負債のチェック 借入金(2)

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今回は前回に引き続き、「借入金の判断」です。

自社の「借入金」状況を判断するモノサシについて解説します。

 

2 自社の「借入金」状況を判断するモノサシ① 『売上高』

毎月の「売上高」は、会社にとって家計でいえば「毎月の収入」にあたります
したがって「借入金」と毎月の収入である「平均売上高」を比べることは意味があります。
それによって、自社が借入金依存体質なのか、そうではないのか、おおよその判断ができるからです。

借入金の総額がだいたい売上高3カ月分以内であれば『問題ない』と判断できます。
これが3カ月分を超え6カ月分程度になると『要注意』です。
さらに1年程度分になると『完全な借入金依存症』です。
1年を大きく超えていると『重症』で、早急な治療が必要となります。

このような考え方を専門的には「借入金対月商倍率」と呼んでいますが、
これには次のような根拠があります。

だいたい、商売をする以上は本来どの程度の利益を出すべきなのでしょうか?

欲をいえば切りがありませんし、現実を振り返れば難しいかもわかりません。
しかし、本来的にはどのような商売をされていようとも、売上の「10%程度」の利益は
残さないと、万が一の場合の対応や新たに必要となる設備投資も利益の中で行えません。
したがって標準的には利益率は「売上高の10%」と言われるわけです。

この10%が借入金返済の原資となります。
この10%は納税資金にもなるわけですが、そのようなことも踏まえれば、返済原資として考えられるのは、最大でもその半分の5%です。
仮に、毎月売上の5%を借入金返済に充てたと考えると、年間では月次売上の60%となります。
一方、平均の借入返済期間は5年程度なので60%に5年を掛けると300%となります。つまり、元の借入金は売上高の3カ月分となります。
もし7年間にわたる返済期間であれば、420%となり、売上高4カ月分余りとなります。

したがって「適正な借入金額は売上高3ヵ月分程度」と言われる所以です。

 

3 自社の「借入金」状況を判断するモノサシ② 『営業利益』

二つ目のモノサシは「年間営業利益」が借入金の返済原資の最大額と捉えて、
次のように考える方法です。

  「借入金残高」÷「年間営業利益」=返済期間××年

別に営業利益が「経常利益」であっても構いませんし、
よく書籍に書かれている営業利益に減価償却を加えた「償却前営業利益」であっても、
考え方は同じです。

また借入金返済は損益ではなく、損益の外、つまり、B/Sの中で返済していることを
よく理解してください。

では「営業利益」に対して、どのぐらいの「借入金」であれば、
経営上問題がないのでしょうか?

金融機関の融資審査基準でいえば「借入金の額は10年分の利益以内」です(但し、大甘の判断基準です)。

ではなぜ、10年分なのでしょうか?

それはなんと10年以上先のことは、企業自体が存在しているかどうか自体がわからないということらしいですが、その意味からいえば、「求められた返済期間が10年以内であれば良い」と理解するのではなく「10年以内が最長の許容限界」と理解されるべきです。

通常は最長の融資返済期間である「利益7年分以上の借入金」があれば、直ちに改善すると考えられたほうが良いと思います。

このような考え方を専門的には「債務償還年数」と大変難しそうな名称で呼んでいます。

 

 自社の「借入金」状況を判断するモノサシ③ 『預金残高』 

三つ目のこモノサシは「預金残高」です。
多額の借入金があるのに「預金はゼロ」では困りますよね。ごく日常的な判断基準です。

問題は「どの程度あれば適切で、どの程度」以下であれば問題なのか」ということです。

これも通常の生活感覚で考えれば判断できますが、その感覚には人それぞれによって違いがあるように、非常に慎重な経営者とあまりそうではない経営者では、若干の幅があるようです。

また、適正な預金残高は借入金の使用目的で使い方にもよります。
例えば、設備投資目的であれば購入する時に一度に減ります。賞与資金なども賞与支給時に一度に減ります。
しかし、それが日常の運転資金目的であれば、それほど一度には減らない筈です。

いずれの場合にせよ、最低でも借入額の1割程度の預金は持っておきたいものです。

1000万円借りたなら、最低100万円程度ということです。
これは実は3回分程度の返済額となります。
借入時から月日が経つに連れ、それが3割程度、5割程度と増えて行きます。

このことを知っておけば、経営上、大切なことを学ぶことができます。
それは「借入額は必要最小限度額ではなく、それよりも1割から2割程度をプラスして融資申し込みをする」ということです。
そうすれば投資効果が思い通りに運ばなくても、猶予を持てることとなります。

このような考え方を専門的には「預金対借入金比率」と呼んでいます。 

 

このように、財務諸表から「借入金」を読みこなすと、自社の借入金額の適正度や問題点、
あるいは融資申し込み金額算定などに役立ちます。

 

 

会計をしっかりすることは大切なことですが、さらに大切なことは経営に活かすことです。

そうすれば、経理事務を経営管理業務にまで昇華させることができます。

この先行き不透明で、変化が早い現在の時代はそのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代であることを、経営者の皆さんが認識されることです。

現在は事業にしっかりマネジメントすることが求められている時代です。
財務諸表で自社の経営状況を管理されると、驚くほどしっかりした経営ができます。
ぜひ一度トライしてみてください。

 
 


掲載日:2016年5月11日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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