいただくということです。健全な経営をされている企業で、この売上債権回転期間が長いとか、放置されている企業は1社もありません。
つまり、工夫次第でそうできるということを現実は示しています
「取引先の関係でそうもできない」というお声はよく聞きますが、それは工夫・交渉が足りないのではないのでしょうか?

 

いまの課題を見出す④ 棚卸資産を評価する

最後のチェック事項は在庫、棚卸資産です。
棚卸資産は「決算」をよく見せるためのお化粧品であったり、また不良在庫の温床でもあっり、資金を食い潰す資産でもあります。
従って、毎月の在庫状況を目で確認するとともに、数値的にも確認することが大事です。

それを「棚卸資産回転期間」というインジケータ(指標)で見ます。

  棚卸資産回転期間(日)= 売上債権 ÷ 平均日商

これも業種によって違いますが、生鮮を除く一般的な基準値は「14日」程度でしょうか。
昔とは違い、現在は流通も発達しましたのでそれほど企業で在庫は持つ必要はありません。在庫を必要最小限に減らすと、仕入も不良在庫も減ります。つまり、会社のぜい肉が減る
ことになります。
健全な経営をしている企業の多くは、実地棚卸を実行し、在庫の圧縮に力を入れています。

 

 

この4点はどの企業にとっても欠くことができない、月次試算表のチェックポイントです。その他にも自社にとって重要な紅毛はあると思いますが、それらを加えて、月次検討会を
すれば、会社は必ず、見違えるほど良くなります。
毎月月初は月次試算表から現状の問題点を探り、短期の課題を見つけるようにしょう。
そのためには月次試算表は毎月5日までに作成する必要があります。そのためには自計化が必要で、当社では自計化を強くお勧めしています。


掲載日:2016年7月6日 |カテゴリー:会計処理, 会計識字率, 経営技術

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