資産のチェック 営業資産

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1 営業資産とは

「営業資産」という言葉はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、営業活動を継続するうえで発生する資産をそう表現しています。具体的には「売上債権」と「棚卸資産」です。
営業資産は売上高が増加するに連れて増える傾向にあり、放置しておくと会社の資金繰りを圧迫しますので、適切な管理が必要です。

 

2 売上債権とは

営業資産の売上債権とは販売活動で得た債権であり、「受取手形」と「売掛金」のことをいいます。債権ですから、通常であればいずれ資金化できるので、多くあればあるほど安心と思われている経営者も多いようですが、必ずしもそうではありません。
物事には何事にも適度がありますので、チェックする必要があります。
売上債権のことを、一部「営業債権」といっている場合もあるりますが、意味は同じです。

 

3 棚卸資産とは

営業債権の棚卸資産とは在庫のことです。在庫には商品・製品と半製品、原材料、仕掛品、貯蔵品などがあります。
過剰な在庫は、廉価販売する可能性を増やしたり、廃棄する機会を増やし収益を悪化させたり、陳腐化や品質劣化による商品価値の低下を招いたり、保管スペースを多く必要とするため無駄な管理費用が発生したりなど、さまざまな悪影響を生じさせます。
昔ならいざ知らず、流通が発達している現代では在庫を多く持つメリットはほとんどありません。常に適正な額に管理することが重要です。

 

4 売上債権・棚卸資産は基本的には少なければ少ないほど良い

売上がある前提で言うならば、売上債権は少なければ少ないほど良いといえます。
売上は減っていないなのに月末の売上債権が少ないということは、現金で販売していたり、納品後、日を置かずに売上債権を回収していることになりますので、資金繰りが楽になり、不良債権にはならないということになります。

売上債権が多いということはその逆であり、資金繰りを悪くしかつ不良債権になる可能性が高くなるということになります。

棚卸資産が多いということも不良在庫が増える可能性が高くなるということになります。

 

5 営業資産の適正を判断するモノサシ

では営業資産はどのくらいであれば、適正だと判断できるのでしょうか。
そのためには「売上債権」と「棚卸資産」及び「売上債権+棚卸資産」の3つに対するモノサシを持つ必要があります。

(1)売上債権と棚卸資産のモノサシ 『平均日商』

平均月商』とは、一日当たりの平均売上高です。
月600万円の売上高があるのであれば、平均日商は20万円程度となります。
平均日商と比べれば、売上何日分の売上債権あるいは棚卸資産があるかがわかります。

たとえば売上を月末に締めて翌月5日に請求書を発送し、入金期限が同月25日であれば、理屈では、常に月末の売上債権は当月分の売上高分しかないはずなので、約30日分となります。30日分を大きく超える売上債権があるのなら、それは未回収の売上債権があることになります。

このような考え方を専門的には「売上債権回収期間」と呼んでいます。

基本的にはどのくらいが適切かについては、それぞれの企業の販売約定によります。
先ほどの例でいえば、約定は翌月25日支払ですので、30日前後が基本となります。
翌々月支払を基準とされているのであれば、60日前後が基本となります。

中小企業の場合は極力、売上債権は少なくし、売上債権回収期間は短くするということが、マネジメント力になります。

そのためには
 1.原則、受取手形は扱わない
 2.請求書は必ず、期日に発行する
 3.入金期限には必ず入金状況を確認し、未入金であれば直ちに確認の電話を入れる
 4.販売金額が大きい場合は、いくらか前受金を請求する
などが考えられますが、重要なことは1~3です。
特に督促は確認したら「直ち」に、郵送やメールではなく「電話」で行うということです。

未回収は支払遅延の常習化を招き、最終的には不良債権予備軍となります。

棚卸資産であれば在庫ですので、業種によって違いはあります。生鮮を除く企業であれば、流通が発達している現代、2週間分もあれば十分だと思われます。
それ以上は、デッドストックになる恐れがあると考えるべきでしょう。

 

(2)営業資産(売上債権+棚卸資産)のモノサシ 『買入債務』

買入債権とは売上債権の逆、仕入で発生した債務であり、「支払手形」と「買掛金」のことをいいます。
買入債務のことを「支払債務」とか「仕入債務」などという場合もあるようですが、意味は同じです。

買入債務とは、物を買ったのに支払いをしていない状態のことですから、見方を変えれば、仕入で資金を調達しているとも云えます。
逆に営業債権とは、販売したのに代金をもらっていない状態と売れ残っている状態のものですから、販売活動に資金を運用しているとも云えます。ですから、事業としては買入債務で売上債権を賄えれば余計な資金は不要となりますので、理想的です。

そこで販売活動に必要な資金である営業資産と買入債務を比べます。
下図の「運転資金要調達率の図」を見てください。

運転資金要調達率図

もし買入債務回転期間のほうが長ければ、買入債務で売上債権回転期間と棚卸資産回転期間を賄っていることになりますから、余計な資金は要りません。
逆に、売上債権回転期間と棚卸資産回転期間のほうが長ければ(ふつうはこうです)、売買活動に関する資金が要ることになります。

このことを専門的には「運転資金の要調達高」と呼んでいます。
これを売上高で割ると、売上に対する要調達率がわかり、売上100円に対して運転資金がどのくらい必要かということが掴めます。
このことを専門的には「運転資金の要調達率」と呼んでいます。

 

このように貸借対照表を読みこなすと、意外と自社の営業活動の体質がわかります。

 

 

重要なことはモノサシはどれであってもよいわけですが、この先行き不透明で変化が早い、いまの時代は「そのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代である」という認識を経営者の皆さんが持たれることです。
現在は事業を会計でしっかりマネジメントすることが求められている時代です。


掲載日:2016年4月6日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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