経営技術を磨く 戦略サファリ

■戦略サファリ -あとづけでない成功の真因を探る-

戦略サファリ(Strategy Safari)とは、1998年、ヘンリー・ミンツバーグ、ブルース・アルストランド、ジョセフ・ランペル3名の経営学者による著作です。
ヘンリー・ミンツバーグらは経営学を10のスクール(単元)にまとめ、サファリ(旅)にして見せました。その要諦は次の4点にまとめられます。

 

1.まず始めに「声を聞く」 ←ここに成功の要諦がある

ミンツバーグらは実践への応用を重視し、戦略とは、実践を通じて徐々に出来上がってくるものといっています。
つまり戦略とは、事前に計画されるものではなく、実際にビジネスを通じでお客様の反応を知り、そして現場の声を聞き、さらに試行錯誤のうえに、自然と湧き上がってくるものだと主張し、3つの事例を挙げています。

例1:グーグル社
創業者であるサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジは、当初、検索アルゴリズムを他のインターネット・ポータルに売ることで収益化しようと考えていました。しかしこの仕組みで儲からないと判断すると、オーバーチュアの手法(広告とページランクシステムの仕組み)を取り入れ、一気に成功させました。
現在の収益モデルはそもそも、「計画されたものではなかった」のです。

例2:アップル社
スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックは、当初から、コンピュータ技術とデザインは重視していましたが、あくまでもコンピュータは「専門家が使うものだ」と、考えていました。しかし、のちに加わったマイク・マークラが、一般の家庭で使ってもらうようにしようと主張し、方向転換をしました。

事例3:ウォルマート社
世界最大の小売企業ですが、リテールリンクやEDIの巨大なITシステム導入を決断したのは創業者のサム・ウォルトンではなく、二代目CEOデビット・グラスでした。

⇒このように、成功している多くの企業は、決して創業者が現在のビジネスモデルを考えたわけではなく、マーケットやパートナーの声に耳を傾け、現在のビジネスモデルを構築したのです。つまり、戦略は「事前に計画されたものではなく、実際にビジネスを通じでお客様の反応を知り、そして現場の声を聞き、さらに試行錯誤のうえに、自然と湧き上がってくるもの」なのです。

 

2.企業は「二兎を追える」 ←経営戦略の常識を疑う

競争の戦略(コストリーダーシップ・差別化・集中化)、PPM(金のなる木・花形・問題児・負け犬)を批判しました。例えばベネトンは、ファッション性が高く(差別化)、かつ低コストも実現しています。つまり、二兎を追えるということです。

例:サムスン社
半導体分野でコストリーダーシップと差別化を図って、東芝社やNEC社・日立社の市場を奪いました。

⇒成功している企業は、ビジョナリー理論の主張と同じように、OR(二者択一)の抑圧をはねのけ、AND(並行)の才能によって、両極にあるものを同時に追求しています。

 

3.とりあえず「行動してみる」 ←学習と試行錯誤が強みを創る

ラーニングスクールを支持しています。戦略は、まず行動を起こして、その学習・試行錯誤を通じて形成されるものであるということです。

事例:ホンダ社

ボストンコンサルティンググループ(BCG)は、ホンダを「日本国内で大量生産を行ってスケールメリットを実現したうえでコストリーダーシップ戦略を追求し、米国中産階級に、低価格の小型オートバイという新しい市場セグメントを提供した」と、ホンダは論理的展開をしたと分析していますが、実はホンダには「アメリカで売れるかどうか、やってみよう」という考えしかなかったという話です。

⇒成功をしている多くの企業は、考えることも大切なのですが、それよりも「まず、やってみる」という行動指針を重要視しています。サントリーの「やってみなはれ」精神は有名な話です。

 

4.企業に「思考停止は許されない」 ←多様性のある文化を創る

戦略マネジメントにおいて大きな失敗が生じるのは、マネージャーが一つの見解をまじめに捉えすぎてしまったときです。

例:ウォルマート社

ウォルマートは、創業以来の節約重視から大規模ITシステム投資へ転換し、大きな成功を収めました。

⇒成功をし続ける企業は、それまでの慣習をただ踏襲し続けるのではなく、「企業理念」を踏まえて、ときには大きな方向転換をしています。ビジョナリー理論もBHAGという概念で同様のことを言っています。

 

 

「戦略サファリ」と「ビジョナリーカンパニー」のあいだには、多くの共通点があることを気づかされます。①高尚な思考よりまず現場の声。②市場の声をよく聞く。③これと思ったことはやってみる。これらを繰り返すことが大事で、その中にそれそれの企業にとって大事なことが見つかってくるということでしょうか。
何か勇気が湧いてくる感じがするのですが、如何ですか・・。

私たちが忘れてはいけないことを示唆してくれているような気もします。


掲載日:2015年9月9日 |カテゴリー:マーケティング, 経営技術

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