経営技術を磨く キャズム理論

■キャズム理論 -普及過程ごとに攻め方は変わる-
 『キャズズ理論』とは、少々聞き慣れない言葉かもしれませんが、自社の製品・サービスを普及させたい場合には大変参考になる理論です。 ぜひ、知っておきましょう。

 

1.キャズム理論とは
 キャズム理論は1991年に米国経営コンサルタントであるジェフリー・ムーアが提唱した「製品普及に関する考え方」です。
当時はパソコンやOSなど、ハイテク製品がなかなか一般コンシューマまでに普及しない中で、その原因と対策として理論化されましたものです。

 

2.消費者の5分類
 ムーアはコンシューマである消費者を次の5つに分類しました。

(1)イノベーター(革新的採用者)
 ともかく、新しいものを「いの一番」で欲しがる消費者層のことです。
新しいiPhonやOSの販売開始日などに、早朝から並んでいる人々の風景がよく見られますが、あのような方たちを指します。この客層は「2.5%」あると言われています。

(2)アーリーアダプター(初期採用者)
 先駆者的利用者であるイノベーターの様子や反応を見てから、判断して購入を検討す人々のことです。この客層は「13.5%」あると言われています。

(3)アーリーマジョリティ(初期多数派)
 アーリーマジョリティとは第2陣的利用者のことであり、消費者の「34%」を占めると言われています。
ここまでが、比較的積極的な消費者層です。全部合わせると約「50%」となります。

(4)レイトマジョリティ(後期多数派)
 周りの普及状況や評価などを見て追随して購入する保守的な消費者層であり、この客層も「34%」あると言われています。

(5)ラガード(採用遅滞者)
 最後の客層は、世間の流行にはあまり関心がなく、なかなか購入しない消費者層です。
この客層は「16%」あると考えられています。

 さて、この中で最も重要な客層は『アーリーアダプター』です。なぜなら、普及の先導的役割となるからです。ですから、まず普通消費者との橋渡しをしてくれるこの早期接続者を取り込むことが最も大事なこととなります。

 そして一般消費者層に普及させるには、このアーリーアダプターから『アーリーマジョリティ』へ移行させることが重要ですが、そのあいだには、大きくて深い溝があると言われています。その溝のことを『キャズム』と呼びます。

 普及しない要因は、この『キャズム』を越えられないからだとムーアは言います。
その原因は、企業がアーリーマジョリティの特性を理解しないからだと指摘しています。

 

 ともかくこの5つの客層、イノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードという客層概念を理解し、自社の商品等の普及戦略を考えると、思わぬ新しいアイデアが思い浮かぶと思います。 ぜひ、理解しましょう。

 

3.キャズムを越える方法

 では、このキャズムを乗り越えるにはどうすればよいのでしょうか。

第1に、最初の実質的な客層であるアーリーマジョリティの「実利的な評価に応える」ことです。ポイントは、アーリーマジョリティ全体を相手にしないということです。

 したがって、第2に「全力を1ヶ所に集中する」ことが挙げられます。
1ヶ所とは、ある特定のアーリーマジョリティに向けて完全な製品を作り上げることです。そのためには
①(小さくてもよいから)早く手がかりを掴むこと
②特定のアーリーマジョリティ市場を掴んだなら、それを標準品として広く普及させること です。

 そして第3は、他のアーリーマジョリティを順次掴んでいくために、そのアーリーマジョリティに合わせて「カスタマイズしていく」ことです。カスタマイズとは、言い換えれば、『付加価値』をつけていくことです。

 

 

 今回のキャズム理論をまとめると、まず客層を絞り込み、そこに傾注して期待に応えられる製品やサービスを提供し、それを基に他の客層にも応えられる製品・サービスにカスタマイズしていくということになろうかと思います。
私たちはともすれば、総花的に事業を進めがちです。
「御社はいったいどこに的を絞って商売をしているのですか?」と問われると
答えに窮ずる場合が多くありませんか。
キャズム理論はそんな考え方を是正することを勧めているように思われます。


掲載日:2015年10月21日 |カテゴリー:マーケティング, 経営技術

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