負債のチェック 買入債務

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前回までは『資産のチェック』をテーマに経営管理のポイントを説明して来ましたが、
今回からは『負債のチェック』です。

『負債』というと、どうしても「借金」というイメージがありますのでイメージが悪い
ですが、しかし企業経営には欠かせない重要な調達資金です。

したがって、負債を上手に使いこなすことによって、安定した企業経営が実現できます。

 

1 買入債務とは

「買入債務」とは仕入に付随して発生する債務、つまり支払手形と買掛金の総称です。
そのほかに「仕入債務」とか「支払債務」と呼ぶ場合もありますが、同じ意味です。
この買入債務でまず認識したいことは「支払手形は使わない」ということです。
一見、手形を使用するとさらに支払期日が延ばせるので、有利なように考える方も多い
ようですが、支払手形は支払期限待ったナシの債務です。
期日に支払いができなければ、即、銀行取引停止です。
まあそんなギリギリの支払はされていないのでしょうが、油断は禁物です。
逆に言えば「手形が落ちない心配をすることがない」というのであれば、手形を使う
必要はないのではないのでしょうか。
そう考えると、支払が苦しく、支払期日を延ばすために支払手形を利用されている
企業が意外と多いという言い方もできます
であればなおさら、支払手形の利用はNGです。

「買入債務」は無利子で仕入先から資金調達をしているとも理解できますから、
支払期限は長ければ長いほど良いという考え方もあるようです。
長いということは「買入債務」の額が多いということです。
しかしそんな経営をしていれば、いずれ仕入先より「この会社は支払が悪い」という
風評が立って、回り回って得意先などの顧客市場からも『信用』を無くします。
したがって、物事には限度というものがあります。

では、これら自社の「買入債務」の状況をどう判断すれば良いのでしょうか?

 

2 買入債務の状況を判断するモノサシ 『売上高』

自社の買入債務の額を判断するモノサシは、やはり「売上高」です。
正確に見たいのであれば、「商品仕入+材料費」となります。

前者は売上高の何カ月分あるいは何日分に相当する仕入債務があるかということです。
売上高には原価に粗利益が乗っているわけですから、通常はだいたい0.5ヵ月分または
15日分程度が妥当ということになります。
それ以上あれば仕入れのし過ぎか、あるいは支払状況に問題があるのかもわかりません。

後者は仕入代金の何カ月分あるいは何日分に相当する仕入債務があるのか、ということに
なります。
「商品仕入+材料費」は売上高とは違い、正味の仕入代金ですから、通常はだいたい
1ヵ月分あるいは30日分程度が妥当ということになります。
それ以上あれば、明らかに仕入れのし過ぎか、あるいは支払状況に問題があります。

具体的には『買入債務÷平均月商』又は『買入債務÷平均月次(商品仕入+材料費)』
計算することができます。
*日数で計算したい場合は、分母を1日当たりの額にすれば計算できます。

このような考え方を専門的には「買入債務回転率」、日数の場合は『買入債務回転期間』
と呼んでいます。
さらに後者の「商品仕入+材料費」で計算する場合は、
前者と区別して『支払基準買入債務回転率・支払基準買入債務回転期間』あるいは
『正味買入債務回転率・正味買入債務回転期間』などといいます。

もしこれが悪ければ、その処方箋として、根本的に仕入を見直す必要があります

 

3 買入債務を判断するモノサシ2 『営業債権』

二つ目のモノサシは運転資金的な視点から見るモノサシです。
買入債務とは運転資金的にみると販売活動で『調達している資金』といえます。
その逆の資金、販売活動で『運用している資金』が、売上債権と棚卸資産です。
そこでこの2つを比べるという発想が生まれます。

 

販売活動で運用している資金  販売活動で調達している資金
 「売上債権+棚卸資産」 -     『買入債務』   = 過不足『運転資金』

 この計算結果がプラスであると、運用している資金のほうが多いので、運転資金は不足
ということになります。その不足分は手元の現金・預金で補わなければなりません。
もし、手元現預金がないのであれば、運転資金を金融機関から借り入れるということに
なります。

逆にこの計算結果がマイナスであれば、調達している資金のほうが多いので運転資金と
して余っているということになります。

「あれ?ちょっとややこしい・・」と思われるかもしれません。
確か、買入債務は多すぎてはいけないようなことでは・・ということですね。
無用な買入債務はいけません。なぜならそれは過大仕入だからです。
しかしそうではなく、もし仕入先が「支払は半年先でいいよ」なんて言ってくれた場合は、無利息の資金を物という形で調達しているのと同じことになりますから、大変運転資金が
ラクになります。
ただし、そんな夢話はありませんので、この問題は『売上債権』の早期回収という点です
売上債権が早期回収、たとえば数日後の回収であれば運用している資金は少なくなるので、
『運転資金』は少なくて済みます。

この不足している運転資金のことを『要調達運転資金』と呼んでいます。
これを年商で割り算すると、売上高に対する運転資金調達割合が計算でき、
自社の売上100に対する要調達運転資金が掴めます。
このことを『運転資金要調達率』といいます。

もちろん、この運転資金要調達率が低ければ低いほど、企業経営としてしてはラクに
なります。

 

このように、財務諸表から「買入債務」を読みこなすと、自社の仕入活動の適正度や
問題点、あるいは販売活動の問題点・課題などがわかります。 

 

 

重要なことはモノサシはどれであってもよいわけですが、この先行き不透明で変化が早い
いまの時代は「そのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代」ということ
を経営者の皆さんが認識されることです。
現在は事業にしっかりマネジメントすることが求められている時代です。
財務諸表で自社の経営状況を管理されると、驚くほどしっかりした事業となります。
ぜひ一度トライしてみてください。


掲載日:2016年4月27日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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