財務諸表の読み方 資金性

財務諸表の読み方「財務分析」(11) 資金分析

■資金性とは

資金性とは、文字どおり事業の生命線である資金(手元キャッシュ)、現預金のチェックです。
突然、「手元キャッシュがない」と慌てても、手のつけようがありません。
せいぜい、社長である自分の家計から補填するしかありません。これが公私混同の始まりとなります。
理想だとおっしゃるかもわかりませんが、できる限り個人の家計と事業の資金繰りは分けたいものです。そのためには常日頃から事業手元キャッシュの動向を早めに掴む習慣を身に付け事業資金は事業活動で解決を図る習性を身につけることが大切です。

ところで公私混同の一番の問題点をご存知ですか?
それは経営者としての『説得力』を無くするということです。「社員は会社のことを考えて働いてくれない」と、よその社長さんの嘆きを聞かれたことはありませんか。このような公私混同をしている経営を続けているとそうなります。
考えてもみてください‥。
ご自分が社員であればどう思われますか?いくら社長が「がんばろうよ」と言っても公私混同をしている社長を見せられていると「それは社長の問題」となりますよね。

 

■資金性に関する分析

1.手元現預金と月次売上高の比較 「手元流動性比率」
何回も説明しているとおり、月次売上高は月次仕入や月次人件費・月次経費あるいは支払利息そして月次借入返済の支払原資です。少なくとも月次売上高と同程度の手元現預金が無くてはなりません。無ければ注意信号の点滅です。創意工夫して、売上を増やす努力、仕入や経費を減らす努力をしなければなりません。常に2~3ヶ月分の売上高相当の現預金は保有したいものです。

2.売上債権の回収状況を示す 「売上債権回転(回収)期間」
これは売上債権(売掛金と受取手形の合計)が、何日分の売上高にあたるのかということです。売上債権を平均日商で割れば求められます。
なぜか、債権ですから売上債権が多いことに安心を感じる経営者が多いようですが、それは間違いです。確かに債権が多いことで安心感を覚える一理はあると思いますが、しかし限度というものがあります。会社として、翌月回収することを基本にしているのであれば、1ヶ月分程度の売上債権があることに問題はありませんが、それ以上は問題です。それは回収できていない売上債権があることを示しています。あるいは架空売上なのかもしれません。さらに債権管理が杜撰だと横領も発生します。よくニュースで横領事件が流れますが、問題の本質は単純です。債権管理と債務管理が杜撰なだけです。

3.借入金の返済能力を示す 「償却前営業利益」
償却前営業利益とは、本業ベース利益である営業利益に減価償却を加えたものです。
これも何回か説明していますが、支払金利は損益の中に折り込まれていますが、借入返済金は利益から返済するものです。したがって損益の中に折り込まれていません。営業利益がマイナスであったり少ない状況では、借入返済は売上からできないということです
つまり、持ち出しです。
これも非常に多いことなのですが、設備資金を集めることだけに夢中で返済金はどこから捻出するのか考えていない経営者が多くおられます。返済は設備投資による成果の中で行なわないとこれも持ち出しとなります。その一番ひどい結果が過剰設備投資による倒産です。

 

このほかにもいろいろ挙げられますが、ともかくこの3点程度は資金性に関する診断方法としてご承知していただきたいと思います。

 

 

T&Tマネジメントならびにパートナー税理士法人ではこのようなお話を専門的な言葉ではなく、わかりやすい日常語に置き換えて、経営者の皆様や配偶者の皆様方と素直にお話させていただくように心がけています。


掲載日:2015年7月17日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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