経営技術を磨く 競争の戦略

経営技術を磨く(3) 競争の戦略

5つの力と3つの基本戦略

競争戦略とは、1980年マイケル・ポーターによって提唱された経営戦略論の古典ですが、いまも私たちの事業戦略を考える際にとても参考になる考え方です。
具体的には「5つの力(ファイブフォース)」という業界分析を通じて競争優位がつくれる状況にあるかどうかを判断し、そのうえでどのような「3つの基本戦略」から戦略を選ぶべきかを考えます。

 

■5つの力(Five forces)とは

1.新規参入者の脅威

一つめの業界分析は「新規参入のしやすさ」です。
新規参入がしやすければ、会社にとっては脅威となります。
たとえ魅力的な市場であっても、次々と参入者が現れて供給能力が増えば、価格競争を引き起こし、利益性は低下していきます。
その意味で新規参入の障壁となる「参入障壁」があれば、自社にとっては優位となります。

2.代替製品の脅威

二つめの業界分析は「代替製品があるか」です。
代替できる製品や商品・サービスなどがあると、会社にとって脅威となります。
たとえ業界内の競争が緩やかでも、同じような機能の他業界の商品が台頭すると需要を奪われ、値下げで対抗せざるを得なくなります。

3.買い手の交渉力

三つめの業界分析は「買い手の力」です。
買い手とはお客様、消費者、得意先のことです。
顧客の交渉力が強いと商売はしにくくなります。
売り手が多数で買い手が少数という場合、需給のバランスからみて買い手の価格交渉力が高まります。
たとえばウィンテルのパソコンは、多数のパソコンメーカーに採用されたために消費者に対する売り手が多くなってしまい、結局は価格競争に陥れざる得なくなったことは有名です。

4.売り手

四つめの業界分析は「売り手の力」です。
売り手とは仕入先のことです。仕入先が強いと仕入れ交渉が思うようにできなくなり商売はしにくくなります。
原材料生産者や卸売先が少ない場合、需給のバランスからみて売り手の価格交渉力が高まります。
たとえばiphoneはアップルからしか購入できないので、値崩れもせず、統一した価格でしか売ることができません。

5.業界内の競争関係

五つめの業界分析は「業界内の競争関係」です。
1~4の中で業界は成り立っているのですが、過当競争の結果、他社が撤退すれば競争は緩やかになります。
しかしそこに撤退障壁がある場合は過剰な供給能力が残るので、値崩れなどによって利益性が低下することになります。

 

こうした要因を理解して競争環境の緩やかな場所に会社をポジショニングできれば、資金調達コストを上回る利潤をあげることが容易になります。ポーターは「ポジショニングこそが戦略だ」と言っています。
ポーターの枠組みに沿えば、①参入障壁は高く、②撤退障壁は低く、③代替産業との距離は遠く、④川上や川下よりも業界の交渉力が強い状況にあることが望ましいということになります。つまり、参入がしにくく、撤退がしやすく、代替産業との距離が遠く、売り手や買い手よりも業界の交渉力が強い状況にある業界が望ましいということです。
日本は市場規模や市場成長性だけで魅力度を判断する傾向が強いといわれています。

 

■「3つの基本戦略」とは

ポーターは競争に打ち勝つ方法は3パターンに大別でき、それぞれに一貫した原理があるので、複数を追うより「一つを貫くべきだ」と言っています。

1.コストリーダーシップ戦略

コスト面でリードできれば競争が激化しても、自社の利益性は守ることができます。
ただし、コスト追及し過ぎると技術変化や新規参入などの環境変化に弱いという欠点を持つようになります。

2.差別化戦略

製品機能やイメージなどで特長を持てれば、相対的な高価格が維持でき、同質化も回避できます。
ただし、それだけに頼り過ぎると、極端な低価格攻勢や模倣された競合に、優位を守れなくなる危険があります。

3.集中戦略

特定の市場に経営資源を集中し、優位を達成すれば、その分野への新規参入を限定することができ、利益性は守れます。
ただし、市場を限定するので全体的な大きなをシェアを取ることはできません。また、ターゲットとする市場の特異性が無くなれば、全体の市場で優位に立つ企業との競争に巻き込まれる危険性があります。

 

過って日本企業は「いいもの(=差別化)」を「安く(=コストリーダーシップ)」という戦略で海外市場を席巻しましたが、現在はより低コストのアジア企業の台頭で苦戦を強いられています。

 

 

いかがでしょうか、自社のことを当てはめながら読んでいただくと、いろいろ考えるところがあったのではないのでしょうか。そのことが、いま大事なのだと思います。
「考えて、商売・事業を行なう」それを実践しませんか。


掲載日:2015年8月26日 |カテゴリー:マーケティング, 経営技術

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