経営技術を磨く BS経営技術②

■BSによる経営技術 -経営危機を避ける経営②-

4.「増加資産」を確認する

資産が増えれば増えるほど会社も大きくなったと思い、喜ばれる経営者が多くおられますがそれはまったくの思い違いです。
現預金が増えて、総資産が大きくなっていればともかく、固定資産や他の資産が増えているだけの場合は大きな問題かもしれません。
なぜなら、それだけの資産を持つために、それだけ事業資金を使っているからです。
これが『借入金依存症』に陥る大きな原因になります。
そうならないためにも定期的に売上高や利益と総資産を比較し、その有用性を確認することが大切です。
回転率や利益率が向上していたり、まだ同じあればその資産増加は適切だ判断できますが、もしそうでないならばシェイプアップすることが必要です。

 

5.「運転資金」を確認する

運転資金とは、売買活動に必要な資金のことを指します。
具体的には運転資金とは売買活動に使っている資金のことであり、売上債権及び棚卸資産が売買活動で使っている資金となり、買入債務が売買活動で調達している資金となります。
その差額が必要な運転資金を表します。
これが増加傾向ではないかどうか、確認することは大切です。

 

6.「借入金」を確認する

(1)借入金が多くないか
過大な借入金に苦しんでいる中小企業が多いと言われていますが、借入金の多寡は、月商と比べて確認することができます。
製造業であれば月商6ヶ月分まで、他であれば月商3ヶ月分までに抑えたいところです。
これは全く根拠が無い基準ではなく、借入返済原資は最大でも売上高の5%として、見積もった基準です。
したがって現在は経常利益率を5%確保できている中小企業は少ない状況ですので、もっと低く抑えなくてはなりません。

(2)借入金の減少と預金の減少を比べる
借入金返済が順調で借入金が減っていても、同時に現預金も減っていないか、確認します。借入金が減っていて、かつ現預金も減っているのであれば、それは手持ち現預金を取り崩して返済しているだけであって、本来の「借入金は利益から返済する」ということができていないことになります。言い換えれば、借換え体質になっているということです。
借入金の中でも長期借入金は「利益から返済する(収益弁済)が基本」ということを覚えてください。

 

7.「純資産」を確認する

純資産こそが、これまでの『事業履歴書』です。事業は自己資本である資本金だけで始まりますが、純資産がそれ以上増えていれば、それが成功の大きさを表します。もし、純資産が資本金より少なくなっているのであれば、いままでのやり方ではビジネスモデルに問題があるということです。マイナスであれば『債務超過』といいますが、他人資本である負債の分すらの資産もないということなので、これまでのことは全否定して事業を組み立て直さなければなりません。

 

■参考:決算書あるいは月次試算表の全体像

B/SなりP/Lを読みこなすためには、決算書全体の全体像を理解する必要があります。
決算書あるいは月次試算表は次のような『お金の循環』を表しています。
  ①お金を集める(負債・純資産) 
 ➡②投資する(資産)
 ➡③投資を活かして収益を上げる(売上)
 ➡④費用を使って稼ぐ(利益)
 ➡⑤税金を支払って貯める(繰越利益剰余金)
 ➡※これが次期の①になります。

 

B/Sを見ない、読めないは「どんぶり経営」と同じです!
会計事務所に依頼したり自社で月次決算を行って月次試算表を作成されている会社は数多くあります。それだけで、社長さんは「当社はどんぶり経営ではない」と思っておられるかもしれません。しかし作成しているだけで、その試算表を見たり、読んだりしていなければ、それは『どんぶり経営』と同じです。 よく認識していただきたいと思います。

月次試算表を“読む”経営をしていなければ、海図があっても海図の見方がわからず、目の前の景色や地形だけを頼りに航海しているのと同じです。海面の下に何があるのか、天候がこれからどう変化するのか、それらをわからずに航海している船を想像してください。
乗船している船員や乗客は船長のそんな状況を知らないうちは騒がないかもわかりません。しかし、一旦、その事実を知れば船員・乗客は大騒ぎして一刻も早く下船するでしょう。
恐らくあなた自身もそうされると思います。
だから、会社の船長である経営者はB/Sを読めずして経営をしてはならないのです。
ひと月に一度は自社のB/Sを確認しましょう。


掲載日:2015年9月23日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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