財務諸表の読み方 月次診断

財務諸表の読み方「財務分析」(12) 月次診断

■月次診断とは

これまで「収益性」「安全性」「効率性」「成長性」「生産性」「資金性」と、いわば健康診断で例えれば診療科目別の診断を説明してきました。
毎月毎月、診療科目別にこと細かく経営診断をするわけにはいきませんので、当然のことながら月次においてはマクロ的に見ればよいということになります。
その結果、もっと詳しく知りたいと思うのであれば「診療科目別みればよい」ということになります。

そこで第12回の今回は「月次診断」の読み方をご説明します。

 

■月次診断に関する分析(検査項目)

1.キャッシュの状況
経営においては必ず「資金状況」を押さえておく必要があります。
日常の資金のことを「運転資金」という言い方もしますが、ともかく、現金と預金のことです。資金状況とはこれが月末においてどのくらいあるのかということです。
※この分析の名称には「手元流動比率」という名前が付けられていますが、名前より理屈を理解しましょう。

事業における生活費は何度も申し上げているとおり「売上高」です。それも赤字の売上高ではなく、正常な売上高です。正常な売上高とは、仕入れや人件費そして経費も賄えて、かつ借入があるのであれば月額の借入返済額も支払えて、なおかつ少しは貯金(内部留保)もできる売上高のことをいいます。その何ヵ月分の現預金があるのかチェックしましょう。
理想を言えば2~3ヶ月分ですが、まずは1ヵ月分はクリアしましょう。多くの企業がその程度の売上高を確保できていませんが、その程度の売上高を確保できるように工夫(それがマーケティング思考です)する必要があります。
※一般的な会計事務所は、減価償却費は社外流出資金ではないのでそれを差し引いて考えるべきですという説明をされるのかもわかりませんが、そんな細かいことはどうでも良いと思います。むしろそれはアロワンス(余裕額)として考えたほうが良いと思います。

 

2.売上債権回収の状況

キャッシュの大元は「売上高」ですが、現金商売でない以上それが売掛金や受取手形となり、やがて現預金となります。したがって現預金の前の姿は「売上債権」です。
この金額は毎月チェックする必要があります。売上債権は多くても少なくてもいけません。それぞれの会社において適正額があります。それが「回収サイト」です。
回収サイトとは、売上をいつで締めて、いつ回収するのかということです。
例えば、毎月25日で売上を締めて、月末には請求書を郵送して、翌月25日までにお支払していただく約束をしているのであれば、回収サイトは1ヶ月です。
したがって、しっかり回収できていれば、月末の売上債権額は約1ヶ月分の売上高分しかないはずです。それ以上あれば「未回収債権がある」ということになります。
売上債権は生ものと同じできちんと回収しないとすぐ腐ってしまいます。つまり不良債権です。ですから毎月チェックをして、未回収があれば早急に取引先に連絡をし、支払日を確認します。
そのことを分析値では「売上債権回転期間」などと呼んでいます。

 

3.償却前営業利益の状況

営業利益とは本業ベースの利益でしたね。償却前営業利益」とは、その営業利益に減価償却費を加えたものです。減価償却費は製造原価と販売費及び一般管理費の両方にありますので、その両者を営業利益に加えます。
この償却前営業利益が月次借入返済額より多ければ、借入金は売上の中から返済できているということになります。少なければ、売上だけからでは返済できず、手持ちのキャッシュからも返済していることになりますので、資金繰り(つまり企業生活)は苦しいものとなります

 

まだ他にも月次で診断すべきことはあるかと思いますが、少なくともこの3点だけは毎月押さえておきたいものです。

 

 

T&Tマネジメントならびにパートナー税理士法人ではこのように企業経営のお話を日常の言葉でご説明するに心がけ、会計を中心に皆さまの事業が繁栄されるようにご支援しております。

 


掲載日:2015年7月22日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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