経営に役立つ会計 内訳明細会計

経営に役立つ会計のことを「管理会計」といいますが、一般的には予算管理会計や部門別損益管理会計などのことを指します。
しかし、一番基本的な管理会計とは『内訳明細管理会計』と『資金繰り予測会計』です。

そこで今回は『内訳明細管理会計』について説明しましょう。

 

内訳明細管理会計とは

 通常、会計と言えば、勘定科目別に集計し、それらを貸借対照表と損益計算書に組み替えます。つまり、決算書と同じ形式で月次試算表も作成しています。
税務申告用に提出する決算書はそれで構わないわけですが、社内的に活用しようとする会計資料としてはそれでは情報がまとめられ過ぎていますので、経営資料としてはあまり役に立ちません。

 そこでこの『内訳明細管理会計』の登場です。
一般的に会計事務所に依頼されていても、このような試算表は提供してもらえません。なぜなら一般的な会計事務所の指導目的はいくら経営を支援しますと謳っていても、常に決算・申告にあるからです。
また会計ソフトを購入し自社会計をされている場合でも、会計ソフトの基本設計はやはり決算・申告なので同じです。機能としては内訳明細管理ができるとしても、あまりそのように誘導をしていません。
したがってほとんどの会社は、決算書に準じた科目体系で毎月の試算表も作成されているのが実情です。

 しかしそれでは先ほども申し上げましたように、あまりにも情報がまとめられ過ぎているので、日々の経営の参考になりません。
したがって、会計はあと回しにされ、ほとんどの会社が日常は「勘と経験」で経営されていることになってしまっています。

 たとえば、売上高を例に考えてみましょう。
試算表が早く作成されていても先月末の売上高がわかり、せいぜい前月より増えた減ったとか、昨年同月と比べて増えた減ったのか、わかる程度です。しかしそれも作成が遅れていれば、3・4カ月前の売上高しかわかりませんので、いまさらわかっても何の役にも立ちません。さらにひどければ、月次試算表を作成すらしなくなります。

 これが『内訳明細管理会計』であれば、商品明細別の売上高がわかったり、得意先明細別の売上高がわかるようになります。そうすると、今年の商品ごとの売れ具合がハッキリわかりますので、商品別の戦略に活かせることができます。また得意先別であれば、得意先ごとの取引状況がわかりますので、営業戦略も立てやすくなります。
そのほか、売掛金も得意先別に残高がわかるようになりますので、売掛金の回収状況も個別にわかります。在庫なども同様です。
また費用も明細別にわかりますので、何が節減できるのかハッキリわかります。

 このように『内訳明細管理会計』であれば経営状況を統制(コントロール)できますので、より黒字経営を達成できるようになります。

 

 但し、そのような会計をするためには条件があります。

 一つは、会計データの入力をタイムリーにすることです。
毎日でなくてもよいかと思いますが、しかし最低でも毎週末には会計データの入力を終えたいところです。そうすると週初めには、いま紹介したような情報が入手できるようになります。

 もう一つは、会計データの入力数が増えることに対応するということです。
必要な情報を得るには、それに応じたデータを入力しなければなりません。例えば、得意先別の売上高を得るのであれば、売上データは得意先ごとに入力する必要があります。費用を明細で知りたければ、費用関係の入力はその明細で入力しなければなりません。
したがってこれまでの入力数と比べますと、2倍から3倍程度にはなります。しかし入力数が増えるということは、それだけ自社の経営管理力が向上していることを表していますのでそれを励みに頑張ってみてください。

 最後の条件は普段着の会計を月次においては行うということです。
会計は最終的には税務署や金融機関に提出することになりますから、私たちも出かけるときにそれなりに身なりを整えるとの同様に、決算・申告の際には多少見栄えを良くして提出します。ある意味、これはもっともなことです。
しかし、日常に戻った場合は素に戻さなくてはなりません。そうでないと読み替えて理解しなくてはならなくなります。
会計では決算・申告において整えることを「期末整理」とか「決算整理」と呼んでいます。それを決算月でしたなら、翌期首月に入ったなら「期首戻し処理」(言ってみれば、普段着への着替えです)をしなくてはなりません。ところが会計事務所に依頼していても、一般的な会計事務所では全くそのような指導をしてくれません。自社でパソコン会計をしていてもそのような必要性は書かれていませんので同じです。

 

 このような会計処理をするようになれば、本コラムで度々申し上げている、「会計業務は事務業務ではなく『経営管理業務』である」ということが、おわかりいただけるかと思います。

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掲載日:2016年6月15日 |カテゴリー:会計処理, 経営技術

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