財務諸表の読み方「財務分析」(5)
■「分析角度(アングル)」による分類
分析角度は総合、収益、安全、効率、成長、生産の6つの観点があります。
1.総合分析 営業利益÷総資本、投資額のリターンは何パーセント?!
総合分析とは、事業に対する投資資金とその収益性から「現状の企業力」を見る事業分析です。事業に資金を投資する目的とは、端的にいえば収益をあげるためです。
したがって総合分析は、事業の収益である『営業利益』と、事業への投資資本総額である『総資本』を比較することで「現状の企業力」を判断します。
この現状の企業力は売上高営業利益率と総資本回転率にドリルダウンすることができます。
2.収益性分析 営業利益÷売上高、本業の儲けは何パーセント?!
事業の収益性は損益に表示されていますが、もっとも重要な収益性は『営業利益』です(多くの書籍では経常利益とされていますが、現代は本業の収益力が大切です)。つまり『営業利益』です。この『営業利益』と『売上高』を比較することで、事業の収益性である「事業の収益力」を判断します。なお、この『営業利益』と『経常利益』が大きく違っている場合は、増えているにせよ、減っているにせよ、注意が必要です。
3.安全性分析 現預金÷平均月商、キャッシュは月次売上高の何倍ある?!
事業の安全性とは事業継続に対しての「懸念分析」です。つまり手元資金評価ということになります。事業の手元資金とは『現金・預金』です。この手元資金と企業の生活費とでもいえる『平均売上高』を比較して判定することが安全性分析の基本です。
4.効率性分析 売上高÷総資本、売上は投資額の何倍ある?!
効率性とは「資金や資産の活かし方」です。いわゆる「回転率」という言い方をします。その基本は『売上高』と『総資本(または総資産)』を比べて、事業でどれだけおカネを有効的に活かしているか、判断します。
5.成長性分析 純資産÷資本金、自己資本は何倍になっている?!
中小企業の場合、大企業ほど「所有と経営」が分離していません。ほとんどの中小企業は、経営者が自ら資金提供をし、経営にあたっています。一般の書籍では成長性というと、売上高や総資産あるいは利益を指しますが、中小企業の場合は違います。
中小企業の場合の成長性とは、資本金だけでスタートした自己資本をどれだけ増やせたかということです。つまり、『自己資本である純資産』と『資本金』の比較である「自己資本成長率」が成長性分析です。
6.生産性分析 売上高÷従事員数、一人当たりの売上高は?!
生産性とは、一人当たりでいくら稼いだかということです。したがって「売上高」や「売上総利益」などを従業員数で割って、生産性を判断します。
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